コラム
2024/11/30
トッププロスペクトの覚醒に期待も ドルトン・ラッシング FA市場で満足いく補強ができなかった場合は、トッププロスペクトのドルトン・ラッシングに白羽の矢が立つ。 ドジャースNo.1であり、MLB全体No.39プロスペクトのラッシングはドジャースの未来を担う逸材だ。 元はキャッチャーだったものの、ウィル・スミス、ハンター・フェドゥーシャ、ディエゴ・カルタヤと詰まっていたため、打撃の才能を活かすために2024年途中から外野手に転向した。 ドジャースがラッシングを高く評価していることは2024年トレードデッドラインでの動きか ... 続きを見る
2024/11/27
補強候補となるリリーフ投手は…? ドジャース編成本部長のアンドリュー・フリードマン氏はリリーバーに投資をすることを嫌う。 なので、あまり資金をかけずに最大限のパフォーマンスを引き出せる選手を考えてみる。ちなみにトライネンの再契約が最も可能性が高いが、ここでは割愛する。 2021年シーズン途中にニューヨーク・ヤンキースにトレード後覚醒したホームスは、チームのクローザーとなったがシーズン途中にパフォーマンスが悪化し、ルーク・ウィーバーに取って代わられてしまった。 これによりヤンキースファンからは多くのヘイトを受けているホ ... 続きを見る
2024/11/21
評価が分かれる…?プレーオフの功労者も キケ・ヘルナンデス ファン感情が最も絡んでくるのがエンリケ・ヘルナンデスの去就だ。長年ドジャーブルーを身に纏い、ポストシーズンでは数多くのクラッチヒットを打ってきた。 そして今季のポストシーズンも多くのホームランを打った。キケなしではWS優勝は成し遂げられなかったと言っても過言ではない。 しかし、ビジネス面で冷静にキケとドジャースが組み合わさるか、というと微妙だ。キケの魅力はどこでも守れるユーティリティ性と平均的な打撃の両立だが、ドジャースのロースターにはトミー・エドマンとクリス・テイラーというユーティリテ ... 続きを見る
2024/11/18
現代最強VS歴代最強…? 以降は、受賞時の成績が突出しているボンズ選手と大谷翔平選手とのMVP受賞時の成績比較を行う。ボンズ選手に関しては、2000年より前の3度のMVP受賞時の成績も含めた。 受賞時の成績やWARについてみると、1990年代のボンズ選手と2020年代の大谷選手が類似している。ただし、出塁率はボンズ選手の方が若干高く、本塁打は大谷選手の方が若干多い。 これらの数字を大幅に上回るのは、2000年代のボンズ選手の成績だ。中でも、2001年の本塁打、2001~2004年の四球数の多さが顕著である。率に関する指標で大谷選手が ... 続きを見る
2024/11/17
投手陣のMVPを選ぶなら… 最後に、今ポストシーズンでブルペンの柱になったトライネンにも触れておきたい。トライネンは今季36歳となるベテラン投手だが、大車輪の働きを見せた。 ワールドシリーズを通して3登板して、すべてで20球以上、2登板では1.0回以上を投げている。さらにヤンキース中核打線とも多く対戦しており、ジャッジと3回、フアン・ソトと2回、ジャンカルロ・スタントンは3回対戦している。最もストレスフルな場面をチームで最も多くこなしたわけだ。 ドジャースが優勝を決めた試合ではブルペン投手が明らかな不足状態にあった。前日にそれぞれ4 ... 続きを見る
2024/11/10
獲得には大きなリスクも…? ドジャースは近年、多くの選手に大型契約を渡しているが、多くの全盛期はここ4,5年で終了する。特にベッツ、大谷、ウィル・スミスの成績下降が顕著になるであろう2028年シーズンあたりで更なる野手補強が必要になる可能性が高い。この時点で37歳のフリーマンの契約は終了している。 あと3、4年で何が起こるかは予想が難しいが、順調にいけばガナ―・ヘンダーソンやエリー・デラクルーズなどの若手大物選手のFA時期が近づく。 さらに2025年シーズンに革命的な活躍をする若手が現れたとしても、年数を待てばトレード可能になる可能 ... 続きを見る
2024/11/07
