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勝ちを目指すことに意味がある。「打撃伝道師」佐相監督が語る激戦区神奈川を勝ち抜く指導論<Part3>

昨年、夏としては初のベスト4入りを果たした県立相模原。強豪校の激戦区神奈川でいかにして勝ちあがっていったのか。「打撃伝道師」と呼ばれる佐相眞澄監督流の指導論をまとめた一冊、『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』(佐相眞澄著)から一部抜粋で公開。

2020/02/25

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「負けてもいい」で成長は得られない

 中学時代は全国制覇、川崎北では甲子園優勝を掲げ、現在の県相では甲子園1勝を目標に戦っている。東林中のときは練習着の太もものところに、「全国制覇」と黒いマジックペンで書かせていたこともあった。中学生はその気にさせれば、びっくりするぐらいの成長を見せる年代なのだ。
 
 川崎北では、「甲子園出場」と書いてあったボードを、私の指示で「甲子園優勝」に書き換えた思い出もある。ただ、高校野球で15年近く戦ったからこそわかることもあり、「甲子園優勝」ではあまりに目標が高すぎて、現実とのギャップが大きい。今の県相の目標は、選手の話し合いによって決まった「甲子園1勝」。私も、選手や応援団、保護者と一緒に、甲子園で校歌を歌いたい。
 
 最近は、勝利至上主義に対する批判を耳にするようになった。勝利のために、選手を酷使し、スパルタ的な指導をすることを指しているのだろうが、さすがに「勝つためなら何をしてもいい」とは思わない。ほかの指導者も同じ思いではないだろうか。
 
 ただひとつ言えるのは、競技スポーツである以上、勝ちを目指すのは当然ということだ。「負けてもいい」と思って戦っていては、成長は得られない。勝利に本気で挑むからこそ、負けたときに悔しさや反省が生まれる。勝つことで、上のステージに進めたときには、今までとは違う野球の奥深さを知れることもあるはずだ。もし、甲子園に出場できたら、「これまでの努力が報われた」とやり切った気持ちを抱くこともできるだろう。
 
「取り組んだ過程が大事」とも聞くが、それはすべてが終わってからの話だ。3年生の夏が終わったときには、「ごくろうさま。ここまで、よく頑張ったな。努力してきたことが、将来必ず生きるから。その土台を、高校野球で作ることができたはず。40代、50代になったときに、社会のリーダーとなるような人間になってほしい」と声をかける。
 
 ただ、自分たちのミスで負けたようなときには、「練習を振り返ってみてほしい。どこかで、今日のミスにつながるような取り組みがあったんじゃないか?」と、あえて厳しく言うこともある。そこを見逃していては、次のチームにはつながらないからだ。後輩には、「先輩たちを超えよう」と発破をかける。選手の頑張りもあり、近年の県相はひとつずつ着実にステップアップしているのがうれしい。

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