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秋山翔吾、シーズン216安打の軌跡。31試合連続安打は歴代3位――NPB歴代1位記録の詳細を振り返る【プロ野球史を振り返る】

2020/05/21

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秋山216安打の全貌は?

 埼玉西武ライオンズ・秋山翔吾は、2015年シーズン最終戦となる10月1日オリックス戦で2安打を放ち、マートン(元阪神タイガース)が持つNPBシーズン最多安打記録を更新。新記録となる216安打の金字塔を打ち立てた。
 
 2015年の秋山は、「1番・中堅」で全143試合にフルイニング出場。そのうち119試合で安打を放ち、無安打に終わったのはわずか24試合だった。
 
 開幕からハイペースで安打を積み上げた秋山。3、4月は、記録した40安打中80%にあたる32安打が単打。しかし、5月に入ると、二塁打数が4本から8本へと倍増。打率をやや下げたものの、長打率を大幅に改善させた。
 
 そして、6月には、驚異の打率.448を記録。5月の長打力そのままに、43安打(内訳:単打31本、二塁打9本、三塁打1本、本塁打2本)を放ち、月間MVPに輝いた。また、6月3日〜7月12日までは31試合連続安打。これは、高橋慶彦(1979年、当時広島)の33試合、長池徳二(1971年、当時阪急)の32試合に次ぐ歴代3位タイの記録となっている。
 
 疲れが見え始める夏場にも好成績を残し続けた秋山。8月は単打の割合が3、4月以来となる80%を超えたが、一方で本塁打4本と月別では最多を記録した。
 
 9月は、他月と比べると率の面で成績を落としたが(打率.301)、安打における単打の割合が激減(53.5%)。二塁打7本、三塁打5本を記録し、シーズン終盤で勝負強さを発揮した。
 
 そして、残すところあと2試合となった9月30日。この時点での安打数は209安打で、NPB記録までには少なくとも5安打が必要となった。2安打、3安打で記録に並ぶという恰好か、あるいは2試合続けて猛打賞を記録すれば、あわよくば新記録達成というぎりぎりのラインだった。
 
 しかし秋山はこの日、5打数5安打4打点2四球の大暴れ。1試合でイチローの記録を超え、マートンの記録に並ぶと、10月1日の最終戦でもマルチ安打を放ち、「216安打」の新記録を打ち立てた。
 
 秋山の打撃の特徴でもあるが、同シーズンは特に逆方向への打球が目立ち、内野安打も多く稼いだ。また、全ての月で打率3割以上をマークしており、好不調の波が少なかったことがNPBシーズン最多安打記録を樹立した要因といえるだろう。

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