大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » プロはこう見る » 戸郷翔征、成長の要因。制球の安定は打者の早打ちを呼ぶ【工藤公康の眼】

戸郷翔征、成長の要因。制球の安定は打者の早打ちを呼ぶ【工藤公康の眼】

今年3月に『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』を出版した工藤公康氏。交流戦が終わり熱い夏を迎える中、編集部が気になる選手や話題について、工藤氏に現場で選手やコーチに伝えてきた指導メソッドの視点も織り交ぜながら語ってもらった。

2023/07/01

text By

photo

産経新聞社



フォークよりも注目すべきストレート

 

 
 プロ入り5年目を迎えた戸郷翔征投手が、開幕から好投を続けています。WBCのときから状態の良さを感じましたが、体力面、精神面ともにコンディションを維持したまま、シーズンに入ることができたのでしょう。
 
 エースの菅野智之投手が戦線を離脱していることで、「自分が投手陣を引っ張っていく」という自覚が芽生えているようにも感じます。昨年12勝8敗、防御率2.62と、キャリアハイの結果を残しましたが、ケガさえなければ、それに近い数字を残せるのではないでしょうか。
 

 
 年々、成長を感じるのは、ストレートのコントロールです。「戸郷投手=フォーク」のイメージが強いかもしれませんが、一番の特徴はストレートの安定感にあります。
 
 バッターがストレートを狙う若いカウントでも、アウトローにきっちりと投げ込めるため、見逃しやファウル、空振りでストライクを取ることができています。いくらストレートを狙われていても、目から遠いところにコントロールできれば、そう簡単に打たれることはありません。芯で捉えられたとしても、ボールが低ければ、シングルヒットで収まるものです。
 
 ストレートの状態がいいことは、おそらく、打者側も感じているでしょう。そうなると、ストレートへの意識をより強く持つようになり、フォークやスライダーの見極めが難しくなっていくのです。

1 2