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日韓戦で“引導”を渡した侍ジャパン 懸念される韓国野球界の未来とは…【WBC2023コラム】

2023/03/11

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現実となった17年前の“イチロー発言”

 一気に試合を決めたい侍ジャパンは、負傷した源田に代わって、途中から遊撃の守備に入った中野が右翼線を破る三塁打でチャンスメーク。大会前“遊撃手の層が薄い”と不安視された声を一掃する激走を見せた。代わったキム・ユンシクは制球に苦しみ、中村は四球、ヌート
バーは死球を受け、無死満塁となり、近藤に押し出し四球を与え、1アウトも取れないまま降板。試合を壊してしまう。代わったキム・ウォンジュンに相対するのは大谷。期待通りに右前タイムリーを放ち、さらに続く村上の左犠飛、吉田の右前打と続き、当たりが止まらない侍打線は2桁安打に乗せる。さらに交代したチョン・ウヨンから、岡本が左中間に鋭く飛ばし大谷が生還。この回、5得点のビッグイニングとし、7点差に広げ、一気に勝負を決定付けた。
 
 余裕が出てきた日本は、育成出身初の侍ジャパン入りを果たした宇田川を“世界デビュー”させ、若武者右腕はその期待に応えるように、1イニングをパーフェクトリリーフ。強化試合では制球難に悩まされていた松井も登板。走者を出さずに復調を印象付け。最終回も髙橋宏が3人で締めた。
 

 
 7回にも2点加点し、もう1点でコールド勝ちまで迫った侍ジャパンは、韓国に反撃を許さず、韓国打線にも、その気概が伝わってこないままゲームセット。
 
 結果として、終わってみれば、両国の実力差がハッキリと出たといっていいだろう。その点差と同様に、次々と日本国内でプレーする好打者、好投手が海を渡り、メジャーに移籍しながらも、また次のスターが生まれてくる日本球界に比べ、停滞を続ける韓国球界の現在地を示した格好だ。
 
 試合後、栗山監督は「最終的に点が開いたが、どっちに転んでもおかしくないゲーム。しっかり勝ち切れて良かった」と試合を振り、踏ん張った投手陣についても「みんな特徴が出ていたと思う。ボールにもアジャストしてきている」とねぎらった。13安打13得点と猛攻を見せた打線については「とにかく選手たちが自分のことに集中して、流れに繋がった。勝つことができただけに反省することは反省したい」とコメント。加えて、11日のチェコ戦は佐々木朗希が先発すると明かした上で「状態が良く見えるので投げ切ってくれると思っています」と期待を寄せた。
 
 さらに、3打点の活躍を見せた近藤とともに会見に臨んだダルビッシュは「WBCだからというより、日本で投げるのが12年ぶりなので特別に感じて投げていました。生まれ育った場所なので、こういう機会はもうないかもしれない、最後かもしれないと思って投げていました」と語り、内容については「球速も出ていたし、細かいコントロールはまだですけど、今年初めての試合としてはよかったと思います。球速以外だとスライダーの曲がりであったり、ストライクも取れましたし、そういう部分では良かったです。ただ、3失点はスライダーが甘く入ったところを打たれたもので、そこに関しては良くなかったと思います」と、収穫と反省を口にした。
 
 この日、先発したことで、準々決勝での登板も可能となるが、百戦錬磨の右腕は、それまでに修正してくるのは必至だろう。

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