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前半戦4位ターンのヤクルト、成瀬&大引のFA補強は成功だったのか【新・燕軍戦記#8】

今シーズンの東京ヤクルトスワローズの補強の目玉として、FAで入団した成瀬善久と大引啓次。借金3、首位から1.5ゲーム差の4位で前半戦を折り返したヤクルトにとって、この2人の獲得は成功だったと言えるのだろうか……。

2015/07/17

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3勝8敗、防御率4.52もQS8試合はチーム2位

 昨年まで在籍した千葉ロッテでは通算90勝(66敗)、2007年には最優秀防御率、最優秀投手(勝率1位)のタイトルも獲得した成瀬善久(29歳)。投手としてはヤクルトが初めてFAで獲得した左腕は、チームが前半戦最後の戦いを繰り広げているナゴヤドームではなく、炎天下の二軍のホームグラウンド、戸田球場で汗を流していた。

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 故障をしているわけではない。7月初旬までは先発ローテーションを守っていたが、13試合の登板で3勝8敗、防御率4.52。4回途中5失点でKOされた7月8日の巨人戦(東京ドーム)を最後に、出場選手登録を抹消されてしまったのだ。

「ホントに少しの差だとは思いますけどね……。勝てる試合を自ら落としたのもあるし、そのへんをキッチリ取っておけばここまで苦労しなかったと思います」

 新天地での前半戦を成瀬はそう振り返るが、先発13試合中8試合でクオリティ・スタート(先発投手が6回以上投げて自責点3以下に抑えた試合、以降QS)と、試合自体は作っているケースが多い。QS8試合は、チームでは小川泰弘の11試合に次ぐものだ。ただし──。

「勝ち星がつかないっていう部分では、打線の援護に恵まれなかったのもありますけど、ここでひと踏ん張りっていう場面でなかなか粘れてないところがあったんで、そのへんが課題ですね」

 真中満監督は、前半戦の成瀬をそう評す。現時点では後半戦のローテーション入りは白紙で、高津臣吾投手コーチも「ファームで1回投げてから考えます。ほかにも悪くないピッチャーがいるので、そことの比較になると思いますね」と話すなど、置かれている立場は厳しい。

 そんな成瀬に、2012年まではロッテでもともにプレーした捕手の田中雅彦は、エールを送る。

 「なんだかんだ言いながら投球術は持ってるから、そこにしっかり投げれるだけの技術を頑張って取り戻したら、全然勝てるピッチャーですよ。勝ち方も知ってますから。ゲームはずっと作れてたわけやから、あの球でね。それがもっと成瀬らしいボールが出てきたら、もっともっといいピッチングができると思いますよ」

 ファームでは、ロッテ時代から自らを知る成本年秀二軍チーフ投手コーチと対話を重ねながら、若手に混じってひたむきに練習に取り組んでいた成瀬。後半戦は20日から行われる二軍の北海道日本ハム3連戦(日本ハム鎌ケ谷)に先発してスタートを切る予定だが、自らの居場所を取り戻すためにも、まずはそこでしっかりと結果を残すしかない。

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