ジャッジとのMVP対決の結果は…? そして、戦前注目を浴びたヤンキースのアーロン・ジャッジ選手との「直接対決」だ。両選手とも不振に苦しんだ感のあるこのシリーズの最終結果は以下のようになった。 ・大谷翔平 :19打数2安打0本塁打 OPS.385 ・アーロン・ジャッジ:18打数4安打1本塁打 OPS.836 打撃の数字だけ見れば、第4戦から状態を上げた「ジャッジの勝ち」となるだろう。一方、チームリーダーとなる打者にとって、不調時であっても次打者につなぎチームに貢献することが重要だ。 この観点に立つと、両選手と ... 続きを見る
2024/10/31
シリーズを通して“神采配”披露…? ドジャースの指導部も良い仕事をした。攻撃、防御両方での作戦勝ちと言って良いだろう。 投手運用ではNLDSで勝利を手繰り寄せたブルペン運用が再び炸裂した。Game 1はジャック・フラハティ―の好投によりすることは特になかったが、それ以外は先発が4回以内に降板するかブルペンデーであり運用の上手さが問われた。 先発のイニング消費が期待できないときは必然的にブルペンにしわ寄せがくるわけだが、ブルペンに登録できる人数は限られている。 ゆえにハイレバレッジリリーフは勝負所で惜しみなく投入する。負け試合ではリ ... 続きを見る
2024/10/30
両チームのスイング比較 最後に、スイング指標に基づくスイングの内容を比較したい。レギュラーシーズン、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズの順に図を並べた。 なお、スクエア・アップ率とは、バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度の80%超の打球(スクエア・アップ・スイング)を打てた割合で、平たくいえばジャストミートの割合ともいえる。 レギュラーシーズンからは、バットスピードの高いジャッジ、スタントン、スクエア・アップ率の高いベッツ、フリーマン、バランスの取れた大谷、ソトという構図が成り立つ。 &nbs ... 続きを見る
2024/10/25
内野手の補強ポイントは? ショートを除いた内野ではほとんど陣容が確定している。サードのマックス・マンシー、セカンドのギャビン・ラックス、ファーストのフレディ・フリーマンは3人とも健康ならフルシーズン戦えるメンバーだ。 緊急時には内外野守れるテイラー、エドマンがおり、マイナーではこの3ポジションすべてを経験しているアンドレ・リプシウスとオースティン・ガシアーがいる。層の厚さは十分と言って良いだろう。 課題はマンシーとラックスの左投手への対応である。今季の対左投手はマンシー、ラックスそれぞれ.747、.402と2人の対右投手OPSと比べ ... 続きを見る
2024/10/25
意地を見せたMVP 2021年のNLCS vs ブレーブスから続くドジャース打線の沈黙。ムーキー・ベッツは2022年に14打数1安打、2023年は11打数0安打とレギュラーシーズンと比べれば失望が続いていた。今年のNLDSもGame 1では3四球も0安打、Game 2では4打数0安打と不振を極めていた。 今季のベッツは特に外角への球に苦しんでいた。パドレス投手陣はGame 1、Game 2を通して徹底的に外角へのフォーシーム、スライダー、スイーパーを投げベッツを抑えた。 これに対してベッツはGame 3でシンカー/スイーパーの横変化 ... 続きを見る
2024/10/23
“夢の舞台”へ向けてもチームは良い流れ…? この2試合ともドジャースは大勝し、第5戦でのリリーフ投手温存策など後の展開を有利にした。大谷選手を生還させたムーキー・ベッツ選手(シリーズ中のOPS1.183)、トミー・エドマン選手(同1.023)はこのシリーズ中好調で、後者は今シリーズのMVPを獲得している。 一方、大谷選手が出塁しながら得点できなかったことが敗戦に直結した例もあった。第5戦の初回、安打で出塁後ベッツの二塁打で無死2,3塁になった場面だ。3番打者テオスカー・ヘルナンデスのショートゴロで3塁走者の大谷選手は本塁へ突入しなかった。 デーブ ... 続きを見る
2024/10/23
消滅寸前の弱小球団が11年連続ドラフト指名選手を輩出するチームへと遂げた徳島インディゴソックスを追った『崖っぷちリーガー 徳島インディゴソックス、はぐれ者たちの再起』(高田博史 著、菊地高弘 編集)が10月21日に発売される。ドラフト会議が迫るこのタイミングで、「終章 渇望 2024年ドラフト指名を待つ男たち」から一部抜粋で公開する。徳島インディゴソックスから12年連続ドラフト指名選手を輩出することになるか! (文:高田博史) 今シーズンのプロ野球はDAZNで生中継! 月額1270円お得に観るならDMM×DAZNホーダイ[PR] 大学4年の11月に引退を撤回した変則 ... 続きを見る
