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【プロ野球2018年総括】ソフトBは故障者続出も若手台頭。ヤクルトは青木加入、救援陣奮闘<ソフトバンク・ヤクルト>

2018/12/27

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東京ヤクルトスワローズ

 開幕前の予想を覆す大躍進の2位と言えるだろう。
  
 これほどの結果を予想した人は、そう多くなかったはずだ。打線はある程度のタレントが揃っていたが、投手陣がここまでやるとは想像していなかった。改めてマネジメントの大事さを痛感させてくれたシーズンだった。
 
 投手陣を支えたのはセットアッパーの近藤一樹とクローザーの石山泰稚だ。移籍3年目の近藤は昨季までもリリーバーを務めていたが、勝利からはほど遠い場面での登板が多く、防御率も高かった。しかし、今年は投手陣を整備していく過程で、投げるたびに重要な役割へと昇格していった。74試合登板はもちろんキャリアハイで、両リーグトップの数値。42ホールドポイント(HP)を挙げ、最優秀中継ぎのタイトルも獲得している。
  
 石山は今季途中からクローザーに昇格。特筆すべきは四球の少なさだ。71試合に登板して15個は試合終盤に登板する投手としては優秀な要素だろう。リーグタイトルには2セーブ届かなかったが、規定投球回数に達した先発が1人しかいないチーム状態の中、2位でシーズンを終えることができたのは、石山の活躍が非常に大きい。
 
 他にも、風張蓮や前半戦を引っ張った中尾輝、若い梅野雄吾などもチームの大躍進に貢献したリリーバーたちだ。
 
 一方、先発陣は開幕投手を務めたブキャナンが10勝を挙げたものの、ゲームをしっかり作った選手はいなかった。来季は移籍組の力を借りるシーズンとなりそうだが、期待の原樹理、星知弥など、素材はいるだけに、来季は先発陣の奮起が必要だ。後ろの2人も、今季ほどタフに投げるのは難しくなると見た方がいい。
 
 打線の方は、やはり、メジャーリーガーの青木宣親の加入が大きい。チームトップの.327という打率もさることながら、彼が2番に定着することで与えた影響はチーム内外に大きかっただろう。山田哲人が3度目のトリプルスリーに輝けたのも、青木の存在があったからに他ならない。
 
 一塁手へのコンバートにもパフォーマンスを落とさなかった坂口智隆、キャリアハイに並ぶ131打点を挙げたバレンティンなど、打線はリーグトップのクオリティを見せた。
 
 また、ここ数年の懸案事項だったショートストップには西浦直亨が定着した。宮本慎也ヘッドコーチや石井琢朗コーチの加入で、若い廣岡大志やベテランの大引啓次などが激しくポジションを争ったが、西浦が一歩抜け出した。
 
 来季へ向けて、ファームから村上宗隆が上がってくるだろう。将来の4番を打てるほどのスラッガーで、リーグの中でもトッププロスペクトといってもいい。筒香クラスに育て上げることができるか、こちらも非常に楽しみだ。
 
 
氏原英明

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