「もっと点取ったれよ!」ドラフト1位・金丸夢斗が投げるたびに聞こえるドラゴンズファンの声。「後半戦は野手が借りを返す番だ」
2025/07/26 NEW
産経新聞社
金丸登板試合のドラゴンズ打線は毎回もどかしい
「もっと点取ったれよ!」――金丸が投げるたびに、必ずそんな声を聞く。もちろん野手たちも「今度こそ勝たせてやりたい」と思って打席に立っているだろう。ただそれがプレッシャーになるのか、空回っているのかわからないが、金丸登板試合のドラゴンズ打線は毎回もどかしい。後半戦はしっかり金丸に報いてあげてほしいと思う。
私は今季、金丸のピッチングを2試合生で観た。最初が5月16日、東京ドームで行われた巨人戦で、金丸のデビュー2戦目である。金丸は3回まで毎回ランナーを許しながら、二塁を踏ませることなく序盤は無失点で切り抜けた。一方、ドラゴンズ打線も3回まで毎回ランナーを出しながら、巨人先発・赤星優志に踏ん張られ無得点。相手打線にお付き合いしてどうすんの。まったくもどかしいったらありゃしない。
試合が動いたのは4回。金丸が1死から増田陸に先制ソロアーチを浴びてしまう。一発を打たれて動揺し、追加点を奪われKO、というのは新人投手によくあるパターンだが、金丸はやはりモノが違う。後続のリチャードを三振、エリエ・ヘルナンデスをサードライナーに打ち取り、この回を最少の1失点にとどめると、続く5回も3者凡退。動じることなく、味方の援護を信じてベストのピッチングを続ける姿に私は感動した。6回、上林誠知の同点ソロアーチが飛び出したのは「たまたま」ではない。野手に「何とかしてやりたい」と思わせたのは金丸の力だ。
金丸は6回も上位の泉口友汰、吉川尚輝、トレイ・キャベッジを3者凡退に仕留め、7回に代打を送られてマウンドを降りた。勝敗は付かなかったが、6回を投げ3安打1失点、7奪三振。与えた四球はわずか1個。球数は83球だったのでもう1イニング見たかったけれど、ルーキーとは思えない落ち着きと風格を感じるピッチングだった。「球宴前に間違いなく5勝はするな」と思いましたよ、このときは。
金丸生ウォッチ2戦目は、彼にとってデビュー4戦目、6月5日、みずほPayPayドームで行われた福岡ソフトバンクホークスとの交流戦だった。金丸が登板したのは3連戦の3試合目。前の2試合はドラゴンズが序盤に先制され、そのまま押し切られて完敗(私はどちらも生で観て凹んだ)。金丸のプロ初勝利で連敗を止め、チームを上昇気流に乗せたい、という思惑が井上一樹監督にはあっただろうし、私もそれを願ってスタンドで見守った。
ところが……金丸は初回、周東佑京にヒットを許すと、柳町達に先制タイムリーツーベースを打たれ、さらに野村勇に3ランを浴びていきなり4失点。前の2試合と同じパターンにはまってしまったのである。