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日本一詳しい2軍キャンプ中継で見せた、田中幸雄前2軍監督の親心【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#69】

今年のGAORAのファイターズキャンプ中継は1軍キャンプこそ一歩後退したが、一方で日本一詳しい2軍キャンプ中継が誕生した。解説を務めるのは、田中幸雄前2軍監督だ。

2018/02/10

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人柄溢れる、田中幸雄・前2軍監督の解説

 で、第2クールまではスタジオが結城哲郎アナと田中幸雄・前2軍監督だった。この2人のトークが実年齢以上にお爺さん感があるというか、やさしくつつみ込むトークなのだ。結城アナはベテランだからトークが手詰まりになると「しかし、考えてみますと……」方式でどんなことでもネタふりする。この方式は自由自在だ。「しかし、考えてみますと耳鼻咽喉科は耳がいちばん最初ですね」。とりあえすしばらくはこの話(順序が「鼻耳咽喉科」ならどうだったか等)でもたせられる。
 
 実況がそういう枯淡の域に達した結城さんワールドで、解説が幸雄さんだ。幸雄さんは真面目で口ベタな性質でもあるのだが、それ以前に「いい人」だ。決してひとを悪く言わない。解説としてはすごく当たり障りのないことを言う感じになる。どの選手も「1軍で活躍できるだけのものを持ってるはずですから、努力を怠らず、チャンスをものにして欲しいですね」と言う。まぁ、それはどの選手もまさにその通りなのだ。何の異論もない。本当に堪能した。
 
 幸雄さんのスタジオトークでいちばん笑ったのは、ベテラン田中賢介とのやりとりだ。スタジオの幸雄さんと国頭の賢介のクロストークである。質問して欲しくて水を向けられているのに幸雄さんは「顔を見られただけで満足です」「19年目か。僕は22年やったから追いついて」と言ってもうそれで嬉しそうなんだ。賢介からルーキーイヤー、キャンプで(大先輩の幸雄さんと)同部屋だったエピソードが披露されるが、それは拾わない。僕は「顔が見られただけで満足です」というインタビュアーの境地というものを学んだのである。

幸雄さんから清水へのメッセージ

 そんな幸雄さんがちょっとだけ踏み込んだ言い方をしたのが(アリゾナ組の)清水優心だった。順を追って説明すると、建山義紀さんがマイクを向けた単独インタビュー(第1クール5日目)の映像が届いたのだ。大野奨太の中日移籍は清水にとって大チャンスである。昨年は61試合に出場機会を得た。
 
「やっぱり1軍で1年間通して活躍できるっていう難しさを知りましたし、やっぱり自分も、自分なんですけど、自分は浮き沈みが激しいんで、そこはやっぱり……、ま、浮き沈みは誰にでもあると思うんですけど、そこはやっぱり幅を少なくした選手が1軍で活躍してると思うんで……、そういうところはなくしていきたいなと思います」(清水)
 
 再録していて微笑ましくなるが、ものすごく口ごもりながら自分の課題を言った。引きずるタイプらしい。今季は市川友也、黒羽根利規に加え、鶴岡慎也、實松一成まで帰ってきた。また近藤健介が現時点で捕手の練習をしている。メンタルが相当強くなければ勝ち残れない。一つのテーマを継続して考える資質、という捉え方をすれば「引きずるタイプ」は捕手としてマイナス面ばかりではないが、情報処理力は要求される。強い気持ちで切り替えてかないとその点、後れを取る。
 
 スタジオで受けた幸雄さんが「経験を積んで自分のいいとこ悪いとこ、だいぶわかってきてるんじゃないですか。自分でも言ってましたけど気持ちの浮き沈みですか、僕も見てましたけど、喜怒哀楽、そういったものが表情に出る選手で、調子が悪いと不機嫌になる。それは自分でも気づいてますから、これから直していけばよくなるんじゃないでしょうか」。面白かった。幸雄さんだから表現は穏やかだが、捕手が子どもじゃダメなんだぞ、ということを言っている。
 
 清水は同インタビューのなかで「100試合出場」を目標に掲げた。どんな成長を見せてくれるだろう。がんばれ負けるな清水優心!
 
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