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「もっと点取ったれよ!」ドラフト1位・金丸夢斗が投げるたびに聞こえるドラゴンズファンの声。「後半戦は野手が借りを返す番だ」

2025/07/26 NEW

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産経新聞社



中日・金丸夢斗

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 中日ドラゴンズのドラフト1位ルーキー・金丸夢斗は、安定した好投を続けながらも打線の援護に恵まれず、プロ初勝利はお預け状態。防御率2.41でQSも多いが、勝ち星はなく、SNSでも「金丸かわいそう」と話題になるほどだ。勝負の後半戦を迎えるが、金丸のプロ初勝利をドラゴンズファンは待っている。(文・チャッピー加藤)

「こんなことがあっていいのか!」

 
 「金丸かわいそう」――毎回好投しているのになぜか白星に恵まれず、SNSでこの言葉がトレンド入りするようになったのが、中日ドラゴンズのドラフト1位左腕ルーキー・金丸夢斗だ。5月に一軍デビューして、前半戦は8試合に先発登板。うち7試合が「QS」(クォリティスタート=先発投手が6回以上投げ、自責点3以下)と抜群の安定感を見せているにもかかわらず、打線が援護できないケースが目立ち、金丸の成績は0勝4敗。防御率は2.41なのに、まだプロ初勝利はお預けのままだ。
 
 特に前半戦最後の2試合は気の毒すぎた。7月8日、山形で行われた読売ジャイアンツ戦に先発した金丸は7回2失点と好投。8回、上林誠知が勝ち越しのソロアーチを放ち、9回には村松開人の犠飛でダメ押しの1点を追加。4-2となって、プロ初勝利は今度こそ間違いないと思われた。ところが……クローザー・清水達也が悪夢のような4連打を浴び、最後は丸佳浩の逆転三塁打で4-5とまさかのサヨナラ負け。「こんなことがあっていいのか!」と叫んだ竜党は多いだろう。私もその1人だ。
 

 
 次は7月17日の阪神タイガース戦で投げる予定が、雨で流れスライド。7月21日、バンテリンドームで行われた前半戦ラストゲーム・横浜DeNAベイスターズ戦に登板した金丸。3年連続2ケタ勝利が懸かるDeNAのエース・東克樹とは今季2度目の投げ合いとなり、金丸は一歩も退かない堂々の投手戦を演じた。
 
 しかし6回、マイク・フォードに先制タイムリーを許してしまう。ドラゴンズ打線も8回、1死一、二塁と東を追い込むが得点を奪えず、9回は伊勢大夢の前に屈し、0-1で完封負け。金丸は8回1失点、今季7度目のQSをマークしながら負け投手に……。
 
 ここまで来ると「かわいそう」を通り越して「金丸、申し訳ない」という気持ちになってくる。私が謝ることじゃないんだけども。ある阪神ファンは私に言った。「ドラフトで金丸が阪神に入ってたら(阪神も金丸を1位指名、抽選で外す)今のピッチングなら最低でも5勝はしてるで。新人王確実やん。何で0勝4敗やの? 入ったとこが悪かったんちゃうか?」――何も言い返せない私がいた。
 

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