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選手経験なし、独学のスカウティング。ソフトバンク異色スカウトが切り拓いた道とは 背中を押したのは意外な人物【インタビュー・後編】

最強軍団の名をほしいままにし、5年連続の日本一を目指す福岡ソフトバンクホークス。その充実した陣容の中でも出色の輝きを放つのが、リバン・モイネロ投手、ジュリスベル・グラシアル選手、アルフレド・デスパイネ選手というキューバの助っ人プレーヤーだ。そんな彼らの獲得に携わり、ホークスの中南米戦略を支えている萩原健太・中南米担当スカウト。ドミニカ共和国に拠点に置き、逸材探しに奮闘する萩原スカウトに今年も話を伺うことができた。<後編>

2021/03/30

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日本ハム通訳を辞めて未知の挑戦へ

 単身ドミニカに飛び込んで、幾度も辛酸を舐めながらも前に進み続けた萩原スカウト。今も続く異国の地での奮闘の原点にも繋がる、意外な人物とのエピソードを最後に打ち明けてくれた。

「アメリカの短大を卒業後、2004年~2006年にかけて北海道日本ハムファイターズで通訳をしていました。この時チームに在籍していた新庄剛志さんには本当にお世話になりました。大スターの新庄さんは、一通訳の私にも全く偉ぶったところがなくフラットに接してくださり、新庄さんの方から連絡先を交換しようと仰ってくれて、よく食事にも連れて行ってもらいました。こういう新庄さんの姿勢には影響を受けています。
 
私もスカウトという肩書を得たからといって偉ぶりたくないし、フラットな目線を持つことはスカウティングにも生きてきます。また、2006年は新庄さんの現役ラストイヤーでしたが、私自身も岐路に立っていました。スペイン語を習得したい、もっと色々な世界を知りたいという思いから、球団通訳を辞めて、ドミニカへ行こうと思っていたのです。
 
周囲のほとんどが、通訳のポストを捨てるのはもったいないとか、無謀だとかいう中で、新庄さんは『好きな事やろうよ、楽しもう。お金なんか後からついてくるから。困ったときは連絡してよ』と言ってくれたんです。背中を押されましたね。お互いに環境も大きく変わりましたし、長い間新庄さんとは連絡を取っていませんが、おかげさまで人生楽しんでいます、と伝えたいですね」
 
 自身の人生経験を投影させたスカウティング。選手経験のない萩原スカウトが優良助っ人を獲得できる要因がここにあるのではないだろうか。日本球界に新たなスパイスを加えている萩原スカウトの存在。次なる逸材を求める日々は続く。
 
 
高橋康光

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