コラム
2024/10/01
大谷翔平の”本当の評価”は…? オフに史上最大規模の契約を結んだ大谷翔平。フィールド外での観客動員や日本企業とのスポンサー契約により、ドジャースは既に契約金額分は稼いだのではないかとも思うが、フィールド内に焦点を当てると非常に順調な滑り出しだ。 fWARを単純に2倍にできる二刀流をしていないにも関わらず、なぜか契約1年分のfWARを稼いでしまっている。二刀流が再開される予定の来季からは、さらにギアを上げて荒稼ぎしてほしいものだ。 ローテーターカフの故障により約2か月の離脱となっている山本由伸だが、故障前はエース級の活躍をしていたこと ... 続きを見る
2024/09/29
見えてきた大谷翔平の苦手チーム、得意チームは…? 今回の結果から、2024年大谷選手の得意チーム、苦手チームを推定すると以下のようになる。※はポストシーズン進出を決めたかレギュラーシーズン最終週まで進出可能性を残したチーム、○はア・リーグのチームである。 ■得意■ マーリンズ ロイヤルズ※○ ホワイトソックス○ ブレーブス※ メッツ※ ■苦手■ ヤンキース※○ ブルージェイズ○ フィリーズ※ レッズ 各指標から明らかに最も苦手とわかるのがヤンキースである。本塁打、盗塁それぞれのライバル選手(アーロン・ジャッジ、エリー・デラクルーズ)の ... 続きを見る
2024/09/27
ドジャースが誇るトッププロスペクトはロースター入りするか? 以前テオスカーのIL入りが可能性として浮上した際にささやかれたのが、MLB.comのランキングでドジャース傘下No.1の評価を受けるドルトン・ラッシングの昇格だ。 2022年ドラフトでドジャース入りしたラッシングは今季初めてAAAに到達し、28試合に出場、打率.273,5HR,OPS.882とマイナーの上位階層でもしっかりやれることを示している。 昨季のポストシーズンではテキサス・レンジャースのエヴァン・カーターが、2022年はヒューストン・アストロズのジェレミー・ペーニャがルーキーとは思えない活躍を ... 続きを見る
2024/09/22
3ページ目:大谷翔平との日本人対決からわかるものは…? なお、2024年の大谷選手の日本人投手との対戦成績は以下のようになっている。 9月のホームでの今永投手との対戦を終えた時点で、打率.278、OPS.667、本塁打ゼロ、打点1と今季全般の成績に比べて成績は低位になっている。 これは裏を返せば、対戦した日本人投手の質が高かったということになるかもしれない。今永・ダルビッシュ両投手から計10打数1安打、うち今永投手から無安打という数字がこれを物語っている。 今季レギュラーシーズンでは、大谷選手と日本人投手との対決可能 ... 続きを見る
2024/09/21
ミドルリリーフはそれぞれの弱み・強みを把握して役割分担すべし ダニエル・ハドソン、ブレイク・トライネン、アンソニー・バンダ、ライアン・ブレイジャーの4人はフィリップス、コペックほどのスペックは無く、ミドルリリーフとしての運用をされるだろう。そこでこの4人はそれぞれの強みを利用して運用すべきだ。 バンダとブレイジャーについては対左打者と対右打者で成績が大きく差がつく。バンダは左に強く、ブレイジャーは右に強い。”3バッターミニマムルール” により打者ごとに投手を変えることはできないが、相手打線をよく見て起用することが必要だ。 ハドソンは ... 続きを見る
2024/09/15
この1年で飛ばす技術が大成長!? 『Baseball Savant』のデータをもとに、コース別にみたスイングに対するバレル(一定の速度・角度を満たす打球)、ハードヒットの割合の推移を以下に示す。 真ん中のコースについてみると、ドジャース移籍後の2024年は、2021~2023年の平均に比べ、バレル率が9ポイント、ハードヒット率が15ポイント上昇した。2024年は4割以上をハードヒットにしている。 他のコースについてみると、外角高めのボール球でハードヒット率が9ポイント上昇したのが目立つ。一方、ストライクに関しては、インコースの真ん中や低めでハード ... 続きを見る
2024/09/06
