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「ラミレスのところに打球が飛んだら、ひとつ余分に塁を取れ」が巨人戦の合言葉。好走塁生み出す一塁コーチの存在

頭を整理して、グラウンドで戦え!実践と復習の繰り返しで、ワンプレー、1打席の濃さは明らかに変わる。犠打バント世界記録を持ち、ゴールデングラブ賞を6回受賞、指導者として中日ドラゴンズ、読売ジャイアンツで多くの選手を育ててきた川相昌弘が技術論、指導論を体系化した『ベースボールインテリジェンス』(川相昌弘著 12/7発売)を発売します!本書より一部を公開します!

2020/12/14

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「できる限り自分でボールを見て、自分で判断しなさい」

 走塁編の最後には、一塁・三塁ベースコーチの役割を紹介したい。ベースコーチを経験したことで、走塁に対する考え方は間違いなく変わった。いかに重要で、好走塁を生み出すには欠かせない存在であるのか。ベースコーチの仕事がわかると、走塁のさらなる奥深さに気づくことができるはずだ。
 
 まずは、一塁コーチについて。2007年、中日の内野守備・走塁コーチに就任すると同時に、一塁コーチを任されるようになった。正直なことを明かせば、就任する前はさほど大きな仕事はないものだと思っていた。三塁コーチであれば何となく仕事のイメージはできるが、一塁コーチは具体的に何をすればいいのかわからない。前年にコーチを務めていた早川和夫さんにイチから教えてもらいながら、勉強を続けていった。
 
 ランナーなしの状況では、相手の守備位置の確認、外野手の守備力を常に頭に入れておき、「あそこに飛んだら、二塁を狙わせる」と準備をしておく。たとえば、2020年までDeNAを率いていたアレックス・ラミレス監督が巨人のレフトを守っていたときは、通常であればシングルヒットのコースでも、二塁を狙えるチャンスがあった。動きが緩慢で肩も強くはないので、少しでも左右にずれた打球であれば、チャレンジする。巨人戦の合言葉は、「ラミレスのところに打球が飛んだら、ひとつ余分に塁を取れ!」だった。打者走者はセカンド、一塁ランナーはサードを狙う意識で走っておく。
 
 チーム全体で約束事を決めていて、一塁コーチャーが「ツーツー!」と叫べば、二塁を狙う。このときのコーチャーは打者走者に声が届くように、一塁ベースのすぐ横にまで動き、グルグルと手を回す。「ゴーゴー!」と叫んだときは二塁打が確定で、「スリースリー!」は三塁打まで狙える状況だ。シングルヒットで止まるときは、「見て見て!」と声をかけ、ボールの行方を追わせるようにしていた。このあたりの言葉は、球団によっても違いがあるだろう。
 
 それでも、ランナーにいつも言っていたのは「できる限り自分でボールを見て、自分で判断しなさい」ということだ。コーチャーに指示されるよりも、自分で「狙える!」と思って走ったほうが早い判断ができる。

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