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池田隆英よ、新天地で輝け。今こそ人生を変えるチャンスだ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#145】

今年2月末に急遽トレードでファイターズへ加入した池田隆英が、3シーズンに勝利を飾った。先発投手のやりくりに困るチームを救うか。めぐってきたチャンスでぜひ結果を積み上げていきたい。

2021/04/17

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「外国人投手が来るまで」の見方をひっくり返せ

 
 それを考えると、ファイターズへのトレードは人生を変えるチャンスだ。いかに外国人投手の来日が遅れているからといって、そんなことで先発ローテ入りの機会をもらえたのだ。ファイターズは池田のイースタンリーグやアジアウィンターリーグの投球をチェックしていただろう。その潜在力に目をつけていた。
 
 背番号52、ファイターズの池田隆英は古巣楽天戦(3年ぶり1軍登板)を5回4失点、次のソフトバンク戦を5回2/3で5失点と二度敗戦投手になった。マウンド姿は威圧感がなく、とても「期待の新戦力」という感じではなかった。が、なるほど投球は使えそうなものがあった。ストレートで丹念に低めを突ける。スライダーで簡単にストライクが取れる。ボールを動かして打ち損じを誘える。登板は二度ともエラーがらみの失点があった。打たせて取るタイプは今のファイターズ内野陣では割りを食う。そこは情状酌量の余地(?)がある。
 
 派手さはないけれど、自信がついてくれば化けるかもしれないなぁと思った。今の状態は移籍してきた頃の大田泰示に似ている。結果が出なければすぐ引っ込められていたのだ。泰示は「結果にかかわらず、お前は4打席立つんだよ」というファイターズの起用法に感激していた。池田も先発の責任回数は投げさせてもらえた。求められていることは泰示と同じだ。落ち着いて自分の力を発揮してくれ。
 
 そして今季三度目の先発、4月13日の西武戦がやって来た。西武は栗山、山川、外崎、木村と主力選手のケガが相次ぎ、愛斗ら若手の奮起でチームを切り盛りしている。池田からするとイースタンで知ってる顔が並んでいたとも言える。
 
 2回裏だ。先頭の呉ヒット、次の愛斗ツーベースで無死2、3塁になった。あぁ、これはビッグイニングを作られるかなと不安に駆られる。ここで崩れて池田はやっぱり5失点くらいするのか。が、このイニングの池田は見応えがあった。西川犠牲フライで1失点。これは織り込み済。そこから山田、金子と連続三振だ。気持ちが強かった。攻めの投球。これができるんなら面白いよ。
 
 結局、この日は6回94球投げて、3被安打1失点。見事、1094日ぶりのプロ入り2勝目を飾った。ていねいに投げること。ピンチを背負っても闘志で負けないこと。自分の持ってるものを信じること。この日の池田のピッチングには大事なことが詰まっていた。ただの移籍初勝利ではないよ。ケガに泣き、体調管理に苦心し、一度は育成に落とされた選手の復活劇だ。僕は世間が「外国人投手が来るまで」と思ってるのをひっくり返してほしい。花を咲かそうよ。池田隆英の野球人生の花を!

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