元巨人クロマティに聞く、イチローがMLBで成功できた理由。日米通算記録に否定的、日本野球への懸念も
かつて巨人でプレーし、日本一に貢献したウォーレン・クロマティ氏は現在マイアミで余生を送っている。クロマティ氏がいるマイアミを訪れ、イチローがメジャーリーグで成功できた理由や日本野球に対して話を聞いた。
2016/08/20
阿佐智
日米の記録は一緒にできない
「そりゃ、もちろん日米の記録なんか一緒にできないよ。ナンセンスだよ。それなら私だって2000本安打を達成しているしね」
イチローの「安打世界記録」に対してウォーレン・クロマティ氏もピート・ローズ氏の持論を支持する。
彼の名を覚えている人も多いだろう。1984年に現役バリバリのメジャーリーガーとして来日、巨人軍を3度のリーグ優勝に導いたレジェンドだ。
しかし、この言葉はイチローの積み重ねてきた記録の価値を損ねるものではないとも彼は言う。日米のトップレベルを経験した男だけに、イチローが日本で放った1278本の価値も十分に理解している。
「日本の記録については、それはそれでリスペクトに値するよ。私が日本でのプレーを決意した理由のひとつにも王さんのチームでやりたいっていうこともあったからね。彼の放った868本のホームランとあのフラミンゴ打法はメジャーリーガーの間でも有名だったからね」
そう前置きをしつつ、やはり冒頭と同じ言葉を彼は発した。
「でもね、メジャーリーグと日本の記録を一緒にすることはナンセンスだよ」
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