「50-50」達成の障害になり得るのは…? こうした中、あえて「50-50」の達成の障害となるものを私なりに以下に列挙した。下記以外に故障などの不測の事態もある。 1)期間ごとの本塁打数、盗塁数の偏り 大谷選手に本塁打が連続して出なかった最長の試合数は5月18日~28日(第2試合)の10(うち1試合欠場)で、開幕から4月2日までの8試合がこれに次ぐ。 盗塁は、本塁打に比べて数字が伸びる時期と伸びない時期の差が大きく、開幕2戦目~4月12日(15試合)を含め、10試合以上連続で盗塁のない期間が3つある。残り24試合にこの期間が生じると達成に影響する。   ... 続きを見る
2024/09/05
トレード価値の最大化 毎年コンテンダーとなるドジャースにとって、トレードデッドラインで上手いトレードをまとめることは重要だが、成立させたトレードの価値を大きくすることも同様に重要である。 スター選手を獲りに行くブロックバスタートレードは、派手でゲームチェンジャーとなり得るが、どうしてもプロスペクトのコストがかかってしまう。一方で他球団が気にしていない、あるいは低評価とされている選手を低コストで連れてきて、高パフォーマンスを得るのは球団の未来にとってもやさしいものとなる。 この3年で成立したトレードを見てもドジャースがその点で非常に上手くやっていることが分かる。 ... 続きを見る
2024/08/31
“数値で見る”今季の大谷翔平ベストゲームは…? ここで、大谷選手の今季のWPAのベスト/ワースト5を以下に示した。ちなみに、上記レイズ戦は6位になる。 ベスト5のうち3試合、ワースト5のうち4試合が延長戦で決着した。ワースト5試合には不調期の試合が目立つ一方で、うち4試合が実はチームが勝利している。 1位のアトランタ・ブレーブス戦は、個人記録は3打数1安打2打点2四球で、この1安打が延長10回裏の同点タイムリーヒットだった。WPAは試合展開のほかチャンスでの打撃機会数も影響し、試合展開を左右する重要性が高くなるほどプラスやマイナスの ... 続きを見る
2024/08/30
ロバーツ監督最大の懸念はプレーオフ…? シーズン序盤には不振を極めたキケ・ヘルナンデス、クリス・テイラー、ギャビン・ラックスなどをなぜ使い続けるのかとの声があった。 しかし、これらの選手はそれぞれの理由(キケ、テイラー→実績・契約額、ラックス→大怪我からの復帰)があり、ドジャースの組織の方針として様子を見ることを表明していた。結果的にこの3人は程度の差こそあれ、成績を好転させることができた。 それぞれのオールスター前後のOPS キケ・ヘルナンデス: .557→.687 クリス・テイラー: .525→ .713 ギャビン・ラックス: .562→ 1. ... 続きを見る
2024/08/25
ピッチクロックとボールの問題 選手側が怪我の原因であると盛んに主張しているのがピッチクロック導入と滑りやすいボールである。ピッチクロックは2023年シーズンに導入され、それまで無制限だった投球間の時間に制限時間が入った。これが投手の休憩時間を減らし体への負担が増えたと選手は主張する。 加えて2024年シーズン終了後にはランナーありの状態で20秒→18秒へ時間がさらに減らされた。ポッドキャスト番組『ファウル・テリトリー』において、レンジャースの投手マックス・シャーザーはピッチクロック導入以降、怪我の重症度が上がったと主張している。 また、先日トミー ... 続きを見る
2024/08/22
8月は「巧打者型」から「一発長打型」に? 大谷選手の打撃内容の変化を裏付けるデータが1つある。それは、今季から導入されたスイング指標だ。米分析サイト『Baseball Savant』によれば、大谷選手の主なスイング指標は、月別に以下のように変化している。 6月までと比較して、三振が急増した7月、打率が低下した8月の方が平均バットスピードは速くなっている。 しかし、スクエア・アップ率(バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度の80%超の打球(スクエア・アップ・スイング)を打てた割合)、ブラスト・スイング率(速いバットスピードでスクエア・アップ ... 続きを見る
2024/08/20
