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今季の新人王候補は? 投手有力のセ、野手を推したいパ。選出にはチーム事情の影響も 【小宮山悟の眼】

プロ野球セ・パ両リーグが30日、開幕する。今回は今季の最優秀新人(新人王)について考えたい。昨季はセ・リーグが京田陽太(中日ドラゴンズ)、パ・リーグは源田壮亮(埼玉西武ライオンズ)の野手2人が獲得した。今季の候補選手はどのような顔ぶれか。

2018/03/29

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ロッテ新人野手2人に期待

 パ・リーグは本命を菅野剛士外野手と・藤岡裕大内野手のロッテ2人、対抗を齊藤大将投手(西武)・田嶋大樹投手(オリックス)、大穴を田中正義投手(ソフトバンク)と予想する。
 
 パ・リーグも投手を最有力にしたいところだが、社会人出身のロッテのルーキー2人への期待が大きい。菅野と藤岡はともに大学時代にドラフトの指名漏れを経験し、悔しさをばねにプロ入りを果たした。野手のため、し烈なレギュラー争いという壁が立ちはだかるが、オープン戦での起用から考えると、菅野は開幕スタメンを勝ち取るのではないか。
 
 私が早稲田大のコーチを務めていたころ、菅野は明治大野球部に在籍しており、彼には一目置いていた。当時、4番を打っていた菅野には脅威を感じていた。守備力に課題は残るが、打席での対応力は高い。
 
 先日のオープン戦では追い込まれてから、相手投手の決め球をうまくファウルで逃げるという打撃技術を見せていた。この時、打順は平沢大河、岡田幸文、菅野と左3人が並び、相手チームは左投手を投入してきた。前の2人は凡打で倒れたが、菅野はしっかり打てていた。井口資仁監督は「1番・荻野、2番・菅野」を試しているようで、我慢して使うのではないかと考える。
 
 藤岡はけがで出遅れているが、守備の面では3年目の平沢より信頼を勝ち取れている。戦列に復帰すればチャンスがあり、それをどう生かすか。
 
 一方の投手陣は、西武・齊藤とオリックス・田嶋の左腕2人、さらに2017年のゴールデンルーキーであるソフトバンク・田中に期待している。
 
 オープン戦での齊藤は、結果を求めるあまりボール球ばかりを投げている印象だが、本来の持ち味であるスライダーとストレートがあれば、上手くはまっていくのではないか。投手力が課題であるチーム事情もプラスに働く。田嶋も社会人出身の左腕としてローテーションを任される位置にいる。
 
 ソフトバンク・田中はドラフト1位で入団した。期待というより「活躍してもらわなければならない」という選手だろう。オープン戦は好調な成績を保っている。ソフトバンクは選手層が厚く、結果が少しでも出ないと出場機会を失う可能性もあるが、そのままシーズンに滑り出していけば、他球団にとって脅威の存在となるかもしれない。
 
 パ・リーグの新人王争いはペナントの流れ大きく影響する。今季は2~5位が混戦になると見込んでいる。それを抜け出すチームが出てくれば、その勢いに乗って新人王を獲得すると考えられる。しかし、競った状態があまりに長いと、若い選手は終盤になって、結果が伴わなければ出場機会を失う可能性もある。順位争いがどういう影響を与えるか。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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