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栗山マジックさく裂なるか。CS突破のカギは、「先行逃げ切り」の勝ちパターン復活にあり【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#86】

優勝を逃したファイターズが、日本一の挑戦権を勝ち取るにはレギュラーシーズンで苦しんだソフトバンクと西武を倒さなければならない。はたして勝機はどこにあるのか。

2018/10/09

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西武の強さに脱帽

 埼玉西武ライオンズ、パ・リーグ制覇おめでとう!
 西武戦は●●●に始まり●●●に終わった。正確に言うと最後の札幌ドームは4連戦で、〇●●●だったわけだが、とにかく今年、レギュラーシーズンの対西武戦が3連敗のスタート&フィニッシュだったことは間違いない。しかも、どちらもホームゲームでの出来事だ。心理的なダメージがある。7月下旬には0.5差まで追いすがったけれど、一度も上には立てず、夏場以降は引き離される一方だった。
 
 むしろ、7月22日にファイターズが首位に立つ可能性があったことのほうが驚きだ。あの日、西武は楽天戦だった。8回に逆転して勝利し、首位を堅持した。その後、こちらの追い足が鈍り、ソフトバンクにも抜かれてしまう。いや、本当に強かったなぁ今季の西武。シーズン序盤に8連勝があって最後に12連勝があったから、ぶっちぎりの印象が強いけれど、肝心なところの勝負強さも際立っていた。山川穂高が調子を落とすと中村剛也が火を噴いたように、絶えず形を変えながら相乗効果で強度をキープした。これは素直に称(たた)えたい。
 
 僕はその7月混戦の段階で、9月30日からの西武3連戦は(雨天順延分を組み込んだ4連戦と踏んでいたが)天王山になるだろうと想定していた。もちろん札幌のホテルも押さえていた。それがヤマ場でも何でもなく消化試合になるとわかって、予約をキャンセルしたときの寂しさである。僕は西武が「13連勝」し、地元メットライフドームで胴上げするものと思った。それがお互いのためだ。そうしたらマジック1で札幌に来てしまった。
 
 西武が優勝を決めた9月30日の22回戦はビミョーなものだった。相手と試合してるようで相手と試合していない。西武は10年ぶりの優勝のプレッシャーと戦ってる感じがした。ファイターズは石井裕也の引退試合というモードのほうが強かった気がする。「何としても札幌ドームでの胴上げは見たくない」より「勝って石井裕也を送り出したい」のほうが正直な感情だ。もう西武には手が届かなくなっていた。ファイターズは優勝マジックの対象チームですらない。
 
 ファイターズは杉浦稔大の好投などでその試合に勝ったのだ。勝ったけれど、胴上げを見ることになった。ヤフオクドームでソフトバンクが敗れたのだ。ロッテの岡大海が満塁ホームランをかっ飛ばして、僕らはLINEで「岡、西武優勝(ほぼ)決定弾!」「2018年、パの優勝を(だいたい)決めたのは岡だった!」などと軽口を叩いた。ちなみにちょうど10年前もそっくり同じことが起きた。ファイターズが勝って、西武が(他球場の結果を受けて)リーグ優勝を決めたのだ。あのときより心の準備ができていたなと思ったのが、西武・辻発彦監督の胴上げのとき、場内にライオンズ応援歌が流れたことだ。気が利くなぁと感心した。北海道のファイターズファンがシーズン王者に温かい拍手を送った。流行りの用語でいえば「優しい世界」だ。僕はこういうときトゲトゲしない北海道のファン気質が大好きだ。またトゲトゲするまでもなく、圧倒的な差がついていた。
 
 10月に入ってからの●●●フィニッシュは「CSへの前哨戦」という位置づけで負けたものだ。主力を休ませ控え選手を起用する調整試合の意味合いもあるし、CS用の実地テストの意味合いもあった。勝ち負けにこだわらないと言いたいところだが、●●●はちょっとまずかった。西武相手の苦手意識は払拭しておきたかったよ。それが「こっちはランナーが出てもぜんぜん帰って来ない」「西武はカンタンに帰って来る」というイメージがこびり付いてしまった。「残塁」「タイムリーが出ない」「あっさり失点」「勝てる気がしない」、こういうマイナスの印象が積み重なってしまった。

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