ドジャースが勝ち進むためにはやはり… ドジャースはレギュラーシーズンでのフィリーズ戦6試合を1勝5敗で終え、今後に不安を残す結果となった。 この6試合で大谷選手は打率.227、OPS.659に終わり、唯一チームが勝った8月の3連戦初戦を除けば長打はなかった。ただし3盗塁を記録している。まさに「大谷が打たなければフィリーズに勝てない」という結果になった。 フィリーズ戦終了時点での大谷選手の8月の数字は打率.192、OPS.676にとどまっていたが、ミルウォーキー・ブルワーズ戦では2試合連続本塁打を放った。ドジャース全体としてもムーキー・ベッツの復帰 ... 続きを見る
2024/08/19
プレーオフはCrapshoot(くだらない)なのか? 2022年に締結された労使協定によりプレーオフが12チームに拡大されて以降、プレーオフはアンフェアであるとの論調が高まった。これは2022年にメジャー全体勝率1位,3位のドジャース、ブレーブスが、2023年にはトップ3のブレーブス、オリオールズ、ドジャースがチーム最初のラウンドで敗退したからだ。 このトップチームが敗退している原因として、ワイルドカードシリーズ終了を待つ5日間で調子を乱してしまうことが挙げられる。比べてワイルドカードを戦うチームは消耗がありながらシリーズを勝つことで調子を上げ、勢いがつく。 & ... 続きを見る
2024/08/13
メジャーならでは…8勝目直後にDFA ジェームス・パクストンのトレード トレード単体の評価 S トレードの影響評価 ? ■ドジャース獲得 ・モイセス・ボリバー ■ドジャース放出 ・ジェームス・パクストン 戦力整理の一環としてジェームス・パクストンはDFAとされたが、正直見返りは期待していなかっただろう。パクストンがウェイバーを通過しFAとなるのを待てばタダ同然で獲得できるからだ。 ところが先発デプスを必要としていたボストン・レッドソックスが名乗りを上げ、17歳のプロスペクトとの交換トレードが成立した。 パ ... 続きを見る
2024/08/12
2年連続首位打者は“さすがの技術” 以降は、アラエス選手の打球に関して、大谷選手と同様に分析していく。 アラエス選手は、現地時間8月4日終了時点で、平均バットスピードがMLB最低の62.9mph(約101.2キロ)でありながら、スクエア・アップ率(バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度に近い打球を打てた割合)がMLB最高の43.9%であるという特殊なスイング特性を持つ。スイングの遅さを芯に当てる技術でカバーしているイメージだ。 そのアラエス選手の2023年、2024年の安打の打球方向は以下のようになった。 あらゆる方向に安 ... 続きを見る
2024/08/06
先発とブルペンのバランス 7月に入り先発投手がイニングを食えずに早々にブルペンを使う試合が増えている。故障者の復帰やルーキーのデビューが重なり仕方ない面もあるが、ハイ・レバレッジな場面を担うリリーバーの負担が大きくなっている。 日本時間7月1日から7月28日の22試合でアンソニー・バンダは12登板、ブレーク・トライネン、アレックス・ベシアは11登板、ダニエル・ハドソン、エバン・フィリップスが10登板と半分近くの試合で使われている。 ブルペンを休養させるためにヨハン・ラミレスを使い負けてしまう場面も複数回あった。ホワイトソックスからコ ... 続きを見る
2024/08/05
ライバルとの”ホームラン性”の違いとは 「どの球場でも本塁打になる大きな本塁打」とされるランキングをみると、大谷選手はアーロン・ジャッジ選手(ニューヨーク・ヤンキース)と並んでMLB1位だ。『Baseball Savant』では、MLBの全30球場で本塁打になる「No Doubters」の数値が記録され、ランキングされている。 現地時間7月28日終了時点で、大谷選手、ジャッジ選手の本数はともに21本となっている。この時点で、大谷選手の本塁打に対する「No Doubters」の割合は65.6%と、ジャッジ選手(56.8%)を上回っている。 以下、本 ... 続きを見る
2024/07/31
高い修正能力も一つの要因? コース別には外角球、特に外角高めに対し空振りや三振をしにくくなったのが特徴である。『Baseball Savant』のデータに基づき、K%が30%近かった2021年と2024年を比較すると、外角球、特にボール球を含む外角高めの空振り率やK%が大幅に低下している。 2021年は43%を記録した外角高めのストライクコースのK%は、2024年は0%だ。外角低めのストライクコースの空振り率およびK%が20%ポイントを上回る低下をみせている点も見逃せない。 空振り率やK%の低下を反映して ... 続きを見る
