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【2022オリックス・戦力分析】伸びしろはまだまだ大きい。救援・二塁手・指名打者の穴埋めで更なる高みへ

2022/03/22

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5.総括

 オリックスの補強ポイントは投手・二塁手・指名打者。他のポジションが変わらない前提だと、優勝ラインへの到達を狙うには、このうち少なくとも2つは弱点から脱却させたい。
 
 これらに対する動きを見ると、投手と二塁手にはドラフトの上位枠と外国人補強をフル活用して対処が行われた。一方で指名打者には有効な手が打てておらず、ここを現有戦力でどのようにやりくりするかは今季のテーマとなりそうだ。

 現在のオリックスは若いストロングポイントを多く抱えており、弱点を手早く塞げれば、今後王朝を築ける可能性もある。未だ伸びしろの多いチームであるオリックスをどのように切り盛りしていくか、中嶋聡監督の動きに注目したい。
 
DELTAアナリスト・竹下弘道
 
[1] 貯金と得失点差の関係について補足する。前提として、「得失点差と比べて貯金を多くできるかどうか」は、チームの特性にほぼ依存しないことが過去の統計から明らかになっている。リリーフの使い方を工夫すれば、僅差勝ちを増やすことで「得失点差と比べて貯金を多くする」ことは一見できそうに思えるが、こうした離れ業は不可能である。昨季のソフトバンクやロッテのように得失点差と貯金が乖離するチームは存在するが、この乖離はチームの特性ではなく、チームに制御できない部分によって生じるというのがセイバーメトリクスのコンセンサスだ。過去の傾向からすると、前年の乖離がどうなっていようが、翌年のチームの貯金と得失点差はゼロを中心としたバラツキを持って乖離が発生する。本稿では中央値として予想される「貯金と得失点差が乖離しない状況」を前提に論考を進める。
[2] 寄与は「平均的な選手でそのポジションを埋める場合と比べて、得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を表す。平均を基準とする理由は、得失点差が平均を基準とする数値だからだ。「全ポジションが平均的な選手で構成されたチーム」は得失点差が±0点となる。このチームに対して「各ポジションで得失点差を何点分上積みしたか」が分かれば、その合計からチームの得失点差を説明することができる。
[3] 厳密に言えば投手も打撃で得点を増やすことができるが、投球と比べて影響が小さいため、ここでは考慮しないものとした。
[4] これは、弱点を底上げする方が獲得機会・必要年俸の点でコストパフォーマンスが高いためである。「±0点のポジション」に「+20点の選手」を充てるのと、「-20点のポジション」に「±0点の選手」を充てるのは、どちらも20点の得失点差の改善が見込める。しかし、「+20点の選手」よりも「±0点の選手」の方が獲得しやすく、年俸も安く抑えられる。
[5] ただ、T-岡田は3月19日のオープン戦で故障し、開幕絶望と報道されている。欠場を減らすことに関しては黄信号が点灯している。
[6] 野手はwRAA+UZR+守備位置補正、投手はFIPのみで計算した。野手は一軍の規定打席(443打席)あたり、投手は一軍の規定投球回(143投球回)あたりの数値としている。
[7] データは竹下弘道・DELTA算出
 

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竹下 弘道@RCAA_PRbloghttps://ranzankeikoku.blog.fc2.com/
古典的ボックススコアから選手とチームの通史的な分析に取り組む。
 
DELTA@Deltagraphshttp://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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