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横浜DeNAに浸透するコンディショニングの重要性。アスレティックトレーナーが大切にするコミュニケーションとメンタルケア

長いシーズンを戦い抜く上で、アスレティックトレーナーの果たす役割は非常に大きい。では、実際にアスレティックトレーナーは日々どのように選手を支えているのだろうか。一軍チーフアスレティックトレーナーである四角純哉氏に話を伺った。

2019/05/23

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横浜DeNAベイスターズ



一軍7名、ファーム8名の計15名のアスレティックトレーナーが所属

 選手たちの肉体を知りパフォーマンスを支える、チームになくてはならない存在――。横浜DeNAベイスターズの一軍チーフアスレティックトレーナーである四角純哉氏は、真摯な表情で語った。
 
「自分たちの仕事が球団にとって“文化”になるよう残していきたいと思っています。ひとりでも多く、自立した選手を輩出したい。自分の身体のことを認識できる人間が多いほど、つまりは“強い集団”なのだと考えています」
 
 普段は表に出ることのないアスレティックトレーナーという仕事。四角アスレティックトレーナーの主な担当は、ウォーミングアップやウェイトトレーニングの指導をはじめ、身体の機能の改善、パフォーマンスの向上、さらに障害予防について手引きなど多岐に渡る。また今季からチーフに就任したことで、選手に対してばかりではなく首脳陣ともコミュニケーションをとり、チームの勝利に向け、日々尽力している。
 
 四角アスレティックトレーナーはアメリカなどでトレーナーの勉強をした後、四国アインランドリーグで仕事をしていたのだが、そのとき球団に誘われたという。今シーズンで8年目、選手や関係者らの信頼も厚いチームを知り尽くした存在である。
 
 今や“コンディショニング”は、アスリートにとってスキル以上に大切なものだというのは周知の通り。パフォーマンスの向上を司るアスレティックトレーナーとしてベイスターズの選手はどのように見えるのだろうか。
 
「選手たちの身体に対する関心は非常に高く、重要性の周知は年々高まっているように感じます。結構、質問をされる機会も多いんですよ。それにコーチの方々も関心を持たれているので、こちらの意図が伝えやすいし、仕事がやりやすい状況にあります」
 
 球団もトレーナーの存在を重要視しており、今季も数名増員したのだという。現在、チームには一軍7名、ファーム8名の計15名のトレーナーが所属している。
 
「わたしは他のプロ野球球団に所属したことはありませんが、おそらくアスレティックトレーナーとして仕事をするのにいい環境だと思います。例えば、我われが良いと考えトライしたいことを選手はもちろん、球団も許可を出してくれて協力をしてくれます。結果がどうあれ、まずはチャレンジさせてくれるといった環境があるんです」
 
 今やトレーニングやケアの世界は日進月歩であり、常に新しい方法論が生まれアスリートたちの力を引き上げている。ただ、ともすれば旧態依然の面も濃いプロ野球の世界にあって、新しいことを試すのは容易ではない場合もある。それでも四角アスレティックトレーナーたちは、常に勉強し、知識を蓄え、球団と一緒になり選手たちに還元しようとしている。
 
 興味深かったのは、トレーナーにとって何よりも大事なのは、知識や経験ばかりでなく“コミュニケーション能力”と選手に対する“メンタルケア”だということだ。
 
「やはり人と接する仕事なので、互いの理解や信頼が必要になります。例えば野球は基本的にボディコンタクトのある競技ではないので、フィジカルが高まれば技術が向上するというものではありません。そこで大事なのはコミュニケーションやメンタル面のケアになります。ネガティヴになりやすい選手にはポジティヴに伝えたり、あるいは相手に惑わされず自分のリズムをキープするトレーニングを課したり。シーズンが長く試合数の多いプロ野球選手のサポートは他のスポーツと比べると特殊だと思いますし、反面、やりがいもあります」

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