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ドジャース、次のターゲットとする日本人選手は…?!メジャーリーグに適応出来そうな選手を徹底検証!【コラム】

2025/07/01

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産経新聞社



(左から)才木浩人,村上宗隆,岡本和真

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 昨オフには佐々木朗希、菅野智之など新たな日本人選手がメジャーリーグに挑戦するなど、メジャー移籍が活発になった日本プロ野球。今オフも日本人選手が海を渡ると想定されるが、現時点での評価はどうだろうか。そこで今回は、将来メジャーリーガーとなり得るNPBの一流選手をピックアップした。(文:Eli)(※今季成績は6月30日時点のもの)

才木浩人

阪神・才木浩人
 まずは阪神タイガースの右腕・才木浩人。3月16日に行われたロサンゼルス・ドジャースとのプレオープンゲームでは、MLB屈指の強打線を相手に5回無失点・7奪三振・16空振りの快投を見せ、大きな注目を集めた。
 
 シーズン通算でも81.1回を投げ、防御率1.66(NPB9位)、FIP2.54(同13位)と安定したパフォーマンスを継続している。
 
 才木の魅力は、MLB換算でもトップクラスとなるフォーシームのスペックだ。球速こそ平均93.4マイルとMLB平均をやや下回るが、回転数2617rpm、垂直変化22.5インチ、エクステンション7.4ftと、いずれも非常に優れた数値を記録。
 
 特にドジャースのアレックス・ベシアのフォーシーム(空振り率28.4%、MLB26位)と似通った特徴を持ち、才木の方が一部の指標で上回っている。
 
 また、フォーシームとトンネル効果を生み出すスプリットの存在も大きい。山本由伸ほどの球速はないものの、低スピンで直球と同じ軌道から鋭く落ちる軌道はMLBでも簡単に対応できるものではない。
 
 さらに、カッターやスライダーも球速をあと2マイルほど上げられれば、第3の武器としてMLBで通用する可能性がある。
ドジャース戦の才木浩人

 

 

宮城大弥

オリックス・宮城大弥
 山本由伸が去った後、オリックス・バファローズのエースを担っている宮城大弥。2022-2024スパンにおけるK-BB%は1位佐々木朗希、2位山本由伸に次いで3位の17.5%を記録している。それだけ完成度が高い投手と言えるが、MLBで活躍できるかどうかは博打の要素が強い。
 
 というのも球速や変化量などの面では目を見張る数値を出しているとは言えないからだ。速球平均92.1マイル(約148キロ)は平均以下であり、変化球も平均70マイル(約112キロ)と非常に遅い。しかし佐々木、山本と肩を並べるだけの成績を残しているということは、何かが隠されているはずだ。
 
 球威測定モデルStuff+を開発した一人であるEno Sarris氏は「Stuff+を騙す方法はコマンドと球種の数だ」と言っている。つまり球速や目を見張る変化量が無くても完璧な制球力や球種の数を増やして打者に的を絞らせないようにすれば抑えられるということだ。
 
 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での宮城はシンカー/スイーパーの大きな横変化を軸に組み立て、スプリット/チェンジアップ、更に50マイル(約80キロ)台のカーブで球速変化を持つ投球をしている。さらに過去3シーズンではNPB7位となるBB%4.8と制球力は十分あると言える。
 
 MLBでの成功には、ロイヤルズのセス・ルーゴのように球種と球速帯を最大限に広げつつ、制球力で勝負するスタイルが求められそうだ。パワー不足は否めないが、抜群の完成度とインテリジェンスで補えるかが鍵となる。
チェコ戦の宮城大弥

 

 

大勢

巨人・大勢
 読売ジャイアンツの大勢が持つユニーク性はMLBで通用しそうだ。サイドスローから繰り出される100マイル(約160キロ)に達するフォーシーム/シンカーは、ニューヨーク・メッツのクローザーエドウィン・ディアスを想起させる。
 
