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佐々木朗希が「特別な日」に捧げたウイニングボール。侍ジャパンに襲い掛かったチェコの“粘り”【WBC2023コラム】

2023/03/12

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“まさか”の展開にも焦らず 連打で逆転

 初回から飛ばす佐々木は164キロを記録するが、二死からクラップに内角直球を上手くさばかれ、左翼線二塁打を許す。続くセルヴェンカのゴロを、この日、遊撃に入った中野が一塁に悪送球。まさかの先制点を奪われる波乱の幕開けとなった。
 
 チェコの先発は大会初登板のサトリア。MAXでも130キロにも届かない“遅球”ながらも、抜群の制球力と変幻自在の変化球でヌードバー、近藤を連続三振。大谷もボテボテの一ゴロに打ち取り、最高の立ち上がりを見せる。
 

 
 2回から佐々木は、ストレート一本の投球スタイルを改め、スライダー、チェンジアップを主体に組み立てる。その裏、一死後、吉田からチーム初安打が生まれ、山田の四球、山川の中前打で満塁のチャンスを作るが、サトリアの粘りの投球の前に中野、甲斐が倒れ、得点に繋がらない。
 
 対する佐々木も毎回、走者を背負いながらも追加点を許さず、我慢の投球が続く。3回、近藤がライトオーバーの二塁打で出塁するが、続く大谷は三振。しかし、村上が四球を選び、今大会絶好調の吉田が左翼線に走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、逆転に成功。続いて、大会初先発の山田の左前安打で貴重な追加点を奪い、試合の主導権を握る。
 
 佐々木は4回、死球でエスカラに出塁を許したが、続くスモーラをこの日8つ目の三振に切って取る。ここで球数制限(65球)を超え、宇田川にスイッチ、いきなり三振を奪ってみせる。
 
 その裏には、四球で出塁した中野を甲斐が二塁に送り、ヌードバーがフルカウントから甘く入ったストレートをセンターに弾き返し甲斐が生還、続く近藤が右翼線二塁打、大谷が右翼フェンス直撃の二塁打を放ち5点差とする。さらに大谷は三盗を決め、投げる・打つだけでは収まらない「走る」プレーを見せ、“三刀流”ぶりを発揮。この回からサトリアの後を受け登板したフラウチをマウンドから引きずり下ろした侍打線はとどまるところを知らず、チェコ三番手のトメックから、吉田がキッチリとセンターに犠飛を放ち着実に加点。結局この回、4点を挙げ6点差とし、事実上、勝負を決めた。
 
 5回に登板した宮城が1失点を許すが、その裏、走者を二塁に置いて、鈴木誠也の出場辞退によって招集された“代役侍”牧原が大会初打席で中前にタイムリーを放ち、送球の乱れを突いて三塁を陥れる抜け目無さも見せ、持ち味をアピール。
 
 8回には牧が大会2本目となるソロ弾、続く村上は、誰しもが待ち望んでいた待望の大会初安打を右前に運ぶ。岡本、山田の四球で満塁とすると、山川の犠打で1点を追加。
 
 3番手で登板した宮城は5回68球を、7奪三振無四球、被安打2、1失点の内容の快投。2年連続2桁勝利で、山本とともにオリックス連覇の原動力となった実力を見せ、ロングリリーフで“第2先発”としての役割を果たし、最後は三者三振で試合を締めた。

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