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川相昌弘、ドラフト4位の肖像#5――「びっくりしましたね。まさかの巨人だって」

ドラフト四位指名―ドラヨンに結果を残している選手が多い。ドラフト一位指名は、その時点で同年代の野球少年の最前列にいると認められたことになる。その意味で、ドラヨンは、二列目以降の男たちとも言える。そんな“ドラヨン”で入団した野球選手を追った10/16発売の新刊「ドラヨン」から一部抜粋で公開する。

2019/10/18

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田崎健太

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岡山東商の“川相対策”

 岡山東商の右打者は初回からホームベースに被さるように構えていた。シュートを得意とする川相対策だった。
 
「ストライクゾーンに躯を入れているので、今のルールではデッドボールにはならないんですけれど、当時は違った。ストライクゾーンにシュートを投げると逃げないで当たってくる。ぼくは審判に〝ストライクですよ〞って抗議したのを覚えていますよ」
 
 ぼくって、穏やかそうだと言われますが、だいぶ気が短いんですよ、と川相は苦笑いした。
 
「ピンチになるともう、カッカカッカして、前しか見られない。これでもか、これでもかって投げるのでガンガンやられるんです。(気を静めるために)間を取らなきゃいけない。冷静になってバッターを打ち取らなきゃいけないって分かっていたんですけれど、それができない」
 
 川相は怒りのあまり、うぉーと声を出して吠えた。その声はテレビ中継に聞こえるほどで、後から同級生から熱くなりすぎだと指摘され赤面したという。
 
 
〈打者をベース寄りに立たせたことが2点差を追う七回に実る。川相の得意とするシュート封じだ。一死からいきなり二死球を呼び、おまけにシュートだけでなく外角の球も甘くなり、小幡が中前タイムリーして1点。なおも二死満塁から赤沢が右中間を真っ二つに割って5―3と試合をひっくり返した。
 
「インコースを狙った直球が少し甘くなった」と川相投手は〝かぶさり〞打法にしてやられ、くちびるをかむ〉(『山陽新聞』一九八二年七月二九日)
  
 
 川相はこう振り返る。
 
「もう相手の作戦通りなんですよ。最後に投げたシュートが甘くなって打たれた。後から監督に、お前が冷静になって変化球を投げていれば打たれなかったって言われました」
 
 この四失点が決勝点となり、岡山南は三対五で敗れた。
 
 三塁打を放った三番打者の赤沢とは中学校時代から面識があった。彼は岡山南を志望していたのだが、直前で岡山東商に変えたのだ。それを知っていただけに悔しさが倍増した。なお、赤沢に続く四番打者は四打数〇安打と完全に抑えている。この二年生の四番打者は三菱自動車水島を経て、八六年ドラフト三位で阪神タイガースに入った。後に〝代打の神様〞と呼ばれる八木裕だ。

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