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攻略難しい佐々木朗希。あえての「フォーク狙い」もあり?【工藤公康の眼】

今年3月に『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』を出版した工藤公康氏。交流戦が終わり熱い夏を迎える中、編集部が気になる選手や話題について、工藤氏に現場で選手やコーチに伝えてきた指導メソッドの視点も織り交ぜながら語ってもらった。

2023/06/27

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産経新聞社



今後のカギとなるコンディションの維持

 プロ入り後、ロッテの首脳陣は佐々木投手のコンディションに細心の注意を払いながら、起用しています。あれだけ速いボールを投げるということは、体にかかる負担が強いことは想像に難くありません。
 
 私も監督の経験があるのでよくわかりますが、首脳陣が考えることは、「勝負所の夏場以降にいいコンディションで投げてほしい」ということです。そのためにも、前半戦で意図的にローテーションを飛ばして、休養を入れることも必要になってくるのです。
 

 
 おそらくですが、トレーナーからは肩肘のコンディション、関節の可動域等に関する報告は毎回上がっていると思います。本人が感じている疲労度と照らし合わせながら、少し休みを入れる時期を考えているのではないでしょうか。
 
 また、ロッテの本拠地は屋外のZOZOマリンスタジアムになります。これから気温とともにさらに湿度も上がり、ドーム球場で投げたときとはまた違う疲労感を覚える可能性があります。ピッチャーの立場からすると、ドーム球場で投げ続けていたほうが、コンディションは維持しやすいものです。
 
 こうした環境の変化も含めて、今後も佐々木投手の活躍を注目していきたいと思います。
 

書籍情報

『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』
 
18歳以上を対象に、実際のプロの現場でも活用された門外不出、名将の投手指導マニュアルが待望の書籍化。プロの世界で重要視される「フォームの再現性」+「コントロール」の二つの技術向上に必要な理論から具体的なトレーニング方法をわかりやすく解説。日々の過ごし方から投球術まで詳しくノウハウが凝縮された1冊だ。
 

目次

第1章 投手に必要な3つの柱
第2章 ピッチングにおける運動連鎖
第3章 技術習得のためのトレーニングピラミッド
第4章 投手が走る意味はどこにあるのか?
第5章 オフシーズンとシーズン中のコンディショニング
第6章 試合で勝つための投球術
第7章 医科学をどのように生かすか
 
工藤公康
1963年愛知県生まれ。1982年名古屋電気高校(現・愛工大名電高校)を卒業後、西武ライオンズに入団。以降、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズなどに在籍し、現役中に14度のリーグ優勝、11度の日本一に輝く。通算224勝。正力松太郎賞を歴代最多に並ぶ5回、2016年には野球殿堂入り。2015年から福岡ソフトバンクホークスの監督に就任。2021年退任までの7年間に5度の日本シリーズを制覇。2020年監督在任中ながら筑波大学大学院人間総合科学研究科体育学専攻を修了。体育学修士取得。2022年4月より同大学院博士課程に進学、スポーツ医学博士取得に向け研究や検診活動を行っていく。
 
 

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