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日本ハムが狙う“育成と勝利の両立”。どこで「差」を作るか。王者のチーム作りの心髄【データで解く野球の真実】

競技において相手を上回るためには、特に勝敗に影響を与える部分で、効果的に差をつくる必要がある。2016年、ペナントレースでは福岡ソフトバンクホークスとの激闘を制し、日本シリーズでは勢いに乗る広島東洋カープを退け日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズも、ライバルに対し確実に差をつくり勝利していた。いかに差をつくったのかに着目すると、日本ハムの戦力像を把握することができる。そこから、連覇を狙うチャンピオンが2017年にどんな戦いをしようとしているのかを探ってみたい。

2017/02/11

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差をつくられた外野の攻撃力。透けて見える大谷打者起用の理由

 攻撃面では、レアードが586打席に立ったサード(15.1点)、陽が506打席に立ったセンター(11.2点)、大谷が350打席に立った指名打者(20.2点)などが優れた数字を記録し、日本ハムの攻撃力を支えるポジションとなっていた。
 
 一方で、レフトとライトの数字は伸びず、マイナスを計上している。レフトとして多く出場した西川は打率.314、出塁率.405と高く、打撃成績に問題があるようには見えないが、ライバル球団に好打者が揃うレフトというポジションの中では、差をつくられ、そこまで数字は伸ばせなかった。レフトとして出場した西川以外の選手が、結果をほぼ残せていないことも、マイナスを大きくした原因となっている。
 
 この、攻撃(34.4点)とディフェンス(84.6点)がつくりだしている、リーグ平均に対するプラス値のバランスを見ていると、日本ハムがシーズン中、大谷を打者としての起用に比重を移したことの理由が見えてくる。
 
 大谷が投手としての登板する機会をもっと伸ばし、打席に立つ機会を減らしていたら、攻撃でのプラス値はここからさらに減り、一層バランスは悪くなっていただろう。
 
 もちろん代わりに、登板を通じてディフェンスでのプラス値を大きくしたであろうが、その場合の収支はマイナスだったはずだ。大谷の代わりにマウンドに立つ投手の質と、大谷の代わりに打席に立つ打者の質では、前者が上回る状況があったと考えられる。
 
 整理すると、日本ハムは、攻撃、投球、守備、いずれもパ・リーグの平均レベルを上回る状況にあった。ただ、その中で最も安定して差をつくりだせていたのは守備であり、攻撃は外野においては少し弱みになっていた。おおづかみながら、そのような戦力像を把握することができる。

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