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“腫れ物”扱いのイチロー。致命的な低打率も日本のファンが期待してしまう「何か」

シアトル・マリナーズのイチロー外野手が「2019 MGM MLB Opening Series」に先駆けて、読売ジャイアンツとのプレシーズンマッチに出場した。24打席連続無安打と不振にあえぐ現状を受け止めながらも、イチローは結果を出す機会をうかがっている。日本のファンは常識を覆すような「何か」を期待して東京ドームへと足を運ぶ。

2019/03/19

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現実を受け止めようとする模範的姿勢と反骨心

 イチローが45歳になっても現役を退かない姿勢をすべての人間が好意的に見ているわけではない。特にアメリカのメディアは厳しく「引退の時期はいつか」という質問を投げかけるくらいだ。日本のファンからしてみれば、イチローが現役を退くかもしれないという事実を信じたくないが、マイナー契約という立場上、いつ、その身が追われてもおかしくはない。
 
 イチローはそうした現状をしっかりと受け止めている。
 
 来日会見では次のように話している。
 
「当たり前のように答えを出して当たり前のようにここにいる状態を作りたかったんですけど、実際はそうはならずに、たいへん、苦しみました。僕は2012年にシアトルからニューヨークにトレードで移籍しました。そのあとから、毎日、その日を懸命に生きてきた。それを繰り返し重ねてきました。それはマイアミにいってからも同じだった。メジャーは厳しい世界ですから、いつチーム通達が来るかわからない。そういう日々を過ごしてきて、今日ここにいる」
 
 メディアを含めたイチローに対しての日本人の見方は腫れ物に触るかのようだ。それでもしっかり現実を受け止めようとするイチローの姿勢は、トップアスリートの模範とも言えるだろう。だが、そうした現状を受け止めつつも、やはり、このままで終わるつもりもないという気持ちも、イチローならでは、だ。
 
「ここまでは自分の思うような結果が出せていないんですけど、過去の経験から2004年の後、262安打を打った翌年の2005年のキャンプでは、出場した試合で毎試合のようにヒットを打ちました。しかし、シーズンが始まってみると大変苦しみました。一方で、春から20数打数ノーヒットで迎えた時があった。しかし、この年は200本安打を達成して、自分としてはいい年になったという経験もあります。春に起こることというのは、いろんなことがある。場所が変わって、大好きな日本でプレーする。今の自分の持てる技術を見せたいと思っています」

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