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【MLB】ダルビッシュ有が史上最高投手である理由。常識を超えたすごさ、サイヤング賞も視野に【小宮山悟の眼】

 23日のカンザスシティー・ロイヤルズ戦で8回1失点と好投し2勝目を挙げた、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手。速球と変化球を自在に操り、打者を抑え込む姿に、投手最高の称号でもあるサイ・ヤング賞獲得を現実的に臨む声も多いだろう。右肘のトミー・ジョン手術から復帰して2年目のシーズン、凄みを増したダルビッシュはどんな輝きを見せてくれるのだろうか。

2017/04/29

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これまでにない「偉業」の投手像を目指せ

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 テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有とヤンキースの田中将大が開幕投手を務め、岩隈久志(シアトル・マリナーズ)、前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)がローテーションを務めている。上原浩治(シカゴ・カブス)田澤純一(マイアミ・マーリンズ)がリリーバーとして活躍し、野手の方もイチロー(マーリンズ)は先日本塁打を放ち、青木宣親(ヒューストン・アストロズ)は日米通算2000本安打まで20本を切っている
 
 今日はそんな中から、前回登板の現地23日に行われたカンザスシティー・ロイヤルズ戦で8回を5安打1失点8奪三振で勝利投手になり、米メディアをにぎやかにさせているダルビッシュについて取り上げたいと思う。
 
 ダルビッシュは開幕して5試合に先発し、2勝2敗、防御率3.03の成績を残している。私はこの成績について、可もなく不可もなくという評価だ。前回のロイヤルズ戦のピッチングを見ればもっと褒めるべきかもしれないが、ダルビッシュには高い期待を置いているため、そういう評価になっている。
 
 ダルビッシュはサイ・ヤング賞獲得の期待がある。そう考えると今のパフォーマンスは少し物足りない。例えば、ボストン・レッドソックスのクリス・セールの活躍ぶりと比較すると足元に及ばないといえるだろう。
 
 ただ、ピッチング内容そのものは及第点であり、少しずつ良くなってきているのは間違いない。トミー・ジョン手術からのリハビリを経て2年目のシーズンであるから、万全な状態でシーズンに臨めている。年間を通してローテーションの中心として回ってくれるだろう。
 
 体調が万全になり、テクニカルな部分でいい影響が出ている。手術から復帰後1年目はどうしても感覚がまだ戻っていない。例えば、自分の中で思ったようなボールが投げられない時に「あれ?」とクエスチョンマークがつく。結果以外の部分で、そのクエスチョンが手術をしたことによるものなのかと考えてしまうのだ。
 
 ところが2年目になると、1年経験した分、ボールを投げたときのクエスチョンが手術明けの時とは違ってくる。自分の中で「今はこうしよう」「今回はああしよう」とアプローチの仕方が変わってくる。つまり、問題解決がスムーズにいくのだ。すべてにおいてポジティブに捉えられるから、それがテクニカルにいい影響を及ぼすのだ。
 
 私はそんなダルビッシュに対して、メジャーリーグにいないタイプの投手像を描いている。実は、彼本人にも伝えているのだが、そもそも、ダルビッシュは「変化球投手」だ。ありとあらゆる変化球を投げられる器用さを併せ持っていて、なおかつ、そのすべてが勝負球で使えるようなレベルを有している。それでいて、あの腕の振りの強さ、100マイル(約161キロ)に届こうかというストレートを投げる。
 
 ダルビッシュによく言うのだが“100マイルをたたき出す変化球投手”という常識では考えられない。これまでにない偉業を達成できるような投手を目指せという話をしている。
 
 過去に100マイルを投げる投手は多くいた。そして、たいていそういう投手は速球派投手、パワーピッチャーだ。先発で100マイルを投げる投手でいうと、ニューヨーク・メッツのノア・シンダーガードなどが該当するが、やはり彼もパワーピッチャーだ。

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