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攻略難しい佐々木朗希。あえての「フォーク狙い」もあり?【工藤公康の眼】

今年3月に『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』を出版した工藤公康氏。交流戦が終わり熱い夏を迎える中、編集部が気になる選手や話題について、工藤氏に現場で選手やコーチに伝えてきた指導メソッドの視点も織り交ぜながら語ってもらった。

2023/06/27

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産経新聞社



見逃し方で「フォーク狙い」がわかる

 とはいえ、今の佐々木投手の投球スタイルを考えると、スライダーに絞って打つのはなかなか難しいことでしょう。やはり、軸となるのは160キロを超えるストレートと、落差の大きなフォーク。投球割合を考えてみても、このどちらかを捉えないかぎりは攻略にまではつながらないと思います。
 
 一般的には、フォークを狙うことは難しいですが、佐々木投手のように球種が少なく、フォークが生命線のひとつになっている場合には、あえて狙っていく攻略法もあります。これも、どんな場面で投じるかを細かく分析する必要がありますが、たとえば走者が得点圏に進み、追い込んだあとに投球割合が増えるとなれば、カウント2ボール2ストライクからフォークに張るのもひとつの手。「ストレートがきたら、ゴメンナサイ」と腹を括るぐらいの割り切りが必要になります。
 

 
 フォークを狙っているかどうか、ひとつの見方としては、見逃し方にあります。追い込まれた状況でありながら、低めのボールになるフォークをしっかりと見逃すバッターは、「フォークを狙っている可能性が高い」と判断することができます。ストレート狙いであれば、ほぼ間違いなく振ってしまうでしょう。
 
 バッテリーからすると、際どい低さのフォークを見逃されると、気持ち的にイヤなものです。こうした状況で生きてくるのが、第三の球種・スライダーです。フォークを狙うバッターは、目線が低くなっているため、スライダーには反応が遅れ、見逃しやすい。勝負どころでスライダーを巧みに操れるようになれば、佐々木投手の成績もおのずと上がっていくはずです。

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