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打たれても揺るがぬ想い。宮西は「最高のプロフェッショナル」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#85】

負けられない試合が続く中でこそ生まれる名勝負がある。対ソフトバンク23回戦8回表の中村晃と宮西尚生の対決は職人どうしのしびれる対決だった。

2018/09/22

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意地と意地のぶつかり合い

 それはプロ野球の粋と評すべき名勝負だったと思う。札幌ドームの対ソフトバンク23回戦だ。初回清宮の5号3ラン等でリードした試合はその後、もつれにもつれて8回表の時点でスコア7対7の大激戦になっていた。ソフトバンクもファイターズも、西武にこてんぱんにやられた後だ。もう負けられない。ソフトバンクは柳田&今宮、ファイターズはレアードとケガで主力を欠き、言わば「手負い」の状態だ。西武への挑戦権を賭け、最後の力を振りしぼっている。
 
 その8回表、マウンドには宮西尚生がいた。最高の左リリーフだ。栗山英樹監督としては切り札を使っている。これ以上のカードは切りようがない。が、この日はそれほど調子が良くなかったと思う。簡単に出塁を許し、走者をためてしまった。苦労している。1死2、3塁の大ピンチ。が、さすが11年連続50試合登板のベテランだ。調子の如何に関わらず投げてきた鉄腕だ。ここぞという場面で集中力が違う。続く牧原を三振に切って取った。
 
 2死2、3塁、ホークスベンチは右の代打・塚田を使う。ファイターズは吉井ピッチングコーチがマウンドへ行き、状況の確認をする。塚田をストレートの四球で歩かせたところを見ると、吉井さんは「次の中村晃と2人で1アウトでいいぞ」くらいの話をしたんじゃないだろうか。というのは宮西は中村晃を「お得意さん」にしている。2015年シーズン途中から15打席連続でノーヒット。まる3年ほどヒットを打たれてない。今季だって5の0だ。
 
 場面は7対7、2死満塁である。トントンと2ストライクに追い込んだ。マウンドに立つ宮西、左打席の中村晃、ともに最高度の集中である。職人どうし。もう余人の入るすき間はない。ボールとバットの会話。外、外とストレートを続けて追い込んだ後は、スライダーを3球投じる。いわゆる「外の出し入れ」だ。中村は必死に2球は見極め、1球をファウルにする。カウント2-2。次は勝負球だ。ストレートかスライダーか。入れるのか外すか。
 
 宮西が投じたのは140キロの外角ストレートだった。キレがある。外すスライダーを中村が頭に置いていたら手が出なかったと思う。ストレート優先の待ちだった。コンパクトに叩いた打球はライナーでサードの横を抜ける。やられた。宮西は天を仰ぎ顔をゆがめる。痛恨のタイムリー。スコアは7対8。
 
「宮西さんはすごく制球がよかった。(打てて)本当によかったなという感じ。本当にいい投手なので、なかなか打てない」(中村晃コメント)

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