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大船渡・佐々木朗希は温存されたのか酷使されたのか。日米間で隔たる認識、決勝登板なしは“当たり前”

2019/07/26

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決勝登板なしは“当たり前”

 大会日程も見逃せない。元々、同州の高校野球は地域ごとのリーグ戦が主であり、各リーグ戦の上位校が進出する決勝トーナメントも3~4日の試合間隔が空いているのだ。1例を挙げるなら、2019年度の南カリフォルニア地区の決勝トーナメントは準々決勝が5月10日、準決勝が5月14日、決勝戦が5月18日に行われている。そして、野球に関しては州レベルでの大会は行われない。もちろん、全国大会もない。
 
 佐々木投手は7月21日の4回戦で延長12回を投げ抜き、194球を投げた。仮にこの試合が同州で行われていたとしたら、佐々木投手の投球数が110球に達した時点でルール1)に抵触し、試合途中で降板しなくてはいけなかったことになる。
 
 そして24日の準決勝でも佐々木投手は中2日で先発し、この日も9回129球を投げている。同州のルールではそもそも登板することがルール4)で許されず、さらにこの試合での投球数もルール1)に抵触する。

 国保監督が佐々木投手を準々決勝と決勝に登板させなかったことが注目を集めているが、米国野球の常識ではそれが当たり前であり、それよりも登板した試合での投球数や試合間隔がむしろ問題視されるだろう。
 
 我々日本人には、高校球児やその関係者にとって甲子園大会がいかに大きな意味を持つかが理解できるが、米国の野球ファン、あるいはメジャーのスカウトたちにとっては、それは単なる高校野球の1大会に過ぎない。佐々木投手の将来の希望にメジャーリーグがあるかどうかはわからないが、少なくとも米国での佐々木投手のスカウティング・レポートには今大会での投球数が健康面での大きな懸念材料として残ることは想像に難くない。
 
 
角谷剛

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