2024/07/31
“これまで通り“に予想を大きく覆す? では、大谷選手は、シーズンが終了時にはどのような数字を残すのか。その数字は予測値のとおりになるのか。過去のトレンドを含め占っていく。 2021年~2024年途中における大谷選手の前半戦、後半戦、各月の成績は以下に推移した。 初本塁打までに時間を要するなど波があるように思えた2024年の数字が、実は近年では最も安定している。 2021年や2023年の6月のような高いOPSを残した月がない一方で、OPSが9割未満の月もない。一方、2021年は後半戦に大きく数字を落とし、9月/10月は ... 続きを見る
2024/07/29
プレーオフほぼ落選“のエース左腕を獲得…? タイガースのオールスター左腕を獲得 ■デトロイト・タイガースとのトレード タイガース+αのトレード(三角トレードではない) 先発投手 SP タリク・スクバル from デトロイト・タイガース → IP 123.0, ERA 2.37, xERA 2.70(94), K% 30.0(91) リリーフ投手 タナ―・スコット from マイアミ・マーリンズ → G 42, ERA 1.24, xERA 2.98(88), K% 28.2(85) または ジェイソン・アダム from タンパベイ・レイズ → G 45, ERA ... 続きを見る
2024/07/25
ドジャース投手陣の陣容(前半戦終了時点) ドジャースの投手陣は現在野戦病院と化している。開幕ローテーションで残っているのはギャビン・ストーンとジェームス・パクストンのみ。故障者の代役にはプロスペクトをコールアップするなどして何とかカバーしている。リリーフ投手ではブラスダー・グラテロル、ジョー・ケリー、ライアン・ブレイジャーの勝ちパターンを担うはずの面々が長期離脱中である。 一方でタイラー・グラスノー、ケリー、グラテロルは8月前にも復帰予定、山本由伸はキャッチボールを始めている状態であり、希望も見えている。今回は復帰の可能性があるメンバーは復帰する前提でドジャースのプレーオフロ ... 続きを見る
2024/07/23
大谷翔平のライバルたちは…? 以降は上記選手のうち、今年は本塁打数で大谷選手を追うアロンソ、シュワーバー両選手を取り上げた比較を行う。シュワーバー選手は、フィラデルフィア・フィリーズで大谷選手と同じ1番DHのポジションを務める。 一方で「三振か本塁打か」のイメージも強い。2022年、2023年とも40本台後半の本塁打と200以上の三振を同時に記録、2023年の打率は2割未満だった。 2021年~2024年7月14日の主要指標を比較すると以下のようになる。 直近の約3年半では、大谷選手とシュワーバー選手のAB/HRにほとんど差がない ... 続きを見る
2024/07/16
MVPは“打つだけじゃダメ”理論を覆せるか!? DHを専門とする打者がMVP投票上位に浮上しているのが2018年のAL(アメリカン・リーグ)だ。この年はベッツ、マイク・トラウトという世代を代表するファイブツールプレイヤーがMVPを争い、結果的にWARが10を超えたベッツがMVPを受賞した。 J.D.マルティネスは攻撃面では3位のホセ・ラミレスを上回る活躍をしているが、ラミレスはサードを守り守備面で貢献した一方で、DHが出場の半分以上を占めたマルティネスは守備面でマイナスがかかり、4位に順位が落ちた。 米メディア『The Athletic』のKen Rosent ... 続きを見る
2024/07/15
今季のドジャース1番、2番打者の成績 ここからは、2024年ドジャース全体の視点で考える。今シーズンのドジャースで1番打者として先発出場したのはベッツ選手と大谷選手だけである。 2番打者として先発出場したのは大谷選手、ウィル・スミス選手、フレディ・フリーマン選手、テオスカー・ヘルナンデス選手の4人だ。ベッツ選手の故障前は、大谷選手が休養した3試合ではフリーマン選手が2番を務めた。 故障したベッツ選手に代わり大谷選手が1番を打ってからは、捕手のスミス選手が2番を務めるケースが多いが、同選手の休養時には、フリーマン選手が起用された1試合を除きヘルナン ... 続きを見る
