ドジャース、”常勝軍団”ゆえにWBC派遣には後ろ向き…?戦い続けることの影響、リスクとは【コラム】
2025/05/01 NEW
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開催まで1年を切り、4年に一度の野球の祭典・ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への熱気が高まっている。前回大会では、大谷翔平とマイク・トラウトの対決が実現するなど大きな盛り上がりを見せた一方で、エドウィン・ディアスの長期離脱につながる故障や、クレイトン・カーショーの不参加といった課題も浮き彫りになった。そこで今回は、WBCに参加することについてのリスク、選手に与える影響などを纏めた。(文:Eli)
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なお、ここで取り上げる問題は、MLB選手のWBC参加そのものに反対する意図ではない。MLB球団は慈善事業ではない。すべての判断は利益とリスクを天秤にかけ行われている。
以下の問題はその球団側の論理を紹介しているに過ぎない。また最終的に出場可否の判断は、リスクを負う球団と、実際にプレーする選手との話し合いに委ねられるべきである。
オフが短くなる
2023年に行われた第5回大会の前例を踏まえると、WBCは3月上旬に各グループステージがスタートし、これが1週間ほど続いた後、決勝を含むノックアウトステージが3月中旬に行われる。実際、同大会では最も早いグループステージの試合が3月8日、決勝戦は3月21日に開催された。
WBCが3月上旬に始まるということは、この時期にすでに強度の高い試合が行われるということだ。通常のスケジュールでは、3月上旬の選手たちはまだ調整段階にあり、強度を上げていく初期の時期にあたる。
つまり、強度の高い期間が通常より1カ月前倒しで始まることになり、実質的にその分シーズンが長くなると言える。
さらに、前年や開催年のプレーオフを含めて考えると、選手の負担は一層増す。たとえば、ロサンゼルス・ドジャースが2025年と2026年に2年連続でワールドシリーズに進出した場合、2025年のシーズン終了は10月末、2026年はWBC開催の影響で3月上旬にシーズンが実質スタートする。
その結果、オフシーズンは調整期間も含めてわずか4か月程度に短縮される。これは、プレーオフやWBCがない場合の6か月間のオフと比べて、非常に短い期間だ。
この短縮されたオフを経て再びワールドシリーズまで進出すれば、連続して8か月超のシーズンを戦うことになる。仮に故障がなかったとしても、登板数・出場数は通常よりも大幅に多くなるだろう。
実際、2024-25シーズンではドジャースとニューヨーク・ヤンキースの両球団で故障者が相次いでいる。ヤンキースではゲリット・コールがトミー・ジョン手術によりシーズン全休、2024年の新人王ルイス・ヒルは広背筋の違和感、ジェイク・カジンズは肘関節屈筋の損傷で長期離脱中だ。
ドジャースでも、プレーオフで大車輪の活躍を見せたブルペン陣から、マイケル・コペック(前腕部の炎症)、エヴァン・フィリップス(右肩の故障)、ブレイク・トライネン(シーズン中の前腕部違和感)と、次々に故障者が出ている。これらの故障すべてがプレーオフの影響とは言い切れないものの、休養が長いに越したことはない。