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リーグ戦、交流戦とも最下位……苦戦続くヤクルトに『救世主』は現れるか?【新・燕軍戦記#25】

リーグ戦、交流戦とも最下位と、苦しい戦いの続く昨季のセリーグ王者・東京ヤクルトスワローズ。もっとも昨年の今頃も借金を抱えてリーグ下位に低迷していたことを考えれば、巻き返しのチャンスはまだ十分にある。そのためにも期待されるのは『救世主』の登場だ。

2016/06/16

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防御率5.42。先発投手陣に相次いだ誤算

 セリーグ王者の苦戦が続いている──。
 昨シーズンは14年ぶりのリーグ制覇を果たしたヤクルトだが、今シーズンは68試合を消化して28勝39敗1分け、勝率.418で首位から9ゲーム差の最下位。6月15日の福岡ソフトバンク戦(神宮)に敗れて今季の交流戦成績は4勝10敗となり、こちらも単独最下位。4試合を残して、7年連続の交流戦負け越しも確定してしまった。

 低迷の原因はどこにあるのか? それは数字が示している。ここまで打線がいずれもリーグ2位のチーム打率.264、1試合平均4.4得点をマークしているのに対し、チーム防御率は両リーグでも唯一の5点台となる5.07。先発投手に限れば、その数字は5.42まで跳ね上がる。

 クオリティ・スタート(QS)を記録した割合を示すQS率も両リーグワーストの42.6%と、先発投手がなかなか試合をつくることができない。交流戦『開幕戦』となった5月31日の北海道日本ハム戦(札幌ドーム)で、カイル・デイビーズが7回途中1失点で来日初勝利を挙げたのを最後に先発に勝ちの付かない試合が続き、その間はQSも6月3日オリックス戦(神宮)、10日千葉ロッテ戦(QVCマリン)の2試合しかない(先発はいずれも小川泰弘)。

 投手陣、特に先発がここまで苦しんでいるのは、首脳陣にとっても誤算だったはずだ。今季のヤクルトは新スローガンに「燕進化」を掲げているが、真中満監督が最も『進化』を期待していたのが、先発投手陣だったからだ。

 キャンプ前、先発3本柱として計算されていたのは、昨年2ケタ勝利を挙げた小川と石川雅規、そしてカムバック賞に輝いた館山昌平。さらに真中監督は「若いピッチャーにどんどん出てきてもらいたい。去年の実績で言えば石山(泰稚)、杉浦(稔大)、あとは(ドラフト1位の)新人の原樹理あたりが先発ローテーションに入ってくると楽しみ」と語っていた。

 原はオープン戦で好投を続け、開幕ローテーションの座を勝ち取った。しかし、石山は右ヒジの滑膜炎で出遅れ、オープン戦でなかなか調子が上がらなかった杉浦は中継ぎで開幕を迎えたものの、結果を出せずに二軍落ち。3本柱でも、館山が4月20日に右ヒジ関節遊離体摘出手術を受けると、石川も5月22日に左ふくらはぎ痛で戦線離脱。石川は10日後に一度は復帰したが、ふくらはぎの状態は万全ではなく、翌日には再び登録を抹消されてしまった。

 開幕6番手で起用された新外国人のデイビーズは、2度目の先発を前に背中の張りで離脱し、5月下旬に復帰したばかり。FA移籍2年目の成瀬善久は、4月12日に2勝目を挙げてからは勝ちがなく、6月に入って中継ぎへ配置転換。原は5月半ばから5連敗で二軍降格と、気が付けば開幕からローテーションを守っているのは、3年連続で開幕投手を務めた小川だけになっていた。『代役』として先発マウンドに上がった6人の投手も、ここまで計19試合で4勝12敗と結果は芳しいものではない。

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