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ドジャース、山本由伸は日本人初のサイ・ヤング賞に輝ける…?白熱するサイ・ヤング賞争いを徹底解析!【コラム】

2025/05/23

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Getty Images



(左から)千賀、山本

メジャーリーグ 最新情報

 ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸が、20日(日本時間21日)に行われたアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で先発登板し、7回1安打無失点9奪三振の好投を披露。今季はここまでリーグ屈指の成績を残し、サイ・ヤング賞候補にも挙げられている。そこで今回は、サイ・ヤング賞を争っている投手たちの成績を分析した。(文:Eli)

 
 MLBアドバンスメディアのシニアデータベースアーキテクトを務めるトム・タンゴ氏はサイ・ヤング賞受賞者を予想する簡単な式を考案した。イニング数、自責点、奪三振数、勝利数を基にしたこの式は2020年まで高い確率で高い精度でサイ・ヤング賞受賞者と投票数順位を予測できている。今回は、この式を近年の投票傾向を基に米分析サイト『Fangraphs』がFIP(三振・四球・ホームランによる防御率推定指標)型に調整した式を用いる。
 

 

ナショナル・リーグのサイ・ヤング賞争いの行方は…?

ナ・リーグサイヤング賞候補の成績
 
 ナショナル・リーグではシーズン前、昨季の新人王ポール・スキーンズと、過去6シーズンで5度のサイ・ヤング賞投票入りを果たしたザック・ウィーラーがトップを争うと予想されていた。2人とも期待通り上位に位置しているが、現時点ではサイ・ヤング賞争いの先頭からはやや遅れをとっているのが現状だ。
 
 代わって現在、激しい争いを繰り広げているのがヘスス・ルザード、ローガン・ウェブ、そして山本由伸の3人だ。
 
 ルザードはオフシーズンに再建中のマイアミ・マーリンズから優勝候補のフィラデルフィア・フィリーズへ移籍。球速が1.0マイル(約1.6キロ)アップし、スイーパーを新たに加えるなど投球内容が大幅に改善された。
 
 ただし、トップレベルの投手としてはハードヒットを許す傾向があり、防御率1.95に対してxERAが3.09と、多少運に恵まれている印象がある。このため、シーズン終盤まで賞レースに残れるかは微妙なところだ。
 
 ウェブはサンフランシスコ・ジャイアンツのエースとしてシンカーとスイーパーを武器に、過去3年間でMLB最多の613.0回を投げるなど、量的な面ではリーグ屈指の存在だった。
 
 しかし、ゴロピッチャーという特性から制圧力にやや欠け、「優秀なイニングイーター」の評価に留まっていた。ところが、今季はシンカー以外の全ての球種で空振り率が向上し、K%も昨年の20.5%から今季27.4%まで急上昇した。
 
 ジャイアンツ守備陣にはリー、チャップマン、アダメス、ベイリーといった名手が揃っており、シーズンを通して良いリズムで投げられれば、念願のサイ・ヤング賞獲得に一気に近づくはずだ。
 
 山本は4月に防御率0.38を記録し、月間MVPを獲得するなどMLB2年目でさらなる飛躍を見せている。5月前半にはやや調子を落とし、ルザードとウェブからは一歩後退していたが、5月20日の登板で7回ノーヒットの快投を見せ、再び賞レースに食らいついてきた。
 
 当初4月は中6日登板だったため、イニング数が不足してサイ・ヤング賞は難しいと予想されていたものの、5月に入るとチーム事情により中5日での登板が続き、イニング数も順調に積み上げられている。
 
 奪三振や打球指標などの内容面でも目立った乖離はなく、実力に見合った成績を残している。この調子を維持できれば、シーズン最後までサイ・ヤング賞争いに加わる可能性は十分にあるだろう。

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