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セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~11位-20位~

2021/03/02

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Getty Images, DELTA・道作



 

 

松井、イチローがMLBに移籍しなければどうなっていた?

 11位から20位には、2000-2010年の間に活躍した選手が7人ランクインしている。この年代にはほかにイチロー、福留孝介など、MLB流出のため日本時代の成績が伸びなかった選手もいる。筆者としては、選手の資質的にこの時期がNPB史を飾る黄金期であったと考えている。

 特に松井秀喜は、どの選手でも成績が伸びづらい高卒直後の時期を含む10年間だけで通算15位にランクインしている。MLB流出前は毎年成績を上昇させつづけていた。松井がNPBで選手生活を全うしていた場合、渡米直前の3年のうち最も悪かった2000年の成績を残し続けると仮定しても、34歳の時点で王貞治に次ぐ歴代2位までwRAAが伸びていたことになる。MLBへの移籍がなかった場合、wRAA歴代ベスト3は王、松井、イチローの並びになっていた可能性が高い。今後も並外れた打者が生まれた場合、年齢などの問題がない限りMLB行きが想定されるので、10位以内に新たなメンバーが加わることは以前よりも難しいことになるだろう。
 
 ほかにもベスト10には魅力的な打者がランクインしている。デビューが遅かったり、稼働年数が短いなどの理由で、10位以内にはランクインしていないものの、それぞれが上位10人に匹敵するポテンシャルを有している。特に小笠原道大はベスト10シーズンの通算では歴代9位、アレックス・カブレラはベスト10シーズンの通算で歴代10位の数字を記録した。松井はベスト10シーズンの通算で歴代8位、ベスト5年の数字では4位にランクインする。
 
 11位の榎本喜八、17位の藤村富美男、20位の豊田泰光はいずれもキャリアにおいて、現代よりリーグのチーム数が多い時代を過ごした。チーム数の多さはリーグレベルの低下を意味するため、wRAAの数字もやや過大評価になっている可能性がある。特に藤村は一挙にチーム数が2倍になる選手不足とラビットボールという非常に数字の伸びやすい時期を経験している。ただ一方で出征と戦争によるシーズン中止で5年間を棒に振っており、9位にランクインした川上哲治同様、評価の難しい選手である。
 

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