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「おおお! ライデルからまた打った!」。中日ドラゴンズの主砲・細川成也、CS進出はこの男のバットにかかっている【コラム】

2025/08/04 NEW

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産経新聞社



中日・細川成也

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 7月31日、昨季まで中日ドラゴンズの守護神だったライデル・マルティネスから、同点ツーランを放った細川成也。7月には6本ものホームランを放つなど、見事な活躍ぶりを見せた。苦難を乗り越え、覚醒した打棒でチームを上位へと導けるか。竜の4番打者の後半戦の活躍に、期待が高まる。(文・チャッピー加藤)

一瞬笑みすら浮かべたマルティネス

 
 「おおお! ライデルからまた打った!」――7月31日、バンテリンドームナゴヤで行われた中日ドラゴンズ対読売ジャイアンツ戦。2−4とドラゴンズが2点ビハインドの9回裏、巨人は昨季までドラゴンズの絶対的守護神だったクローザー、ライデル・マルティネスをマウンドに送り出した。
 
 しかし、簡単には諦めないのが今年のドラゴンズだ。先頭のジェイソン・ボスラーが二塁打で出塁すると、ここで登場したのが、4番・細川成也。カウント2−2から、マルティネスが投じた真ん中高めのストレートをフルスイングすると、打球はグングン伸び、左中間スタンド手前にギリギリで入る起死回生の9号同点ツーランに! 試合を振り出しに戻したドラゴンズは、延長10回、ボスラーのサヨナラ犠飛で劇的な逆転勝利を収め、このカード勝ち越しを決めた。思わず祝杯を挙げた竜党の方も多いだろう。
 

 
 打球がスタンドインすると「ありえない」といった表情で、一瞬笑みすら浮かべたマルティネス。元同僚の底知れぬパワーに、もう笑うしかなかったのだろう。細川は7月9日、福島で行われた巨人戦でも、0−2と完封負け寸前の9回にマルティネスから起死回生の5号逆転3ランを放っている。その前日、山形の試合で9回、2点差をひっくり返されサヨナラ負けするという屈辱を味わっただけに、連敗寸前の場面で巨人に“やり返した”この一発は実に痛快だった。そしてこの試合から怒濤の7連勝が始まったのである。チームを救い、沈滞したムードを変える一発を放つ。これぞ“4番の仕事”だ。
 
 ドラゴンズ移籍3年目の今季、細川は5月に右ハムストリングを痛め、1ヵ月半ほど戦線離脱を余儀なくされた。ただでさえ点が取れないドラゴンズ打線にとって、細川の不在は痛いどころではなかった。6月19日、オリックス・バファローズとの交流戦で久々に復帰、即マルチヒットを放ったときは「細川大明神、待ってました!」とつい拝んだほどだ。
 

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