ドジャース、”常勝軍団”ゆえにWBC派遣には後ろ向き…?戦い続けることの影響、リスクとは【コラム】
2025/05/01
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球団の財政的リスク
MLBにおいてスーパースターは長期契約を結ぶのが通例であり、これは日本人選手についても例外ではない。
前回WBC(2023年大会)で、1,000万ドル以上の契約を結んでいた日本人選手は、吉田正尚(5年9,000万ドル)、ダルビッシュ有(6年1億800万ドル)、大谷翔平(年俸調停による1年3,000万ドル)の3人だけだった。3人の契約を合計しても、総額はわずか2億2,800万ドルに過ぎなかった。
しかし、2026年大会で同様のメンバーを招集するとなると、状況は大きく異なる。前述の3人に加え、山本由伸(10年2億6,000万ドル)、今永昇太(2年3,000万ドル)、鈴木誠也(1年1,900万ドル)、松井裕樹(2年1,225万ドル)と、長期かつ高額の残存契約を持つ選手たちが加わることになる。
球団にとって最も避けたいのは、「いらない金」を使ってしまうことだ。特にその典型が、契約の不良債権化である。例えばワシントン・ナショナルズは2020年、スティーブン・ストラスバーグと7年2億4,500万ドルという大型契約を結んだが、度重なる故障の末に彼は事実上の引退状態となり、多額の資金が無駄になってしまった。
ナショナルズは2025年と2026年にも、ストラスバーグにそれぞれ3,500万ドルを支払う必要がある。この資金があれば、チームはスーパースターの獲得や育成機関への投資に充てられたかもしれない。
こうしたリスクを徹底的に避けたい球団にとって、長期契約を結んだ選手が故障の面ではリスクでしかないWBCに出場することは、頭の痛い問題となるだろう。
特筆すべきは、大谷翔平の特殊性である。大谷はWBC開幕時点で8年5億6,000万ドルという、他の選手を遥かに超える契約を保持していた。
また大谷の場合、彼のブランドに付随するスポンサー契約もある。所属するドジャースは、大谷の加入によって2024年シーズンのスポンサー収入だけで1~2億ドルを生み出したとされている。
極めて可能性は低いとはいえ、大谷がWBC出場中に故障し、以後パフォーマンスが元に戻らなかった場合、こうした利益が消えるリスクを球団は抱えることになる。