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侍Jが世論を覆し決勝R進出を決めた要因。小久保監督が貫き続けた選手への信頼

第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場している侍ジャパンが4大会連続の決勝ラウンド進出を決めた。大会前までは過去最低の予選ラウンド敗退の予想があったなか、全勝突破の要因を振り返る。

2017/03/21

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選手各自で状態をあげ首脳陣が見極める

 侍ジャパンが1次、2次ラウンドを全勝して決勝ラウンド進出を決めた。
 大会が始まる前は小久保裕紀監督の手腕を危ぶむ声が多かったが、過去最高の成績を残しての決勝ラウンド進出には指揮官への否定的な意見も少なくなった。
 
 小久保監督は、なぜ、これほどの結果を残すことができたのだろう。
 米国行きを決めたイスラエル戦後の記者会見ではしきりに「信じるということ」と語った指揮官だが、なかでも、特筆すべきは、自身も「想定外」といった打線が機能したことだろう。
 
 もともと小久保監督にはバッティングコーチが天職ではないかと思えるほどの素養があった。NHKなどの解説でもその能力を発揮しているが、選手の調子の良し悪しを見極める能力に長けている。
 
 例えば、宮崎合宿から調子が上がらなかった山田哲人内野手(ヤクルト)が抱えている問題点をこう分析していた。
 
「完全に身体を開いて打ちに行っています。それを打席の中で修正しようとして、次の打席は詰まる。そのパターンにはまっていますよね。実績のある選手なので、本人も分かっているでしょうけど」
 
 小久保監督の目には、選手の技術的な問題がどこにあるのかがはっきり見えている。
 
「状態をしっかりあげてくれることだけです。あとはそれをこちらがしっかりと見極めること」
 
 初めての対外試合となった福岡ソフトバンクホークス戦(宮崎)では4安打完封を喰らったが、あくまで実戦感を取り戻すための機会と批判的に見る声を意に介さなかった。宮崎から福岡に場所を移しての壮行試合では、1戦目にCPBL選抜に完敗するという醜態をさらしながらも、2戦目は控え選手に出場機会を与えた。
 
 目先の勝利にとらわれがちなところ、田中広輔内野手らをスタメンに起用した。レギュラーを重宝するのではなく、全選手のコンディショニングを配慮していたところは、好不調の波が偶然起きることではないというのを知っている視点の知恵だ。
 
 当然、これには打撃コーチの稲葉篤紀氏のアシストがある。
 指揮官の想いを代弁するかのように、稲葉コーチがこんな話をしている。
 
「選手だった人間の立場からすると、(WBCは)いつもより実践が始まるのが早いわけじゃないですか。通常はOP戦でたくさんの打席に立ってから本番に入っていく。多くの打席に立つんですけど、その数に比べればWBCの場合は圧倒的に少ない。それは分かっていて、選手が大変なのは分かるんだけど、お願い、状態を上げてくれというしか、僕らにはないんですよ」
 
 試合運びの拙さやワンパターンの攻撃をする采配が見受けられたりしたが、選手たちの状態がシーズンに近いものになった瞬間、指揮官の手腕は発揮された。

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