若手よ、見ているか!?「負け犬根性が染みついたチームを変える」移籍組のひたむきさを。東京ドームで見た、中日ドラゴンズの歓喜と虚無の3日間
2025/05/22
産経新聞社
「ヒーローになってほしかった」あまりに虚しすぎる敗戦
ところが……8回、マルテが2死一、二塁のピンチを招くと、開幕から13試合連続無失点を続けていた齋藤綱記が吉川尚輝に悪夢のような逆転3ランを浴びてしまった。マウンドでガックリ肩を落とす齋藤。私も唖然、呆然である。
齋藤は責められないし、あのインハイの難しい球をポール際、ライトスタンド最前列に運んだ吉川の技術と執念には脱帽するほかない。だけどなぁ……私は、上林にヒーローになってほしかった。だって、2発も打ったんだよ。それが報われないなんてあまりに虚しすぎる。チームの連敗を止め、お立ち台で涙ぐむ吉川を見ていて心からそう思った。
翌日の第2戦は、髙橋宏斗が7回1失点と好投したが、ドラゴンズ打線がフォスター・グリフィンの前に沈黙。8回からは大勢 ― ライデル・マルティネスとつながれて0-1で完封負けを喫した。これで巨人に6連敗、しかも東京ドームでは昨季から9連敗である。いくらなんでも負けすぎだろう。
しかもこの2試合、点を取ったのは上林だけ。先発ピッチャーは好投しているのだし、他の野手も打っていれば2連勝できたのだ。第3戦、「今日は死んでも打て! そして絶対勝て!」とドラゴンズベンチに念力を送りながら、私は三塁側内野席に陣取った。