2024/10/20
消滅寸前の弱小球団が11年連続ドラフト指名選手を輩出するチームへと遂げた徳島インディゴソックスを追った『崖っぷちリーガー 徳島インディゴソックス、はぐれ者たちの再起』(高田博史 著、菊地高弘 編集)が10月21日に発売される。ドラフト会議が迫るこのタイミングで、「終章 渇望 2024年ドラフト指名を待つ男たち」から一部抜粋で公開する。徳島インディゴソックスから12年連続ドラフト指名選手を輩出することになるか! (文:高田博史) 今シーズンのプロ野球はDAZNで生中継! 月額1270円お得に観るならDMM×DAZNホーダイ[PR] 「何キロ出てます? いま、159キロ ... 続きを見る
2024/10/17
地区シリーズでは“繋ぐバッティング“に…? 一方、大谷選手も、厳しい投球をされる中で、しっかりとチームの勝利に貢献できる働きはできたといえる。初戦にシース投手から打った上記の本塁打だけではない。 パドレスに王手をかけられて迎えた第4戦も注目される。この試合の大谷選手は3打数1安打1打点2四球だったが、出塁した打席の内容がチームに貢献する重みを感じさせるものだった。 2回表2死1,2塁から放ったタイムリーヒットによりドジャースはリードを広げることができ、直後のムーキー・ベッツ選手のタイムリーや3回表の追加点をも呼び込んだ。6回の第4打席は、ジェレミア・エストラダ ... 続きを見る
2024/10/10
両チームの主力で一番いいスイングをしたのは… 今季から導入されたスイング指標を用いた比較を以下に行った。横軸は平均バットスピード、縦軸がスイング数に対するスクエア・アップ率(バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度の80%超の打球(スクエア・アップ・スイング)を打てた割合)である。 この2指標は一般に負の相関があり、右上に行くほどバットスピードとコンタクトやミートのバランスの取れたスイングとなる。 ベッツ、プロファー、メリル、ヘルナンデス各選手の座標が左上から右下に一直線に並んでいる中、マチャド、タティス、大谷各選手の座標がこの右上に位置し ... 続きを見る
2024/10/10
“野戦病院化”を乗り越えて… 前述の通り、オフに大補強を敢行したドジャースだが、ふたを開けてみればロバーツ-フリードマン政権では2018年以来6年ぶりの100勝未達成となってしまった(2020年は116勝換算)。その大きな要因は投手陣に相次いだ故障離脱だろう。 今季の投手陣が生み出したfWARは13.9でメジャー16位と野手陣のfWAR32.1メジャー3位と大きく離されている。ドジャースが誇る圧倒的なファームシステムと選手改造能力をフル稼働させてどうにかシーズンを乗り切ることができたが、結果的に40人のピッチャーが使われることなった。 オフシーズ ... 続きを見る
2024/10/05
見えてきたプレーオフロースター これらを踏まえるとドジャースのプレーオフロースターの全体像が見えてくる。新たな故障や逆に復帰などで若干の変更はあるかもしれないが、大体このようになるだろう。 先発投手 RHP 山本由伸 RHP ジャック・フラハティ― RHP ウォーカー・ビューラー RHP ランドン・ナック リリーフ投手 RHP マイケル・コペック RHP エヴァン・フィリップス RHP ブレイク・トライネン LHP アレックス・ベシア RHP ダニエル・ハドソン RHP ブルスダー・グラテロル RHP ライアン・ブレイジャー RHP ジョー・ケリー ... 続きを見る
2024/10/04
自身初の“ヒリヒリ経験”が最高の結果に 大谷選手の得点圏で目覚ましい成績を挙げた時期は、所属するドジャースにとっても最高のタイミングだった。以下、ナショナルリーグ西地区の9月の上位3チームの貯金の推移に、大谷選手が得点圏で大活躍した時期を重ね合わせた。 9月に入る直前で28あったドジャースの貯金は、先発投手陣の故障者続出も背景に、9月に入って伸び悩んだ。そこでパドレスが9月中旬からじわじわと追い上げ、ドジャースのマジックは一旦消滅した。 そして大谷選手が得点圏で快進撃を見せ、チームを救う打撃を見せたのがまさにこの時期だ。その集大成のような試合が9 ... 続きを見る
