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苦手・辛島を打ち崩したスギノールが、栗山監督に評価される理由【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#102】

ファイターズは楽天を苦手にしており、特に左の辛島は苦手中の苦手だ。4連敗で迎えた本拠地札幌ドームの楽天戦12回戦(5月23日)は、その辛島が先発。栗山監督は西川遥輝をベンチに温存、打順を1番・渡邉諒、2番・杉谷拳士という大胆なオーダーで挑んだ。

2019/05/25

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大胆なオーダーが機能

 で、それが勝ってしまうのだ。杉浦は見事、連敗ストッパーの大役を果たした。こんなことってあるだろうか。僕はあまりにも嬉しすぎてこのネタでコラムを1本書くことに決めた。栗山英樹監督は大胆策に打って出る。何と(状態の上がってきていた)西川遥輝をベンチに温存、打順を1番・渡邉諒、2番・杉谷拳士で組む。これは心底驚いた。1番なべりょはともかく、2番センター・杉谷なのだ。いやぁ、そこまで我がチームは辛島が苦手ってことかと頭を抱えた。
 
 ところがそれが的中するのだ。特に初回、なべりょ3ベース→杉谷犠飛で先制点ゲットは鮮やかだった。試合はすぐ1-1に追いつかれるが(杉浦の無失点記録が途絶えた!)、3回表、中田の9号2ランが出て優位に進む。苦手中の苦手、辛島は5回被安打7、失点5(108球)という、ちょっと記憶にないくらいの大サービス(?)だ。夢のように点が取れてしまった。初回いきなり渡邉諒に3ベースを打たれて、波に乗り切れないまま回を重ねた印象だ。
 
 この試合のヒーローは誰が見ても杉谷拳士だった。4打数2安打4打点。左右両打席での2打席連続ホームランは史上19人目、ファイターズでは2007年セギノール以来の快挙だった。また左右両打席・2打席連続ホームランを放ち、ベンチへ帰っての2連続サイレントトリートメントは(たぶん)NPB初の偉業である。
 
「セギノール以来ですよね。これからスギノールと呼んでください」
 
 ちなみに僕は今、このくだりを西武球場前駅のベンチで書いている。スギノール爆誕から一夜明けた24日15時過ぎ、メットライフドームは開門前だ。これから西武・鈴木あずさ広報がどんないじり方をするか興味津々である。昨夜は『プロ野球ニュース』(フジテレビONE)で井端弘和さんが「2本も打ってしまうと非常にバッティングが崩れるんじゃないかなと。明日以降、心配ですね」と言っておられた。まぁ、「2本」の部分にフォーカスすればその通りだけど、昨日の杉谷の良さは1本目、10球ファウルで粘って甘くなるのを待った姿だ。
 
 ひょっとすると昨夜のヒーローは今日はスタメンじゃないかもしれないと思った。関係ないのだ。杉谷はどんな持ち場でも頑張る。今、ファイターズの捕手・遊撃手以外の全てのポジションの控えの一番手は杉谷なのだ。これがどれだけすごいことか。
 
 そして僕を含め、どれだけ多くの野球ファンに(鈴木広報のいじり見たさに)金曜午後の仕事をほっ放り出させたか。続々とファンが電車から降りてくる。杉谷拳士の魅力は無限大だ。
 
追記、西武戦10回戦、注目の杉谷いじりはこうだった。
 「みなさまお待たせしました。昨日も球界大熱狂の右左、2打席連続ホームラン、大活躍のノンフィクション、プロ野球史にさっそうとその名を刻みました北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士選手がバッティング練習を行っています。みなさま、ケルナンド・スギノール選手にご注目ください」
 「キュートなフォルムとは裏腹に大変攻撃的な打球が本日は絶え間なくスタンドに飛び込むおそれがございます。大変危険ですので、今こそ抜かりなく杉谷選手の打球の行方にご注意ください」。
 くすぐりが実にていねいだ。軽く嫉妬心さえおぼえた。ちなみにこの試合、杉谷は「1番レフト」にスタメン抜擢され、残念ながら4打数1安打、チームも試合に敗れて、連日のヒーローになり損なった。

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