若手よ、見ているか!?「負け犬根性が染みついたチームを変える」移籍組のひたむきさを。東京ドームで見た、中日ドラゴンズの歓喜と虚無の3日間
2025/05/22
産経新聞社
「え、まさか!?」伏兵が見せた2打席連続ホームラン
7回、巨人は昨季のセ新人王・船迫大雅をマウンドへ。1死後、打席に立ったのが山本だった。ふと「山本、もう1発打ってくれないかなぁ」なんて呟いていたら、再び左方向に大きな当たりが。「え、まさか!?」。打球はグイグイ伸びてスタンドイン! 9年間で6本しか本塁打を打っていないバッターが、なんとなんと、2打席連続でホームランを放ったのである。こういうミラクルが起こるのもまた野球の面白さで、その裏には井上一樹監督のこんなアドバイスがあった。
「『小っちゃくなるな、ホームランを打つなら(1発が出やすい東京ドームの)このグラウンドしかないよ』と言っていた」(試合後、井上監督のコメント)
これで3-4。伏兵の連続アーチで、巨人勝利に傾いていた球場のムードは明らかに変わった。続く木下拓が四球で歩き、1死一塁でバッターは松葉。もちろん代打だ。1発が出れば逆転の場面だけに、右対右ではあるがパワー優先でブライト健太もあるなと思ったが、井上監督はセオリー通り左の代打を送った。板山祐太郎である。
実は板山、このカード初戦でも代打で起用されたシーンがあった。同点の7回、2死二塁のチャンスで金丸に打席が回った場面だ。しかし「代打・板山」を聞いた阿部慎之助監督がピッチャーを右の田中瑛斗から左の中川皓太に代えたため、井上監督は「代打の代打」で右打者のブライトを起用。板山は名前をコールされただけで終わった。ブライトは凡退しただけに、板山は余計モヤモヤしただろう。
板山は今季、開幕直後からセカンドでたびたび先発起用されたが、5月に同じポジションの田中幹也が復帰してからは、また控えに回ることになった。再びスタメンの座を奪い返すには、バットで結果を出さねばならない。そんなこともふまえて、井上監督はこの大事なチャンスを板山に託したのである。