2024/07/09
本塁打量産の一方で不穏な兆しも… 大谷選手にも、実は6月の終わりになって変調の兆しが見え始めた。前記のとおり6月下旬の三振数は10と中旬から増加したが、このうち半分の5つは、6月29~30日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で喫したものだ。 さらにそのうち4つがボール球に手を出して三振になったものである。四球数が増加することで、難しい球に手を出すようになったのかもしれない。この2日間のヒットは第26号ホームランの1本のみだった。 5月以降に導入されたスイング指標のうち以下の推移をみると、この変調の兆しが数値化されている。 ・Squa ... 続きを見る
2024/07/08
名監督も現役時代は“いぶし銀“ デーブ・ロバーツ(2004年ワールドシリーズ優勝、2020ワールドシリーズ優勝(監督)) 日本人ファンにもお馴染み、現ドジャース監督を務めるデーブ・ロバーツは、日本に配属された海兵隊員の父と日本人の母の間に生まれた。出生地は沖縄県那覇市だ。 選手としてはクリーブランド・インディアンズでキャリアをスタート。その後ドジャース、ボストン・レッドソックス、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツを渡り歩いた。しかし、目立った成績を残したシーズンは無く、非常に平均的な打者であった。 キャリアのハイライトはレッド ... 続きを見る
2024/07/03
昨季まで無かった“原動力”は 今季6月に行われたドジャー・スタジアムでのフリーウェイシリーズ2連戦で、大谷選手は、6打数3安打2本塁打4打点2得点3四球の素晴らしい成績を残した。 元チームメイト、マット・ムーア投手からのホームランを含め2試合ともに本塁打を打ち、フリーウェイシリーズ一番の顔ともいえる活躍を見せた。試合での活躍度を示す指標である「WPA」は2日間合計で0.341と、出場した両チームの選手で最高の数字を残している。 そして、ドジャー・スタジアムでのフリーウェイシリーズの成績を打率.382、OPS1.335に上昇させた。一 ... 続きを見る
2024/07/02
時代はスイーパーからスプリットへ 2021年から現在にかけては、スイーパーの流行に見られるようなスライダー全盛期だった。しかし打者側もスライダーに目が慣れてきたようで、スライダーの効果が薄れてきている。 米トレーニング施設『Driveline Baseball』 の研究では球質を測る「Stuff+」において3年前のモデルと比較した際に最も効用が低くなったのがスイーパーだという。 現在流行の兆しが表れているのがスプリットだ。千賀晃大のお化けフォークや山本由伸、ケビン・ゴーズマンなどのスプリット使いが活躍し、リーグ全体でスプリットが再評価され始めてい ... 続きを見る
2024/06/25
ドジャースコーチ陣の対策 これらの課題に対して山本とドジャースのコーチ陣は様々な策を立てた。まずは投球スタイルの変更だ。5月に入ってからは左打者への内角へカッター、右打者に対しては内角へシンカー、外角へスライダーを導入しスプリット/カーブの縦変化だけでなく、横方向でも打者を攻められるようになった。 特にスライダーについては平均以上の86マイル(約138キロ)でよく落ち曲がるため、「Stuff+」が110以上と優秀な値を記録しており、シーズン通算で空振り率33.3%と新たな決め球を見つけてしまった格好だ。 また、6月に入ってから投球モーションの ... 続きを見る
2024/06/23
得意な球場、苦手な球場は? 2024年6月16日時点では、ドジャースの選手として出場したエンゼルスタジアムでの試合はまだない。 デビュー以来の大谷選手の打率やOPSにつき、球場別の上位・下位を示した。 得意球場としてリグレー・フィールド、レンジャース・ボールパーク、カウフマン・スタジアムなどが、苦手球場としてローンデポ・パーク、グレート・アメリカン・ボール・パーク、ヤンキー・スタジアム、Tモバイル・パーク、ペトコ・パーク、ミニッツメイド・パークが挙げられる。過去の打数の少ない球場を除けば、打率・OPSとも、ヤンキー・スタジアムの数値 ... 続きを見る
2024/06/16
