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西武の守護神・平良海馬が凱旋登板で示した揺るがぬ信頼感。リードしたまま9回を迎えれば「あとは平良がいる」

2025/07/15 NEW

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産経新聞社



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 沖縄に凱旋登板し、地元ファンを沸かせた埼玉西武ライオンズの守護神・平良海馬。今季はリーグトップの20セーブを挙げ、安定感は抜群だ。本拠地ベルーナドームでは登場曲が流れると大声援が巻き起こり、その圧倒的な存在感は「あとは平良がいる」という安心感さえファンに与える。平良の活躍が、ライオンズの後半戦を左右しそうだ。(文・羽中田)

 

2年ぶりに沖縄のマウンドへ

 
 平良海馬が、2年ぶりに沖縄のマウンドに帰ってきた。
 
 7月2日に沖縄セルラースタジアム那覇で行われたオリックス・バファローズ戦の9回表、2対2の場面。セーブシチュエーションではないが、ベンチから姿を現した瞬間、スタンドには心地よい指笛が鳴り響いた。一歩ずつ、ゆったりとマウンドへ向かう姿は、誰よりも沖縄の雰囲気を楽しんでいるように見えた。
 

 
 マウンドに立つその姿だけでも、地元への恩返しだ。待ち侘びたプロ野球開催に、試合前から多くの地元ファンが早い時間からスタンドに詰めかけた。少年野球のユニフォームを着た子どもたちは、平良や宮城大弥といった沖縄出身の選手たちの姿に目を輝かせていた。
 
 グラウンドで躍動するプロ野球選手の大きな背中は、少年少女たちの「夢」そのものだった。この日、平良は1イニングを僅か10球で無失点に抑え、オリックス打線をねじ伏せた。最速は158キロをマークし、自慢の速球はいつも以上に力強さを感じさせた。
 
 一塁ベンチに戻る際に、スタンド全体から拍手が湧き起こった。「凱旋」の舞台に立った平良にとっても、それを見守る沖縄の野球ファンにとっても、あの時間は何ものにも代えがたい特別なひとときだった。
 
 そんな平良は今季、監督推薦にて4度目のオールスター出場を決めた。オールスターでは全国のファンの前で、持ち味である剛速球を披露することだろう。その姿を見て、また一人、沖縄の子どもたちが夢を描くはずだ。
 
 7月14日時点でセーブ数はパ・リーグトップの「20」を数え、防御率も1.15をマークしている。2022年に最優秀中継ぎのタイトルを手にした実績もあり、今季は抑えに転向。重圧のかかる9回のマウンドを全うしている。
 

リードしたまま9回を迎えれば「あとは平良がいる」

 
 際立つのは、本拠地での安定感だ。7月14日の試合後時点で、本拠地ベルーナドームでの被打率.167。これはレフトスタンドはじめ、本拠地の大声援あってこその結果だろう。
 
 スタンドからブルペンの様子がわかるベルーナドームは、ブルペンで投球練習を終えた選手を拍手で送り出す文化がある。「守護神」平良が登板する際には、誰よりも大きな拍手が送られている。
 
 平良の登場曲はDaft Punkの「One More Time」だ。One More Timeのイントロが流れると、「今日も勝利の瞬間を届ける」という切実な願いが、曲のリズムに乗ってスタンドを包み込む。
 
 セーブやホールドに関係なく、平良が登板するということは、「勝利のための最終段階」に突入したことになる。ベルーナドームでは、守護神としての絶対的な信頼感を築き上げ、その重責をどこか涼しげな表情で引き受けている。リードしたまま9回を迎えれば「あとは平良がいる」という安心感が漂う。
 
 それはチーム内だけでなく、スタンドのファンにも共通する雰囲気だ。背番号「61」がマウンドに向かうとき、どれほどの拍手と期待が重なることだろう。そのすべてに、真っ直ぐ応えるだけの準備と覚悟が平良にはある。
 

抑えの平良がどっしりとしていれば……

 
 球宴を挟み、後半戦に突入していく2025年シーズン。7月14日時点では3位オリックスと5ゲーム差開いているが、残り60試合ある。十分に取り返せるゲーム差だと言えるだろう。
 
 埼玉西武ライオンズが上位争いに食い込むには、平良の存在は欠かせない。抑えの平良がどっしりとしていれば、チーム全体の戦い方にも自信が宿る。そうすれば、自ずとAクラスが見えてくるはずだ。
 
 平良がプロ野球選手として躍動するその姿を、これからも多くのライオンズファンが見守っている。勝負の夏場、平良筆頭にライオンズの反転攻勢を期待している。
 

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