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「おおお! ライデルからまた打った!」。中日ドラゴンズの主砲・細川成也、CS進出はこの男のバットにかかっている【コラム】

2025/08/04 NEW

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産経新聞社



プロ初打席でプロ初ホームラン

 
 このチャンスに、細川はみごと結果を出した。なんとプロ初打席でプロ初ホームランをかっ飛ばしてみせたのである。しかもその一発が決勝アーチになった。なんで克明に覚えているかというと、その試合はドラゴンズ戦だったからだ(笑)。打たれたピッチャーは笠原祥太郞。奇しくもその5年後、2022年の現役ドラフトの結果、細川と笠原はチームを入れ替わることになる。
 
 で、細川のデビュー戦は家で観ていた私だが、翌日の試合は横浜スタジアムに観に行った。細川はこの試合、「5番・右翼」で先発出場。消化試合とはいえラミレス監督の期待の高さが窺えた。驚いたのは、細川はこの試合でも2試合連続の2号ホームランをスタンドに叩き込み、それが再び決勝弾になったのだ。目の覚めるような弾道と勝負強さ。「ベイはまた凄い逸材を獲ってきたなぁ」と私は舌を巻いた。そのときはまさか、彼が6年後にドラゴンズの4番を打つことになるなんて思いもしなかったけれど。
 

 
 この2試合連続アーチで、ラミレス監督は細川をCSメンバーとしてベンチ入りさせることに決めた。下位指名の高卒ルーキーとしては異例の大抜擢だ。DeNAはこの年のCSで、2位・阪神タイガースと王者・広島を撃破する下剋上を演じ、日本シリーズに進出。パ・リーグ王者・福岡ソフトバンクホークスには2勝4敗で屈したが、細川はCS・日本シリーズの両方でヒットと打点を記録している。これってなにげに凄くないだろうか?
 
 2017年の日本シリーズ第1戦、細川は9回に代打で登場。ソフトバンク・寺原隼人からセンター前にヒットを放った。いいですか、彼は前の年まで高校生だったんですよ。普通のルーキーならバットもまともに振れないぐらいガチガチになるだろうに、何なの、この強心臓ぶりは? これを見たラミレス監督は続く第2戦、細川を「8番・DH」でスタメン起用。チームは敗れたが、細川はシリーズ通算で7打数3安打1打点としっかり爪痕を残した。ちなみに高卒の新人野手が日本シリーズに出場したのは、セ・リーグでは1988年の立浪和義以来、実に29年ぶりの快挙だった。

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