2024/10/01
大谷翔平の”本当の評価”は…? オフに史上最大規模の契約を結んだ大谷翔平。フィールド外での観客動員や日本企業とのスポンサー契約により、ドジャースは既に契約金額分は稼いだのではないかとも思うが、フィールド内に焦点を当てると非常に順調な滑り出しだ。 fWARを単純に2倍にできる二刀流をしていないにも関わらず、なぜか契約1年分のfWARを稼いでしまっている。二刀流が再開される予定の来季からは、さらにギアを上げて荒稼ぎしてほしいものだ。 ローテーターカフの故障により約2か月の離脱となっている山本由伸だが、故障前はエース級の活躍をしていたこと ... 続きを見る
2024/09/29
見えてきた大谷翔平の苦手チーム、得意チームは…? 今回の結果から、2024年大谷選手の得意チーム、苦手チームを推定すると以下のようになる。※はポストシーズン進出を決めたかレギュラーシーズン最終週まで進出可能性を残したチーム、○はア・リーグのチームである。 ■得意■ マーリンズ ロイヤルズ※○ ホワイトソックス○ ブレーブス※ メッツ※ ■苦手■ ヤンキース※○ ブルージェイズ○ フィリーズ※ レッズ 各指標から明らかに最も苦手とわかるのがヤンキースである。本塁打、盗塁それぞれのライバル選手(アーロン・ジャッジ、エリー・デラクルーズ)の ... 続きを見る
2024/09/27
ドジャースが誇るトッププロスペクトはロースター入りするか? 以前テオスカーのIL入りが可能性として浮上した際にささやかれたのが、MLB.comのランキングでドジャース傘下No.1の評価を受けるドルトン・ラッシングの昇格だ。 2022年ドラフトでドジャース入りしたラッシングは今季初めてAAAに到達し、28試合に出場、打率.273,5HR,OPS.882とマイナーの上位階層でもしっかりやれることを示している。 昨季のポストシーズンではテキサス・レンジャースのエヴァン・カーターが、2022年はヒューストン・アストロズのジェレミー・ペーニャがルーキーとは思えない活躍を ... 続きを見る
2024/09/22
3ページ目:大谷翔平との日本人対決からわかるものは…? なお、2024年の大谷選手の日本人投手との対戦成績は以下のようになっている。 9月のホームでの今永投手との対戦を終えた時点で、打率.278、OPS.667、本塁打ゼロ、打点1と今季全般の成績に比べて成績は低位になっている。 これは裏を返せば、対戦した日本人投手の質が高かったということになるかもしれない。今永・ダルビッシュ両投手から計10打数1安打、うち今永投手から無安打という数字がこれを物語っている。 今季レギュラーシーズンでは、大谷選手と日本人投手との対決可能 ... 続きを見る
2024/09/21
ミドルリリーフはそれぞれの弱み・強みを把握して役割分担すべし ダニエル・ハドソン、ブレイク・トライネン、アンソニー・バンダ、ライアン・ブレイジャーの4人はフィリップス、コペックほどのスペックは無く、ミドルリリーフとしての運用をされるだろう。そこでこの4人はそれぞれの強みを利用して運用すべきだ。 バンダとブレイジャーについては対左打者と対右打者で成績が大きく差がつく。バンダは左に強く、ブレイジャーは右に強い。”3バッターミニマムルール” により打者ごとに投手を変えることはできないが、相手打線をよく見て起用することが必要だ。 ハドソンは ... 続きを見る
2024/09/15
この1年で飛ばす技術が大成長!? 『Baseball Savant』のデータをもとに、コース別にみたスイングに対するバレル(一定の速度・角度を満たす打球)、ハードヒットの割合の推移を以下に示す。 真ん中のコースについてみると、ドジャース移籍後の2024年は、2021~2023年の平均に比べ、バレル率が9ポイント、ハードヒット率が15ポイント上昇した。2024年は4割以上をハードヒットにしている。 他のコースについてみると、外角高めのボール球でハードヒット率が9ポイント上昇したのが目立つ。一方、ストライクに関しては、インコースの真ん中や低めでハード ... 続きを見る
2024/09/06