ドジャースのプロスペクト(投手) 順位は左から『mlb.com(全体)』, 『mlb.com(球団別)』,『Baseball America(球団別)』 ,『Fangraphs(球団別)』 リバー・ライアン 25歳 (N/A(該当なし), 4位, 7位, 1位) リバー・ライアンは99マイル(約159キロ)に達する速球が魅力の右腕だ。球種は平均96マイル(約154キロ)のフォーシーム、落ちるカーブ、88マイル(約141キロ)でスライダー気味のカッター、落ちるチェンジアップを持っている。 速球に加えスライダー/カーブの評価が高く、メジャーの選手であればタイラー・グ ... 続きを見る
2024/06/15
今後の課題は“鬼門“ヤンキー・スタジアムの陥落? ヤンキー・スタジアムでの大谷選手の通算成績は打者、投手別に以下のようになり、今年も相性の悪さを変えられなかった。 打者:59打数8安打4本塁打8打点 打率.136 OPS.612 投手:2先発 0勝1敗 投球回数3回2/3 防御率27.00 ただし、この数字が課題として残ったこと、今回の対戦でジャッジ選手という壁や目標ができたことは、大谷選手本人のキャリアや今後の成長につながるだろう。 実際、米メディア『ESPN』のインタビューで大谷選手は、どんな状況でも変わらない ... 続きを見る
2024/06/12
トップスピードは意外な数字に… 大谷選手の走塁の特徴を米分析サイト『Baseball Savant』の数値データからまとめると、以下のようになる。 「トップスピードは速くないがスタートダッシュが良いために全体として速い」 『Baseball Savant』から引用した、6月2日終了時点における“Sprint Speed“の一覧の図を以下に示す。これは、簡単に言えば走塁中のトップスピードに相当する。大谷選手の箇所にはマークを付けている。 大谷翔平選手の数値は秒速28.1フィート(時速換算で30.8㎞)と、MLB平均(秒速27.0フィー ... 続きを見る
2024/06/09
アクシデントの影響が…? その他の5月(2024年は現地時間26日まで)の主な指標は以下のようになる。三振の減少傾向が続く一方、本塁打のペースは昨季までの5月と同水準にある。 ・三振率(K/AB):2021~23平均28.6%、2024年22.5% ・AB/HR(1本塁打に要する打数):2021~23平均13.5、2024年13.3 もっとも、全体では好調に見える5月も前半と後半では様相が異なる。以下に5月の塁打数の推移とともに、5月1~15日、5月16~26日の主要な数字を示す。 OPS、打率、得点圏打率とも、16日以降は15 ... 続きを見る
2024/06/07
打者の補強候補予想 ボー・ビシェット(遊撃手) ※FAまで1年半 打率 .243, OPS+ 90, OAA 0 2021,2022年とMLB最多安打を放ったトロント・ブルージェイズのボー・ビシェット。今季は過去3年と比べて長打力が急激に低下し、2019年のデビュー後ではキャリアローの打率.243、OPS.663と低い数字になっている。 元々守備が得意ではないビシェットは打撃で価値を出す必要があるが、現状はそれができていない。特に対左投手の攻略に苦戦していて、38打席でヒットは4本しか打てていない。一方で、4月に.589だったOPSが5月には.76 ... 続きを見る
2024/06/06
先発投手の補強候補予想 ジャスティン・バーランダー ※FAまで半年(プレイヤーオプション付き) ERA 3.60, ppERA 4.22(85位/154人), Stuff+ 123, K-BB% 8.6 ※Stuff+: 投球をその物理的特徴のみから評価した指標。平均は100 ※ppERA: 球質・コマンドを含めた指標であるPitching+ から算出した予想防御率。リーグ平均は4.13 サイヤング賞3回受賞、オールスター9回選出の「生きる伝説」バーランダーは、今季1カ月弱出遅れたものの、復帰後は先発投手としてソリッドな活躍を見せている。   ... 続きを見る
2024/05/28
