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トレード期日が近づくMLB ドジャース、WS連覇への次なる一手は…?補強ポイントを徹底分析【コラム】

2025/07/17

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産経新聞社



(左から)マンシー、大谷翔平、キケ

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 7月31日(日本時間8月1日)のトレード期限が近づいている今季のメジャーリーグ。ここまでナショナル・リーグ西地区首位にいるロサンゼルス・ドジャースだが、故障者が多発しており、ワールドシリーズ連覇へ向けて更なる補強に動くことも十分に考えられる。そこで今回は、ドジャースの補強ポイントについて纏めた。(文:Eli)

ポジション別で見た補強ポイント

ドジャースロースター
 
 野手の補強を考えるにあたり、ドジャースは「ポジション別の層の厚さ」と「打線全体の完成度」の2つの観点から整理するのが有効だ。
 
 まず、ポジションごとの層を見ると、DH、C、SS、2B、1B、CF、RFはいずれも2人目まである程度の戦力が揃っている。トミー・エドマン、キケ・ヘルナンデス、キム・ヘソン、ミゲル・ロハスといったユーティリティプレーヤーの存在もあり、1〜2人の離脱であれば内部でのやりくりが可能な厚みがある。
 
 2BはDHや1B、Cのようにスター選手が固定されているわけではないが、エドマンやキムのような攻守両面で優れたUTL選手を使う枠として“空けておく”運用が理にかなっている。
 
 一方で、穴となっているのがLFと3Bだ。
 
 レフトは、1年1700万ドルで契約したベテランのマイケル・コンフォートに期待がかかっていたが、ここまで打率.176、wRC+76と低迷が続く。
 
 時折復調の兆しを見せる試合もあるが、月ごとのwRC+がリーグ平均(100)を一度も上回ったことはなく、厳しい状況が続いている。
 
 ポジティブな要素としては、BABIP(.214)がキャリア平均(.289)を大きく下回っており、一定程度「運の悪さ」が影響していることが挙げられる。
 
 また、打球速度と角度から算出されるxwOBAではMLB249人中92位と、平均以上の指標を残していることから、完全に落ち目の選手とは言い切れない。トレードせず現状維持でも良いが、コンフォートは守備力も低く、打線に置くだけでマイナスになっている。
 
 サードは成績ではなく故障による穴が問題だ。5月以降に限ればMLB8位の攻撃力を誇っていたマックス・マンシーが、プレー中のアクシデントで負傷離脱。
 
 復帰は8月〜9月と予想されており、試合勘を取り戻すまでを含めると本格的な戦列復帰は9月になる可能性が高い。プレーオフ争いが熾烈になる中で、3Bの穴は勝負を分ける要素になり得る。
 
 マンシーの復帰を信じて内部で繋ぐのか、それとも保険的に補強するのか、フロントはギリギリまで判断を迫られるだろう。
補強ポイント

 

 

打線のウィークポイント、補強ポイントは…?

ドジャース・打線ロースター
 打線全体で見ると、対右投手wRC+120、対左投手117と、左右いずれに対してもリーグトップクラスの攻撃力を発揮している。
 
 ただし、数年前から指摘されているように、上位打線に偏った「トップヘビー」構成なのは依然として課題だ。
 
 マンシーの復調、パヘスの台頭、そしてエドマンの加入により多少改善は見られるものの、下位打線には平均を大きく下回る打者を1、2人並べざるを得ない。余裕があるなら、下位〜ベンチ1番手を担えるリーグ平均クラスの打者を加えたいところだ。
 
 加えて、もしコンフォートを放出する場合は守備位置の再編も必要になる。テオスカーはライトを任せるにはやや不安があり、比較的負担の軽いレフトに回したい。強肩のパヘスをCFまたはRFに配置し、空いたポジションをエドマンやキムで埋める布陣が理想的だ。
 
 なお、キムはメジャー昇格以降、ベンチ中心+αの不安定な起用が続いており、そろそろ継続的な出場機会を与えるべき時期に来ている。
 
 マイナーに落とすのか、メジャーで使える戦力となるのか、一度腰を据えて起用しサンプルを確保し、メジャーでどれほど通用するのかを見極める必要がある。
 
 9月はロースターが拡大することもあり、1人余分に野手を加えることができる。プレーオフに向けて戦力を見定めることが求められる。

 

先発投手のウィークポイント、補強ポイントは…?

ドジャース・先発投手ロースター
 先発投手陣は全体として非常に充実している。長期離脱していたタイラー・グラスノーはすでに復帰し、ブレイク・スネルもマイナーでのリハビリを開始。大谷翔平はMAXで3イニングを投げられる段階まで回復している。
 
 加えて、クレイトン・カーショーとダスティン・メイが5〜6番手のローテ投手として働いており、その下には今季成長を見せている若手ジャスティン・ロブレスキー、エメット・シーアン、ランドン・ナックも控える。
 
 米分析サイト『Fangraphs』のポジション別デプスチャートでは、ザック・ウィーラー、クリストフェル・サンチェス、ヘスス・ルザルドの三本柱を擁するフィリーズに次いで2位と評価されている。
 
 理想のプレーオフローテは山本由伸、グラスノー、スネル、大谷だが、仮にこのうち1〜2人が不在でも十分戦える層の厚さがある。
 
 現状、エース級の先発投手が市場に少なく、獲得コストも跳ね上がっていることから半年のレンタルでも多くを差し出すことになる可能性が高い。ゆえに基本的にローテーション補強の必要性は低いと言える。

リリーフ投手のウィークポイント、補強ポイントは…?

ドジャース・リリーフ投手ロースター
 
 ブルペンも全体としては戦力が揃っている。K-BB%(三振率と四球率の差)が18%以上の投手はタナー・スコット、カービー・イエーツ、ブレイク・トライネン、アレックス・ベシアの4人。
 
 複数イニングを担えるアンソニー・バンダ、ベン・カスパリウス、ジャック・ドライアーに加え、ポテンシャル枠として剛腕のエドガルド・ヘンリケス、2023年オールスターのアレクシス・ディアス、DFAで獲得したウィル・クラインらもいる。
 
 唯一の懸念点は、トップリリーフ陣の稼働率だ。開幕から故障者が相次ぎ、現在フル稼働しているのはベシア(43試合)、スコット(42試合)、バンダ(42試合)とやや登板過多気味。プレーオフを見据えると、負荷分散のための補強は検討すべきだ。
 
 ブレイク・トライネン、マイケル・コペック、ブラスダー・グラテロルの復帰も見込まれているが、コペックとグラテロルは復帰が8月後半以降とされ、過度な期待は禁物だ。補強するなら、右投手のハイエンド〜ミドルリリーフが狙い目となるだろう。

 

 
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【了】



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