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栗山マジックさく裂なるか。CS突破のカギは、「先行逃げ切り」の勝ちパターン復活にあり【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#86】

優勝を逃したファイターズが、日本一の挑戦権を勝ち取るにはレギュラーシーズンで苦しんだソフトバンクと西武を倒さなければならない。はたして勝機はどこにあるのか。

2018/10/09

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ファイターズの野球に持ち込めるか

 ファイターズは西武とCSファイナルを戦う前に、ソフトバンクを打ち負かし、挑戦権を手に入れなくてはならないのだが(そして、それはなかなかハードルが高いのだが)、栗山英樹監督は何度もディレードスチールを試したり、左の堀瑞輝や藤岡貴裕をリリーフで使いますよとアピールしたり、いわゆる「栗山マジック」のタネを仕掛けていた。勢いの点では西武にもソフトバンクにも後れをとる。うちの決め手は「栗山マジック」だ。
 
 この西武にどうやって対抗したらいいだろう。栗山さんの仕掛けたタネを見ると、「打ち合いでは勝てっこない」という前提がある。ファイターズはどうやら故障のレアードが戦列に戻れないようだ。ファイターズが(ある程度まで)西武打線に伍していく条件は大田泰示と近藤健介が好調であることだ。7月追い上げていた時期はそれがあった。但し、そこに中田翔とレアードの主砲2門が加わらなきゃいけない。今は横尾俊建で補うしかないが、どうしても下位打線が弱くなる。清宮幸太郎、アルシアも安定感に欠ける。
 
 となると相手のミスに乗じたり、スクイズやディレードスチール等、小技で得点するしかなくなる。スモールベースボールだ。ファイターズは本来、ゲッツー崩れや犠牲フライで小刻みに得点し、継投で逃げ切る野球を得意にしてきた。ディフェンス重視。猛打西武とは対極の野球だ。「打ち合いでは勝てっこない」として、自分たちのストロングポイントに持ち込む戦いができるか。要は「先行逃げ切り」の勝ちパターンを復活させられるかどうか。
 
 つまり、投手が西武打線を抑えなきゃいけない。「山賊打線」なのか「獅子舞い打線」なのか「獅子威し打線」なのかわからなくなってしまったが、恐怖感を克服し、あの強力打線と勝負しなきゃいけない。至難の業ではある。が、怖がってしまうとむしろ手酷い目に遭う。先発が試合をつくれるかで展開が変わる。上沢、マルチネスはCS第1ステージで投げそうだから、ファイナルは左の先発が起用されるだろう。僕は(加藤貴之もいいけれど)いっそ18歳の北浦竜次をぶつけたら面白いと思う。初物だからデータがない。そして初物だから怖さを知らない。
 
 いずれにしてもソフトバンク、西武ともにシーズン後半、黒星を重ねた相手なのだ。これまでと違う、短期決戦の戦い方をしなきゃいけない。うちは(地震で中心になった振替試合の)10、11日、ロッテ2連戦が残っている。CS直前まで公式戦で調整できるのだ。試合勘を失わず決戦に挑むことができる。栗山さん、面白いものを見せてよ。期待してますよ!
 
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