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【2022オリックス・戦力分析】伸びしろはまだまだ大きい。救援・二塁手・指名打者の穴埋めで更なる高みへ

2022/03/22

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4.今季の選手供給の見込みは?

 ここまでに論じた補強ポイントを踏まえて、オリックスが新しい選手をどれだけ用意できるかを見ていきたい。一軍に選手を供給する手段は、①二軍から選手を引き上げる、②ドラフトで獲得する、③国内外の他チームから獲得する、の3つだけだ。それぞれの手段について、どのような選手供給が見込まれるかを見ていこう。
 
 まずは二軍だ。二軍において得失点差への寄与が優れる選手は、一軍でも得失点差を改善する見込みが強いと言える。ここでは2021年の二軍において、各選手が得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを調べた[6](図5)。グラフは縦軸が得失点差への寄与、横軸が年齢を表しており、優秀でなおかつ若い左上の選手は将来的な一軍定着を期待しやすい。
 

 
 補強ポイントで明確に左上のゾーンに入っている選手はいない。前年に杉本や紅林弘太郎など目立った選手を送り出してしまったこともあり、好成績の選手は他チームと比べて少ない状況にある。今後数年間、二軍からの突き上げは乏しいものとなるかもしれない。
 
 一方、昨季は好成績を残せなかったものの、二塁手の候補として名前が挙がるのが20歳の太田椋だ。2019年には高卒新人としては破格の打撃成績を残しており、打撃についてはトップレベルの逸材である。守備は苦手としているものの、将来的に二塁手を強みに変える可能性もある選手だろう。

 次はドラフトを見ていこう(図6)。育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手のみを見ていきたい。
 

 
 ドラフトでは補強ポイントに対して即戦力選手を確保できている。投手は1位の椋木蓮をはじめ、即戦力選手を3人獲得。二塁手は2位で野口智哉を獲得した。指名打者以外の補強ポイントに対してはひととおり手が回せたと言えるだろう。
 
 また、このほかに注目すべき選手が4位の渡部遼人だ。渡部は中堅手タイプの外野手で、オープン戦では一定の結果を残している。レギュラーシーズンでも好調を維持できれば、中堅手の福田を左翼に、左翼手の吉田を指名打者に押し出せる。また、状況次第では福田を二塁手に戻すプランも考えられるだろう。
 
 最後に補強を確認する(図7)。こちらも育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手だけを見ていく。
 

 
 補強では外国人選手の入れ替えが実施された。投手のジェシー・ビドル、ジェイコブ・ワゲスパックに加えて、ユーティリティのブレイビック・バレラを獲得している。バレラは遊撃手を含めて内外野どこでも守れるものの、メインポジションは二塁手だ。補強ポイントの投手と二塁手に対して、一定の手は打たれたかたちと言える。
 
 一方、指名打者については手が回せていない。バレラは守備が売りの選手で、指名打者で起用にするには打撃がネックになる可能性が高い。オフにはモヤとジョーンズが退団したこともあり、打撃型の外国人選手も獲得しておきたかったところだ。

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