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野球貴族がつぶやく「オーターボーイズ」――負けて思い出、東京ドームの特観席【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#59】

私にとって、東京ドームの今季最終戦は、初めての「パノラマビューシート」での観戦となった。

2017/09/11

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今季のチームを象徴する、不安定な有原の投球

 東京ドームの今季最終戦は9月7日の楽天20回戦だった。友達から「仕事先から日ハムの招待券もらったけど、えのきどさん行く?」とLINEメッセージが入ったのだ。えのきどさんは日ハム戦は行く。それはもちろんなのだが、席種が初めて目にする「パノラマビューシート」というやつだった。行ってみて仰天した。こう、中二階というのか、昔は「ジュニアスイート」と呼ばれていた場所だ。1塁側30番ゲートを入ると、美人のお姉さんが迎えてくれて何かグレード感が漂う。ふと横を見るとカフェテリアみたいになっていて、これが「東京ドームホテル プレミアムブッフェ」なのだった。
 
「こ、これはどうやって利用するんですか?」
 お姉さんに訊いてしまった。
「ご自由に好きなものをお取りいただけます」
「これひょっとして無料ってことですか?」
「チケットに代金が含まれておりますので……」
 
 こんな席種があったんだなぁ。野球貴族だ。ホテルバイキングよろしく和洋中の料理を取り放題。それをラウンジのテーブル席で食べてもいいし、座席テーブルに持ち込んで観戦しながらでもいい。試合中もドリンクバーが使える(アルコール類は売店販売)。3回になるとデザートコーナーがオープンする。僕は「特観席」を思い浮かべた。
 
 東京ドームは(かつての後楽園競輪を復活させるべく)実は競輪場に転用できる設計が施されているという説がある。真偽はわからない。単に都市伝説かもしれない。が、コンコースのモニターの多さは、オッズ表示に使うためだと言い張る人がいる。それを連想するくらいラウンジはすごく「特観席」っぽいのだ。野球貴族の「特観席」。あるいはマンガ好きの読者には『賭博黙示録カイジ』(福本伸行)の鉄骨渡りのとき、ビルの向こうで飲食してたパーリーピーポーをイメージしてもらってもいい。もらった券とはいえ、自分はそんなところで楽天20回戦を見ることになった。
 
 先発は有原航平と安樂智大だ。楽天は5日、富山で連敗を10で止めたばかり。ドラ1の藤平尚真が8月に続いて連敗ストッパーの働きをした。楽天は西武と激烈な2位争いをしているから、何としてもここで立て直したい。2位と3位はCS第1ステージの主催権がかかっているから大きな違いだ。言いたくないが目標のあるチームとないチームの一戦である。といってプレッシャーでガチガチの上位を気楽な下位が食うことだってある。
 
 ファイターズの主戦・有原を揺さぶってきたのはオコエ瑠偉だった。いや、オコエは素晴らしかったな。内野安打で出塁し、2盗、ワンヒットで生還。最高のスピード感だ。僕は梨田昌孝監督の打順組み替えが奏功していると見る。「9番オコエ」の大暴れが試合を動かした。シーズン前半戦は「2番ペゲーロ」の攻撃的打線が機能したのだ。ここ最近はその裏側が出てしまっていた。楽天は足が使えるのにペゲーロ、アマダーのところで詰まってしまう。これからシーズン終盤はオコエが引っ張っていきそうだ。
 
 ただ有原航平がカンタンにつかまってしまうのは問題だ。おかしいなぁ。今季はずっと信用しきれない感じだ。僕は3回表にあっさり4失点、その裏、2点返してもらったのに4回表にもさらに2失点食らって「また背信のマウンドか~」と(野球貴族のくせに)叫んでいた。親しい放送作家の知人は「セクハラ・パワハラ・アリハラ」というLINEメッセージを送りつけてきた。有原がカンタンにつかまってしまうことを「有原スメント」(?)と名付けたようだ。

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