「50-50」達成の障害になり得るのは…? こうした中、あえて「50-50」の達成の障害となるものを私なりに以下に列挙した。下記以外に故障などの不測の事態もある。 1)期間ごとの本塁打数、盗塁数の偏り 大谷選手に本塁打が連続して出なかった最長の試合数は5月18日~28日(第2試合)の10(うち1試合欠場)で、開幕から4月2日までの8試合がこれに次ぐ。 盗塁は、本塁打に比べて数字が伸びる時期と伸びない時期の差が大きく、開幕2戦目~4月12日(15試合)を含め、10試合以上連続で盗塁のない期間が3つある。残り24試合にこの期間が生じると達成に影響する。   ... 続きを見る
2024/09/05
トレード価値の最大化 毎年コンテンダーとなるドジャースにとって、トレードデッドラインで上手いトレードをまとめることは重要だが、成立させたトレードの価値を大きくすることも同様に重要である。 スター選手を獲りに行くブロックバスタートレードは、派手でゲームチェンジャーとなり得るが、どうしてもプロスペクトのコストがかかってしまう。一方で他球団が気にしていない、あるいは低評価とされている選手を低コストで連れてきて、高パフォーマンスを得るのは球団の未来にとってもやさしいものとなる。 この3年で成立したトレードを見てもドジャースがその点で非常に上手くやっていることが分かる。 ... 続きを見る
2024/08/31
“数値で見る”今季の大谷翔平ベストゲームは…? ここで、大谷選手の今季のWPAのベスト/ワースト5を以下に示した。ちなみに、上記レイズ戦は6位になる。 ベスト5のうち3試合、ワースト5のうち4試合が延長戦で決着した。ワースト5試合には不調期の試合が目立つ一方で、うち4試合が実はチームが勝利している。 1位のアトランタ・ブレーブス戦は、個人記録は3打数1安打2打点2四球で、この1安打が延長10回裏の同点タイムリーヒットだった。WPAは試合展開のほかチャンスでの打撃機会数も影響し、試合展開を左右する重要性が高くなるほどプラスやマイナスの ... 続きを見る
2024/08/30
ロバーツ監督最大の懸念はプレーオフ…? シーズン序盤には不振を極めたキケ・ヘルナンデス、クリス・テイラー、ギャビン・ラックスなどをなぜ使い続けるのかとの声があった。 しかし、これらの選手はそれぞれの理由(キケ、テイラー→実績・契約額、ラックス→大怪我からの復帰)があり、ドジャースの組織の方針として様子を見ることを表明していた。結果的にこの3人は程度の差こそあれ、成績を好転させることができた。 それぞれのオールスター前後のOPS キケ・ヘルナンデス: .557→.687 クリス・テイラー: .525→ .713 ギャビン・ラックス: .562→ 1. ... 続きを見る
2024/08/25
ピッチクロックとボールの問題 選手側が怪我の原因であると盛んに主張しているのがピッチクロック導入と滑りやすいボールである。ピッチクロックは2023年シーズンに導入され、それまで無制限だった投球間の時間に制限時間が入った。これが投手の休憩時間を減らし体への負担が増えたと選手は主張する。 加えて2024年シーズン終了後にはランナーありの状態で20秒→18秒へ時間がさらに減らされた。ポッドキャスト番組『ファウル・テリトリー』において、レンジャースの投手マックス・シャーザーはピッチクロック導入以降、怪我の重症度が上がったと主張している。 また、先日トミー ... 続きを見る
2024/08/22
8月は「巧打者型」から「一発長打型」に? 大谷選手の打撃内容の変化を裏付けるデータが1つある。それは、今季から導入されたスイング指標だ。米分析サイト『Baseball Savant』によれば、大谷選手の主なスイング指標は、月別に以下のように変化している。 6月までと比較して、三振が急増した7月、打率が低下した8月の方が平均バットスピードは速くなっている。 しかし、スクエア・アップ率(バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度の80%超の打球(スクエア・アップ・スイング)を打てた割合)、ブラスト・スイング率(速いバットスピードでスクエア・アップ ... 続きを見る
2024/08/20
