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県立の進学校で説く骨(コツ)の重要性――「打撃伝道師」佐相監督が語る激戦区神奈川を勝ち抜く指導論<Part1>

昨年、夏としては初のベスト4入りを果たした県立相模原。強豪校の激戦区神奈川でいかにして勝ちあがっていったのか。「打撃伝道師」と呼ばれる佐相眞澄監督流の指導論をまとめた一冊、『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』(佐相眞澄著)から一部抜粋で公開。

2020/02/20

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効率よく取り組むための「骨(コツ)」の重要性

 地元では「県相(KENSO)」の名で親しまれている県相模原は、県内屈指の進学校であり、野球部員も難関の国公立大や東京六大学を目指して、勉強に励んでいる。大会での結果とともに年々部員数が増え、2018年には90名の部員数を誇った。平日の練習時間はおよそ2時間半で、そのあとに学習塾に通う選手もいる。時間をいかに有効活用するか。野球でも勉強でも、効率のいい取り組みが成長のカギを握る。
 
 私が日ごろから大事にしているのが、正しい努力をすることだ。バットを振るにしても、やみくもに振るのと、理論や課題をわかったうえで振るのでは、1本1本の重みが変わってくる。そのために伝え続けているのが、「骨(コツ)」の重要性である。コツを知らなければ、正しい努力をすることもできない。グラウンドの三塁ベンチのところには、「技術向上の骨」「努力の骨」「上達の骨」と書いたボードがあり、コツを得るための細かなポイントを記している。短い時間で大きな成果を出すには、コツの理解が欠かせない。
 
 ありがたいことに、県相模原の練習に興味を持つ指導者が多く、毎年のように全国から見学に訪れている。隠すことは何ひとつなく、質問にはすべて答える。見学に来る方は、公立の指導者が大半で、「公立をいかにして強くしたのか」に興味があるようだ。
 
 そこで、本書では「チーム作り」「上達の秘訣」「技術向上」「メンタル強化」「指導者として生きる」の5つの観点から、成長するためのコツを紹介していきたい。スポーツ推薦がない環境のなかで、県立の進学校がどのように取り組めば成果を出せるのか。チーム運営や技術指導に悩む指導者のみなさんの助けになれば幸いである。
 
 
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書籍情報

『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』
定価:本体1600円+税
 
【昨年夏の甲子園、神奈川大会で横浜を撃破して話題に!】
 
激戦区・神奈川で強豪私学に〝打ち勝つ〟進学校
束の力で大きな成果を出す
チームを強くし、強い“個”を育てる指導論
 
スポーツ推薦なし、大所帯の部員数、短い練習時間
限られた環境下で、いかに効率のいい取り組みができるか
 
横浜、東海大相模、慶應義塾、桐光学園
神奈川の『四天王』を倒すには、打ち勝つしかない
 
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打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え
 
 
【著者紹介】
県立相模原高等学校教諭
佐相眞澄(さそう・ますみ)
1958年8月31日生まれ、神奈川県相模原市出身。法政二高から日本体育大へ進学。強打の外野手として大学4年時に明治神宮大会優勝を果たした。卒業後は相模原市立新町中から大沢中、東林中に赴任。大沢中では1992年に全日本少年軟式野球大会で3位。東林中では1998年の全国中学校軟式野球大で3位など数々の成果を挙げた。2005年に川崎北高の監督に就任すると県立校ながら、打ち勝つ野球で2007年秋の県大会でベスト4。2012年に県立相模原高に着任。2014年夏にベスト8、同年秋にベスト4、2015年春は準優勝に導き、同校初の関東大会に出場へ導く。2019年夏はノーシードで勝ち上がり、準々決勝では横浜を打撃戦で撃破し創部初のベスト4へ進出。甲子園常連校を倒した公立校として、大きな話題を呼んだ。

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