 ディアスは毎年のように空振り率30%以上を記録しており、大勢も高めに速球を集められれば同じことができるだろう。
 
 もっとユニークなのはスプリットだ。そもそもMLBはおろかNPBにもサイドスローのスプリット使いはレアなのではないか。大勢のスプリットはさらにその先を行く。
 
 というのもスピン量が非常に少ないのだ。つまり大勢のスプリットは①サイドスロー、②ナックルボールレベルの低スピンという2つのレアな特徴を持つ。
 
 平均97-98マイル(約156~157キロ)の速球とサイドスローナックルスプリットの組み合わせをリリーバーという短い時間で打者が対応するのは不可能に近いだろう。事実、大勢はキャリアでNPBトップクラスのK%を記録し続けている。
大勢ピッチング

 

岡本和真

巨人・岡本和真
 岡本和真はMLB挑戦年齢に近い野手の中では最も完成度の高い選手かもしれない。過去3シーズンにおけるwRC+157は全体4位(min.900PA)。
 
 シカゴ・カブス戦では112.6マイル(約180キロ)の打球を放ち、2018年のブレイクから昨季を除いた全シーズンでホームラン30本以上を放つパワーを持つ。
 
 最速112.6マイル(約180キロ)の打球速度は今シーズンではカルロス・コレアと並んでStatcast規定クリアの255人中63位となる。
 
 加えて過去3シーズンで全体9位となるBB%11.0と選球眼も良い。さらにNPBゴールデングラブ級の3B守備、1B、LFと守れるユーティリティー性を持つ。
 
 運動能力はそれほどないことから守備で価値を生みだせるタイプではないため、MLBチームでは1BやLFなどで打力優先の役割を求められることになりそうだが、ヒットツールは完成度が高いため、早いところ順応できるのではないか。
 
 懸念としてはやはり今シーズン序盤に負った左肘靭帯損傷がどこまでプレーに影響するかだろう。

村上宗隆

ヤクルト・村上宗隆
 今オフにもメジャー挑戦が噂されている東京ヤクルトスワローズの村上宗隆。ここ2,3年は若干調子が悪いと言われるものの、2020年から5年連続wRC+150以上、2022年には225を記録するなど日本球界が生み出したベストヒッターの1人であることは間違いない。
 
 Statcastで確認できる限りの最速打球はWBC決勝アメリカ戦で記録した115.1マイル(約185キロ)。今シーズンのMLB換算ではボビー・ウィットとピート・アロンゾの間に入り、リーグ23位となる。
 
 選球眼も良く、過去2023-2025での四球率はNPB2位だ。30%に迫るK%や空振りが多いのはマイナス点だが、年平均で25-35HR程度を打てるパワーを維持できればコストとして目を瞑れる。
 
 今季は脇腹の故障で1試合の出場にとどまっているが、リスクの面から契約額が下がり、短期契約で内野手を探す球団のレーダーに引っ掛かりやすいともいえる。

森下翔太

阪神・森下翔太
 遠い将来の挑戦枠として注目したいのは阪神の森下翔太だ。森下はシーズン前のカブス戦でリリーバーのジュリアン・メリーウェザーから打った打球で打球速度115.7マイル(約185キロ)を記録した。
 
 また、ドジャース戦では先発タイラー・グラスノーから112.1マイル(約180キロ)、ブレイク・スネルから110.1マイル(約177キロ)を放ち、打球速度ではとんでもないポテンシャルを見せた。
 
 打球速度115.7マイル(約185キロ)はMLB選手でもそう簡単に出せる値ではなく、今季このラインをクリアしているのはStatcast規定クリアの255人中19人しか存在しない。
 
 今季を含む3シーズンの成績を見ている限り、身に秘めるパワーを十分長打に変換できていないようだが、まだ24歳である。今後3,4年で覚醒を遂げる可能性も高いだろう。

 

 
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【了】



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