ドジャースが勝ち進むためにはやはり… ドジャースはレギュラーシーズンでのフィリーズ戦6試合を1勝5敗で終え、今後に不安を残す結果となった。 この6試合で大谷選手は打率.227、OPS.659に終わり、唯一チームが勝った8月の3連戦初戦を除けば長打はなかった。ただし3盗塁を記録している。まさに「大谷が打たなければフィリーズに勝てない」という結果になった。 フィリーズ戦終了時点での大谷選手の8月の数字は打率.192、OPS.676にとどまっていたが、ミルウォーキー・ブルワーズ戦では2試合連続本塁打を放った。ドジャース全体としてもムーキー・ベッツの復帰 ... 続きを見る
2024/08/19
プレーオフはCrapshoot(くだらない)なのか? 2022年に締結された労使協定によりプレーオフが12チームに拡大されて以降、プレーオフはアンフェアであるとの論調が高まった。これは2022年にメジャー全体勝率1位,3位のドジャース、ブレーブスが、2023年にはトップ3のブレーブス、オリオールズ、ドジャースがチーム最初のラウンドで敗退したからだ。 このトップチームが敗退している原因として、ワイルドカードシリーズ終了を待つ5日間で調子を乱してしまうことが挙げられる。比べてワイルドカードを戦うチームは消耗がありながらシリーズを勝つことで調子を上げ、勢いがつく。 & ... 続きを見る
2024/08/13
メジャーならでは…8勝目直後にDFA ジェームス・パクストンのトレード トレード単体の評価 S トレードの影響評価 ? ■ドジャース獲得 ・モイセス・ボリバー ■ドジャース放出 ・ジェームス・パクストン 戦力整理の一環としてジェームス・パクストンはDFAとされたが、正直見返りは期待していなかっただろう。パクストンがウェイバーを通過しFAとなるのを待てばタダ同然で獲得できるからだ。 ところが先発デプスを必要としていたボストン・レッドソックスが名乗りを上げ、17歳のプロスペクトとの交換トレードが成立した。 パ ... 続きを見る
2024/08/12
2年連続首位打者は“さすがの技術” 以降は、アラエス選手の打球に関して、大谷選手と同様に分析していく。 アラエス選手は、現地時間8月4日終了時点で、平均バットスピードがMLB最低の62.9mph(約101.2キロ)でありながら、スクエア・アップ率(バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度に近い打球を打てた割合)がMLB最高の43.9%であるという特殊なスイング特性を持つ。スイングの遅さを芯に当てる技術でカバーしているイメージだ。 そのアラエス選手の2023年、2024年の安打の打球方向は以下のようになった。 あらゆる方向に安 ... 続きを見る
2024/08/06
先発とブルペンのバランス 7月に入り先発投手がイニングを食えずに早々にブルペンを使う試合が増えている。故障者の復帰やルーキーのデビューが重なり仕方ない面もあるが、ハイ・レバレッジな場面を担うリリーバーの負担が大きくなっている。 日本時間7月1日から7月28日の22試合でアンソニー・バンダは12登板、ブレーク・トライネン、アレックス・ベシアは11登板、ダニエル・ハドソン、エバン・フィリップスが10登板と半分近くの試合で使われている。 ブルペンを休養させるためにヨハン・ラミレスを使い負けてしまう場面も複数回あった。ホワイトソックスからコ ... 続きを見る
2024/08/05
ライバルとの”ホームラン性”の違いとは 「どの球場でも本塁打になる大きな本塁打」とされるランキングをみると、大谷選手はアーロン・ジャッジ選手(ニューヨーク・ヤンキース)と並んでMLB1位だ。『Baseball Savant』では、MLBの全30球場で本塁打になる「No Doubters」の数値が記録され、ランキングされている。 現地時間7月28日終了時点で、大谷選手、ジャッジ選手の本数はともに21本となっている。この時点で、大谷選手の本塁打に対する「No Doubters」の割合は65.6%と、ジャッジ選手(56.8%)を上回っている。 以下、本 ... 続きを見る
2024/07/31
高い修正能力も一つの要因? コース別には外角球、特に外角高めに対し空振りや三振をしにくくなったのが特徴である。『Baseball Savant』のデータに基づき、K%が30%近かった2021年と2024年を比較すると、外角球、特にボール球を含む外角高めの空振り率やK%が大幅に低下している。 2021年は43%を記録した外角高めのストライクコースのK%は、2024年は0%だ。外角低めのストライクコースの空振り率およびK%が20%ポイントを上回る低下をみせている点も見逃せない。 空振り率やK%の低下を反映して ... 続きを見る
