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若手よ、見ているか!?「負け犬根性が染みついたチームを変える」移籍組のひたむきさを。東京ドームで見た、中日ドラゴンズの歓喜と虚無の3日間

2025/05/22 NEW

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産経新聞社



(左から)中日・板山祐太郎、上林誠知、山本泰寛

プロ野球 最新情報

 東京ドームで目の当たりにした、中日ドラゴンズの目まぐるしい3日間。借金返済の好機に意気揚々と乗り込んだはずが、悪夢のような逆転負け、そして完封負け。だが、諦めかけたその先に待っていたのは、伏兵たちのバットが織りなす奇跡の逆転劇だった。(文・チャッピー加藤)

Aクラスに昇る絶好のチャンス!東京ドームでの3連戦

 
 「うぉぉ! ホントに打った!」――― 5月18日、満員の東京ドームで行われた読売ジャイアンツ ― 中日ドラゴンズ戦。7回、三塁側+レフトスタンドに万歳三唱がこだまし、竜党は歓喜に沸いた。「山本も2発打ったんだから、もう1発打て!」という私の虫のいい願望を叶えてくれた、板山祐太郎の代打逆転2ラン。ダイヤモンドを一周する「背番号・63」に私は思わず「ありがとう!」と手を合わせた。その背中には、見間違いでなく、はっきりと後光が差していた。
 
 5月16日からの巨人3連戦、私は初戦と3戦目の2試合を内野三塁側スタンドで生観戦した。ドラゴンズはこのカード直前、東京ヤクルトスワローズに連勝して借金は2に減り、かたや巨人は主砲・岡本和真を負傷で欠いたことも響き4連敗中。貯金を食い潰して5割というドン底の状況だった。巨人を追い越し、Aクラスに昇る絶好のチャンス! 私は意気揚々と東京ドームへ乗り込んだ。
 

 
 初戦、ドラゴンズの先発はドラフト1位ルーキー・金丸夢斗。これがプロ2戦目のマウンドで、5月5日のデビュー戦はDeNAにプロ初黒星を喫したが、内容は6回2失点と上々だった。一方、巨人の先発は赤星優志。前回、金丸を援護できなかったドラゴンズ打線も今回はさすがに奮起するだろうと期待していたら……やはり打てない(苦笑)。赤星を攻めあぐねている間に、4回、金丸が増田陸にソロアーチを打たれ、先制を許してしまった。
 
 この日の赤星は決していい出来ではなかったし、ドラゴンズ打線は4回まで毎回ランナーを出していたにもかかわらず「あと1本」が出ない。金丸は6回1失点と好投しながら、プロ初勝利はまたしてもお預けとなった。ああ、じれったい! だが、そんなもどかしさを吹き飛ばしてくれたのが上林誠知だった。
 
 6回、赤星からライトスタンドに4号同点ソロを放つと、8回には昨季1本も本塁打を許さなかった大勢から、センターへ2打席連続の勝ち越し5号ソロ! 1人で試合をひっくり返してしまったのだ。さすがはソフトバンクで中軸を打った男。カッコ良すぎるだろ!
 
 さあ、あとは8回・9回を抑えるだけ。得意の継投で逃げ切り、上林のヒーローインタビューが聞けると私は確信していた。

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