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「文武両道」ではなく「文武不岐」こそ高校生が求める理想。「打撃伝道師」佐相監督が語る激戦区神奈川を勝ち抜く指導論<Part5>

昨年、夏としては初のベスト4入りを果たした県立相模原。強豪校の激戦区神奈川でいかにして勝ちあがっていったのか。「打撃伝道師」と呼ばれる佐相眞澄監督流の指導論をまとめた一冊、『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』(佐相眞澄著)から一部抜粋で公開。

2020/02/27

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「文武両道」ではなく「文武不岐」

 部活と勉学の両方を高めている学校を「文武両道」と評することがある。県相の学校全体のモットーも「文武両道」である。ただ、私は少し考え方が違って、「文武両道」ではなく「文武不岐」こそが、高校生が求める理想だと思っている。
 
 この違いはどこにあるか。人から聞いた話ではあるが、文武両道は〝文〞と〝武〞をそれぞれ頑張る意味であり、文武不岐は〝文〞と〝武〞の頑張りがどちらにもつながっていくことだという。別々の道なのか、あるいはひとつの道なのか、そう考えるとわかりやすいだろう。
 
 教え子を見ていても、この言葉には納得できる。部活を一生懸命に頑張る子は、学力も伸びてきやすい。もちろん、その逆もある。彼らに共通しているのは、時間の使い方のうまさだ。部活の練習があれば、当然ながら、勉強にかける時間は短くなる。でも、それがわかっているからこそ、授業の中で理解しようとして、行き帰りの電車の中で英語の単語帳を開くようになる。
 
2018年にキャプテンを務めていた小島開陸は、横浜市から2時間近くかけて通っていた。通学の長さを心配していたが、その時間を利用して、電車内で勉強していたという。その結果、現役で東京外語大に合格した。疲れているときには寝てしまうこともあっただろうが、それが疲労回復につながるのであれば、有益な時間の使い方と言えるだろう。
 
 おかげさまで、近年は遠方から通学を希望する中学生が増えてきている。親御さんは通学時間を気にするが、そのときは「電車の時間を効果的に使っていた先輩がいました」と伝える。第1章で述べたように、1日24時間は誰にでも平等だ。部活も勉強もあり、「時間がない」と嘆いている人はなかなか上達していかない。
 
 大事なのは、「時間を作り出す」ことに意識を置くことだ。時間がないのであれば、作り出せばいい。その考えがあれば、電車が来るのを待つ時間に、教科書を開くこともできるはずだ。グラウンド内で3歩以上の移動は必ず走ることも、時間を作り出すことにつながっていく。部活も勉強も、〝すきま時間〞を有効活用できる生徒は、伸びていきやすい。
 
 また、文武ともにレベルの高い生徒から感じるのは、集中力の高さだ。短時間でガッと集中して、高い成果を生み出す。県相の練習時間が短いことは、進学校の生徒に合っているように思う。
 
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書籍情報

『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』
定価:本体1600円+税
 
【昨年夏の甲子園、神奈川大会で横浜を撃破して話題に!】
 
激戦区・神奈川で強豪私学に〝打ち勝つ〟進学校
束の力で大きな成果を出す
チームを強くし、強い“個”を育てる指導論
 
スポーツ推薦なし、大所帯の部員数、短い練習時間
限られた環境下で、いかに効率のいい取り組みができるか
 
横浜、東海大相模、慶應義塾、桐光学園
神奈川の『四天王』を倒すには、打ち勝つしかない
 
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打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え
 
 
【著者紹介】
県立相模原高等学校教諭
佐相眞澄(さそう・ますみ)
1958年8月31日生まれ、神奈川県相模原市出身。法政二高から日本体育大へ進学。強打の外野手として大学4年時に明治神宮大会優勝を果たした。卒業後は相模原市立新町中から大沢中、東林中に赴任。大沢中では1992年に全日本少年軟式野球大会で3位。東林中では1998年の全国中学校軟式野球大で3位など数々の成果を挙げた。2005年に川崎北高の監督に就任すると県立校ながら、打ち勝つ野球で2007年秋の県大会でベスト4。2012年に県立相模原高に着任。2014年夏にベスト8、同年秋にベスト4、2015年春は準優勝に導き、同校初の関東大会に出場へ導く。2019年夏はノーシードで勝ち上がり、準々決勝では横浜を打撃戦で撃破し創部初のベスト4へ進出。甲子園常連校を倒した公立校として、大きな話題を呼んだ。



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