2024/07/31
“これまで通り“に予想を大きく覆す? では、大谷選手は、シーズンが終了時にはどのような数字を残すのか。その数字は予測値のとおりになるのか。過去のトレンドを含め占っていく。 2021年~2024年途中における大谷選手の前半戦、後半戦、各月の成績は以下に推移した。 初本塁打までに時間を要するなど波があるように思えた2024年の数字が、実は近年では最も安定している。 2021年や2023年の6月のような高いOPSを残した月がない一方で、OPSが9割未満の月もない。一方、2021年は後半戦に大きく数字を落とし、9月/10月は ... 続きを見る
2024/07/29
プレーオフほぼ落選“のエース左腕を獲得…? タイガースのオールスター左腕を獲得 ■デトロイト・タイガースとのトレード タイガース+αのトレード(三角トレードではない) 先発投手 SP タリク・スクバル from デトロイト・タイガース → IP 123.0, ERA 2.37, xERA 2.70(94), K% 30.0(91) リリーフ投手 タナ―・スコット from マイアミ・マーリンズ → G 42, ERA 1.24, xERA 2.98(88), K% 28.2(85) または ジェイソン・アダム from タンパベイ・レイズ → G 45, ERA ... 続きを見る
2024/07/25
ドジャース投手陣の陣容(前半戦終了時点) ドジャースの投手陣は現在野戦病院と化している。開幕ローテーションで残っているのはギャビン・ストーンとジェームス・パクストンのみ。故障者の代役にはプロスペクトをコールアップするなどして何とかカバーしている。リリーフ投手ではブラスダー・グラテロル、ジョー・ケリー、ライアン・ブレイジャーの勝ちパターンを担うはずの面々が長期離脱中である。 一方でタイラー・グラスノー、ケリー、グラテロルは8月前にも復帰予定、山本由伸はキャッチボールを始めている状態であり、希望も見えている。今回は復帰の可能性があるメンバーは復帰する前提でドジャースのプレーオフロ ... 続きを見る
2024/07/23
大谷翔平のライバルたちは…? 以降は上記選手のうち、今年は本塁打数で大谷選手を追うアロンソ、シュワーバー両選手を取り上げた比較を行う。シュワーバー選手は、フィラデルフィア・フィリーズで大谷選手と同じ1番DHのポジションを務める。 一方で「三振か本塁打か」のイメージも強い。2022年、2023年とも40本台後半の本塁打と200以上の三振を同時に記録、2023年の打率は2割未満だった。 2021年~2024年7月14日の主要指標を比較すると以下のようになる。 直近の約3年半では、大谷選手とシュワーバー選手のAB/HRにほとんど差がない ... 続きを見る
2024/07/16
MVPは“打つだけじゃダメ”理論を覆せるか!? DHを専門とする打者がMVP投票上位に浮上しているのが2018年のAL(アメリカン・リーグ)だ。この年はベッツ、マイク・トラウトという世代を代表するファイブツールプレイヤーがMVPを争い、結果的にWARが10を超えたベッツがMVPを受賞した。 J.D.マルティネスは攻撃面では3位のホセ・ラミレスを上回る活躍をしているが、ラミレスはサードを守り守備面で貢献した一方で、DHが出場の半分以上を占めたマルティネスは守備面でマイナスがかかり、4位に順位が落ちた。 米メディア『The Athletic』のKen Rosent ... 続きを見る
2024/07/15
今季のドジャース1番、2番打者の成績 ここからは、2024年ドジャース全体の視点で考える。今シーズンのドジャースで1番打者として先発出場したのはベッツ選手と大谷選手だけである。 2番打者として先発出場したのは大谷選手、ウィル・スミス選手、フレディ・フリーマン選手、テオスカー・ヘルナンデス選手の4人だ。ベッツ選手の故障前は、大谷選手が休養した3試合ではフリーマン選手が2番を務めた。 故障したベッツ選手に代わり大谷選手が1番を打ってからは、捕手のスミス選手が2番を務めるケースが多いが、同選手の休養時には、フリーマン選手が起用された1試合を除きヘルナン ... 続きを見る
