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選手経験なし、独学のスカウティング。ソフトバンク異色スカウトが切り拓いた道とは 背中を押したのは意外な人物【インタビュー・後編】

最強軍団の名をほしいままにし、5年連続の日本一を目指す福岡ソフトバンクホークス。その充実した陣容の中でも出色の輝きを放つのが、リバン・モイネロ投手、ジュリスベル・グラシアル選手、アルフレド・デスパイネ選手というキューバの助っ人プレーヤーだ。そんな彼らの獲得に携わり、ホークスの中南米戦略を支えている萩原健太・中南米担当スカウト。ドミニカ共和国に拠点に置き、逸材探しに奮闘する萩原スカウトに今年も話を伺うことができた。<後編>

2021/03/30

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スカウトの“直感”には「人生経験の全てが詰まっている」

 中南米に拠点を置き、スカウト活動を行う12球団唯一の存在として考えていることとは何だろうか。
 

 
「ホークスに在籍して7年目となります。海のきれいなカリブ海のドミニカに住んで、中南米を飛び回りながら好きな野球を見られるなんていい仕事ですね、とスカウトとしての私しか知らない人からはそう言われることもあります。表面的にはそう映るかもしれませんが、そんなこと全くないですよ。

そもそも、スカウトになるまでに8年かかっているわけです(苦笑)。何のつてもなくドミニカに来て、語学学校に通いながら、球場やアカデミーに足を運ぶという贅沢とは無縁の日々でした。いい選手を見つけては日本の球団にメールを送り情報提供をしていました。
 
その中にはトニ・ブランコ(元中日ドラゴンズ他)、マウロ・ゴメス(元阪神タイガース)などもいましたね。でもノーリアクションですよ。スカウトでもない、どこの誰かも分からない人間からの情報ですから、悔しかったですが当然といえば当然です。それでも続けましたよ。また、アカデミーで選手指導も行うようになったことで選手を見る目も肥えてきました。
 
8年間地道に種をまき続けた結果、日本の球団も徐々に私の存在に関心を示すようになってくれたわけです。スカウトとして雇ってくれたホークスには本当に感謝していますが、決して現状に満足しないようにしています。スカウトは1年契約ですし、仮に私が獲得した選手が立て続けにハズレたとなればクビも覚悟しないといけません。そして、やっぱり選手経験のない人間にスカウトは無理だ、と判断されれば私に続く人間のチャンスを奪うことにもなります。だから結果を残すことが大事なんです。
 
ドミニカに住んでいますし、別に球団から行動を監視されてるわけでもないので、正直手を抜こうと思えば抜けますよ(苦笑)。実際にそういう現地スカウトもいます。それでも誰かが見ているんです。アイツ今日も球場に来ているなと思ってもらえるような日々の小さな積み重ねが大事なんです。
 
私は元選手ではないし、スカウティングのやり方を教わってもいません。全て独学で掴んだものです。スカウティングは数学の様な解答はありません。最後は自分の直感を信じることになるのですが、その直感にはこれまでの私の人生経験の全てが詰まっているのです」
 

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