序盤の不調を乗り越え、予期された完全体スーパーチームへ 開幕前から言われていたが、やはりドジャースの打線は強力だ。ムーキー・ベッツ、大谷翔平のMVP級の活躍、ルーキーのアンディ・パヘス、新戦力のテオスカー・ヘルナンデスの好調もあり、「wRC+」126、「WAR」(※選手の貢献度)12.4はメジャー1位となっている。 また、今季は守備力が大幅にアップしている。昨季9人だった「OAA」がプラス値の選手は今季既に10人を超えている。特に昨季-7を記録したマックス・マンシーの三塁守備は+1、昨季を全休したギャビン・ラックスの2塁守備は+2を記録し、強固な内野陣を形成して ... 続きを見る
2024/05/27
チームメイト、ライバルたちとの比較 大谷選手のスイングの数値につき、『Baseball Savant』を用いて、一番イメージしやすいBat Speedに関して主要選手と比較する。まずは同チームのムーキー・ベッツ選手、フレディ・フリーマン選手との比較だ。 ベッツ選手、フリーマン選手はMLB平均を下回るのに対し、大谷選手は両選手やMLB平均を上回っている。大谷選手のBat Speedはドジャースのチーム内で1位である。 次に、ニューヨーク・ヤンキースの主力打者3人、ジャンカルロ・スタントン選手、アーロン・ジャッジ選手、フアン・ソト選手と比較する。 ... 続きを見る
2024/05/19
大ベテランは流石の投球術で翻弄!? 大谷選手に対して見事な攻め方をしている投手として見逃せない投手がいる。サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手だ。 今シーズン、ここまでダルビッシュ投手は大谷選手と2試合で5打席対戦、5打数1安打に抑え込み、うち4月14日の試合では2三振を奪った。今季の大谷選手から1試合複数の三振を奪ったのは、5月12日現在、ダルビッシュ以外に3人だけだ。 以下、ダルビッシュ投手が大谷選手から奪った2三振の内容を取り上げる。 2打席合わせて、半分がスウィーパーやカット ... 続きを見る
2024/05/16
マイケル・グローブ 今季でメジャー3年目のマイケル・グローブは、22年にアンドリュー・フリードマン編成本部長のキャリアで初となる、ダブルAからの飛び級でデビュー。当初先発として起用されたが、23年シーズンにフォーシームの精度に苦しみ、今季よりリリーフに完全配置転換された。 カッター、シンカーの割合を増やし、1イニングオンリーで使われることが増えた4月後半からは徐々に成績を上げていき、4月15日以降の奪三振率は13.03を記録している。 グローブの武器は投球の半分以上を占めるスライダーで、流行りのスイーパータイプではなく落ちながら曲がるタイプだが、 ... 続きを見る
2024/05/12
ボビー・ミラー(故障者リスト入り) デビュー2年目の飛躍を目指すボビー・ミラーだが、肩の炎症で故障者リスト(IL)入りしてしまった。デーブ・ロバーツ監督によれば怪我は軽傷であり、肩の構造上の故障はないとしているため、1か月程度で戻ってくるだろう。そもそもミラーの球速を踏まえれば故障は既定路線でもあるので、長期離脱を避けるための休養としてちょうどよかったかもしれない。 故障前のミラーは今季初登板で6回11奪三振とエースの片鱗を見せたが、その後の2先発で5.2回、7失点と大コケしてしまった。『Stuff+』と『Location+』にみられるようにミラーの課題は自分の ... 続きを見る
2024/05/11
監督の助言が功を奏し…? ここで、大谷選手が4月17~28日に得点圏で打ったヒットに関する投球をまとめた。 丸数字は投手が投じた投球数だが、5回中3回のケースで5球目以降をヒットにしている。球種別には、5球中3球がフォーシームとなっている。98.2マイル(約158キロ)のインコースのフォーシームは、トロント・ブルージェイズの菊池雄星投手から今季メジャー最速となる打球を打ったコースだ。 これらは、状態が上がったことで、開幕直後に苦戦していた球を捉えられるようになった結果ともいえる。紫の丸は、4月16日に上記コービン投手から得点圏で凡退したコースだが ... 続きを見る
2024/04/30
次に、両バッターが放った本塁打の詳細を見ていこう。 大谷選手は右投手からの割合が高い一方、Late&Close(※1)の本塁打数は松井氏の方が多い。走者の状況での比較でみると大差はない。 (※1)7回以降で1点リードか同点、もしくは連続本塁打が出れば同点になる状況 【左右別】 ・松井:右119、左56 ・大谷:右131、左45 【得点圏】 ・松井46 ・大谷45 【走者なし】 ・松井93 ・大谷95 【Late&Close】 ・松井31 ・大谷20 MLB分析サイト『Baseball Savant』から引用した以下の図を比較してわか ... 続きを見る