2024/07/09
本塁打量産の一方で不穏な兆しも… 大谷選手にも、実は6月の終わりになって変調の兆しが見え始めた。前記のとおり6月下旬の三振数は10と中旬から増加したが、このうち半分の5つは、6月29~30日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で喫したものだ。 さらにそのうち4つがボール球に手を出して三振になったものである。四球数が増加することで、難しい球に手を出すようになったのかもしれない。この2日間のヒットは第26号ホームランの1本のみだった。 5月以降に導入されたスイング指標のうち以下の推移をみると、この変調の兆しが数値化されている。 ・Squa ... 続きを見る
2024/07/08
名監督も現役時代は“いぶし銀“ デーブ・ロバーツ(2004年ワールドシリーズ優勝、2020ワールドシリーズ優勝(監督)) 日本人ファンにもお馴染み、現ドジャース監督を務めるデーブ・ロバーツは、日本に配属された海兵隊員の父と日本人の母の間に生まれた。出生地は沖縄県那覇市だ。 選手としてはクリーブランド・インディアンズでキャリアをスタート。その後ドジャース、ボストン・レッドソックス、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツを渡り歩いた。しかし、目立った成績を残したシーズンは無く、非常に平均的な打者であった。 キャリアのハイライトはレッド ... 続きを見る
2024/07/03
昨季まで無かった“原動力”は 今季6月に行われたドジャー・スタジアムでのフリーウェイシリーズ2連戦で、大谷選手は、6打数3安打2本塁打4打点2得点3四球の素晴らしい成績を残した。 元チームメイト、マット・ムーア投手からのホームランを含め2試合ともに本塁打を打ち、フリーウェイシリーズ一番の顔ともいえる活躍を見せた。試合での活躍度を示す指標である「WPA」は2日間合計で0.341と、出場した両チームの選手で最高の数字を残している。 そして、ドジャー・スタジアムでのフリーウェイシリーズの成績を打率.382、OPS1.335に上昇させた。一 ... 続きを見る
2024/07/02
時代はスイーパーからスプリットへ 2021年から現在にかけては、スイーパーの流行に見られるようなスライダー全盛期だった。しかし打者側もスライダーに目が慣れてきたようで、スライダーの効果が薄れてきている。 米トレーニング施設『Driveline Baseball』 の研究では球質を測る「Stuff+」において3年前のモデルと比較した際に最も効用が低くなったのがスイーパーだという。 現在流行の兆しが表れているのがスプリットだ。千賀晃大のお化けフォークや山本由伸、ケビン・ゴーズマンなどのスプリット使いが活躍し、リーグ全体でスプリットが再評価され始めてい ... 続きを見る
2024/06/25
ドジャースコーチ陣の対策 これらの課題に対して山本とドジャースのコーチ陣は様々な策を立てた。まずは投球スタイルの変更だ。5月に入ってからは左打者への内角へカッター、右打者に対しては内角へシンカー、外角へスライダーを導入しスプリット/カーブの縦変化だけでなく、横方向でも打者を攻められるようになった。 特にスライダーについては平均以上の86マイル(約138キロ)でよく落ち曲がるため、「Stuff+」が110以上と優秀な値を記録しており、シーズン通算で空振り率33.3%と新たな決め球を見つけてしまった格好だ。 また、6月に入ってから投球モーションの ... 続きを見る
2024/06/23
得意な球場、苦手な球場は? 2024年6月16日時点では、ドジャースの選手として出場したエンゼルスタジアムでの試合はまだない。 デビュー以来の大谷選手の打率やOPSにつき、球場別の上位・下位を示した。 得意球場としてリグレー・フィールド、レンジャース・ボールパーク、カウフマン・スタジアムなどが、苦手球場としてローンデポ・パーク、グレート・アメリカン・ボール・パーク、ヤンキー・スタジアム、Tモバイル・パーク、ペトコ・パーク、ミニッツメイド・パークが挙げられる。過去の打数の少ない球場を除けば、打率・OPSとも、ヤンキー・スタジアムの数値 ... 続きを見る