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池田隆英よ、新天地で輝け。今こそ人生を変えるチャンスだ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#145】

今年2月末に急遽トレードでファイターズへ加入した池田隆英が、3シーズンに勝利を飾った。先発投手のやりくりに困るチームを救うか。めぐってきたチャンスでぜひ結果を積み上げていきたい。

2021/04/17

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「人生何があるかわからない」の象徴

 池田隆英のファイターズ初勝利に感じるところがあった。敵地メットライフドームでのヒーローインタビュー。「やっと勝ててよかった」「諦めずによかった」と飾ることなく、落ち着いた口調で語る池田の姿が忘れられない。その晩は考え事をして眠れなくなったのだ。池田隆英のこの勝利はベースボールドリームではないか?
 
 記録をひもとくと2018年以来、3シーズンぶりのプロ2勝目だそうだ。ご承知のように池田は今年2月末、オープン戦を控えた時期におにぎり君、横尾俊建との電撃トレードで楽天からやってきた。横尾はキャンプを通じ、(昨シーズン試みた)率を上げるバッティングを捨て、もういっぺん豪快なスイングに戻す取り組みをしていた。僕は楽しみにしていたのだ。だから突然のトレードに面食らった。
 
 が、そこにはコロナ禍のシーズンならではの事情があった。外国人選手の入国が遅れていた。ファイターズは先発要員を、イーグルスは右の強打者を補強する必要があった。お互い「雨漏り補修」的な緊急補強だ。必要なところを手当てするやつだ。
 
 池田隆英の名前はドラフト時の印象があった。創価高→創価大。160キロ右腕、田中正義(ソフトバンク)とチームメイトだったはずだ。田中が5球団競合の1位指名で話題になるなか、大学の「2番手」だった池田もイーグルスの2位指名を受ける。2位指名っていったら大したものだ。TBSのドラフト特番でも取り上げられていた。確か沖原佳典スカウトが惚れ込んだ逸材だった。他球団が田中を追いかけるなか、沖原さんだけが池田を見ていた。
 
 つまり、ポテンシャルは「ドラフト上位級」なのだ。そこはドラフト下位指名(2015年6位指名)の横尾俊建とはそもそもの期待値が違う。但し、横尾は曲がりなりにも1軍経験を積み、三塁手のバックアップや代打で戦力になっていた。一方、池田は入団2年目の2018年シーズン、7試合に先発し、1勝5敗(4ホールド)、防御率5.91が楽天1軍で残した全記録だった。直近の昨シーズンは1軍登板なし、戦力外通告を受け、育成選手として再契約していた。プロ入り後の実績は横尾に分がある。トレード発表後、両チームのファンはそれがつり合うかどうかしきりに語ったものだ。
 
 そしてオープン戦で調整を重ね、ついに池田隆英は開幕シリーズ・楽天戦第3戦のマウンドに立つ。読者よ、こんなことってあるんだなぁ。賭けてもいいが、お正月、餅を食ってる頃は当の池田本人は自分が開幕カード3戦目、楽天生命パークのマウンドに、しかも対戦相手のファイターズのユニホームで立ってるなんてまったく想像しなかったはずだ。もしかしたらファイターズ栗山監督、イーグルス石井監督も同様だ。2021年シーズンの池田隆英こそ「人生何があるかわからない」の象徴みたいな存在だ。
 
 池田はトレードがなかったらどうしていただろう。支配下登録が叶って、背番号は以前の「30」に戻っていたけれど、今年のイーグルスの豪華先発陣を見ると簡単には割り込めないと思う。とすると中継ぎで仕事をするしかないが、タイプ的にバンバン三振を取る投手じゃない。先発かロングリリーフでじわじわ味が出るタイプだろう。1軍で働きどころを見つけるのはそこそこハードルが高い。

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