2024/04/29
上位打者の活躍: “期待通りの活躍” 次に、ドジャースの上位打線について見てみよう。メジャーリーグ分析サイト『Fangraphs』を基に、各打者の指標を纏めた。 上位6人は期待に合った活躍をしていると言って良い。ショートへのコンバートがあったムーキー・ベッツだが、守備負担をもろともせずメジャー3位のwRC+211を記録し、昨季MVP投票2位に入ったレベル以上の活躍を見せている。 大谷翔平は開幕から調子を落とし気味だったが、最初のホームシリーズ最終戦でホームランを放ってからは調子を戻し、メジャートップのヒット3 ... 続きを見る
2024/04/21
ドジャース補強方針の後押しとなったのは二刀流スター? ドジャースがこれほどの資金を投入できるようになったのは、やはり大谷翔平の加入が大きい。大谷は10年7億ドルの契約を結び年俸換算で7000万ドルだが、その97%を後払いにしたため契約期間中の支払いは総額で2000万ドルしかない。 これはドジャースの今後10年の資金を確保しただけでなく、贅沢税計算上の年俸も圧縮できたため支払う贅沢税も少なくて済む。 さらには大谷への支払いのための資金は別途確保・保存しておく必要があるが、球団の筆頭オーナーであり、3100億ドルの取扱額を誇る投資顧問会社『グッゲンハ ... 続きを見る
2024/04/20
今季放った4ホームランの特徴 米解析サイト『Gameday』の記載に基づく4月14日終了時点での4ホームランの内容は以下のとおりである。丸数字は号数で、球速、球種、打球速度、飛距離、角度の順に示している。 ホームラン内容や球種・コースの詳細(4月14日まで) 青文字は右方向、赤文字は左方向の打球である。球種や球速に差はあるが、いずれのホームランも真ん中よりも外角を捉えている点、外角高めのファストボール系の球種をホームランにしている点が特徴である。前の図と合わせてみると、外角高めが高確率でホームランになっている。 唯一の課題は“得点圏での打撃”? ... 続きを見る
2024/04/16
コース別ハードヒット数、バレル数(2024年開幕直後:現地時間4/2まで) 2024年開幕直後になると、過去3年で20%台後半を記録していた真ん中のハードヒットの割合が11.1%に大きく低下、インコースのハードヒットは1本だけだった。 一方、2023年に得意としていた外角や真ん中低め、さらに外角高めのボールコースは高い割合でハードヒットにしている。打球方向と合わせると、外角を引っ張って強い打球にする傾向がみられていた。バレルを記録した投球コースは、真ん中の高低、外角真ん中の3球だけだった。 開幕直後における大谷選手への特徴的な投球と、打席結果を3 ... 続きを見る
2024/04/14
佐々木朗希はドジャースにフィットするのか さて、佐々木朗希の素質や契約条件などを踏まえてドジャースにフィットするかを考えてみよう。 まず前提として、佐々木は先発投手である。ドジャースの2025年先発ローテはデプスも含めて以下のようになる。 1. 大谷翔平 2. タイラー・グラスノー 3. 山本由伸 4. ボビー・ミラー 5. ギャビン・ストーン 6. ??? メジャーデビュー済: エメット・シーアン、カイル・ハート、 メジャーデビュー前: ランドン・ナック、ニック・フラッソー、リバー・ライアン 負傷者リスト(IL): ダスティン・メイ ... 続きを見る
2024/04/08
大谷翔平、2024年シーズンの成績予測を徹底解説! 主体別には、ZiPSおよびZiPS DCの予測が低位で、THE BATおよびTHE BAT Xの予測が高位である。 打点は全主体が2023年を上回る数字を予測している。HR、OPS、AB/HRといった長打力関連の指標については、2021年と2023年の中間の数字が予測されている。HRに関しては38~40本と予測の振れ幅が少ない。 2021~2022年にかけて大幅に低下した三振率は、2024年になっても過去2年の水準が続くとみられている。盗塁は見方が分かれている。 一方、過去3年で ... 続きを見る