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リーグ戦、交流戦とも最下位……苦戦続くヤクルトに『救世主』は現れるか?【新・燕軍戦記#25】

リーグ戦、交流戦とも最下位と、苦しい戦いの続く昨季のセリーグ王者・東京ヤクルトスワローズ。もっとも昨年の今頃も借金を抱えてリーグ下位に低迷していたことを考えれば、巻き返しのチャンスはまだ十分にある。そのためにも期待されるのは『救世主』の登場だ。

2016/06/16

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昨年は山中、館山。今年は由規が『救世主』に?

 もっともヤクルトは昨年の今頃(68試合消化時点)も、5つの借金を抱えてセリーグ5位に低迷していた。それでもそこから巻き返し、史上まれに見る大混戦を制して、2001年以来のリーグ優勝を成し遂げている。それゆえか、今のような状況にあっても真中監督に焦りの色は見られない。

「(他球団に)そこまで離されているわけではないので、くっついていけばどこかでチャンスはあると思います。とにかくモチベーションだけ切らないように。そこは首脳陣もしつこく選手に話してますし、選手もそういう気持ちは常に持ってやってるんで、心配はしてないです。ただ、先発は誰か出てきてもらわないとね」

 そう話していたのは、15日のソフトバンク戦前のことだった。誰か出てきてもらわないと──。振り返ってみれば、昨シーズンは先発陣に『救世主』が現れたのが巻き返しの大きな要因となった。それが5月12日の埼玉西武戦(西武プリンス)でプロ初勝利を挙げたのを皮切りに6連勝した山中浩史であり、たび重なる右ヒジの手術から復活して6勝を挙げた館山であった。特に6月28日の巨人戦で館山が814日ぶりに神宮のマウンドに返り咲いたのを機に、チームは一段と結束を強めたように見えた。

 それでは今のヤクルトで、『救世主』になりそうなのは誰か? 今週末には、中継ぎで結果を出せずに二軍落ちしていた杉浦が、先発として一軍に復帰する見通し。4月に手術を受けた館山も、既に二軍で実戦登板しており、段階を踏んでの一軍復帰をにらんでいる。

 だが、インパクトという点で期待したいのは、今年は支配下登録を外れて育成選手になっている由規(26歳)だ。2010年に当時としては日本人最速の161キロをマークし、自己最多の12勝を挙げた由規だが、13年に右肩のクリーニング手術を受けたこともあり、ここ4年は一軍登板から遠ざかっている。

 今シーズンはここまでファームで8試合に登板して2勝2敗、防御率4.36。6月11日のイースタンリーグ、東北楽天戦(天童)では6回で99球を投げるなど着実に前進しており、小川淳司シニアディレクターも「この先、順調にいけば」としながらも、支配下復帰の可能性を認めている。

 15日のソフトバンク戦では、由規よりも一足先に育成から支配下に復帰した平井諒が、リリーフで3年ぶりに一軍登板。150キロ台のストレートを連発し、昨年ほど盤石ではない救援陣にあって『救世主』誕生を予感させた。

 これに由規や他の投手が続くことになれば、巻き返しへの期待はグッと高まる。逆に1人も出てこないようなら、今シーズンは最後まで苦しい戦いを強いられることにもなりかねない……。出でよ、燕の救世主!

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